2025年1月24日、厚生労働省は年金額の増額改定に関する発表をしました。
ただし、実際に2月に年金受給者に振り込まれた金額は増えていません。では、なぜ増額発表があったにもかかわらず、2月の年金受給額は増えなかったのでしょうか。
本記事では、「年金額増額改定」なのに2月に振り込まれた年金が増えていない理由を解説します。
年金の支給スケジュールについても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 年金はいくら増額になるのか
厚生労働省は、2025年1月24日に年金額の増額改定に関する発表をおこないました。
厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」によると、令和7年度(2025年度4月~)のモデル年金額は以下の通りです。
2025年度年金額の例
1.1 令和7年度のモデル年金額(額面)
国民年金の満額受給額:月額6万9308円(前年度比+1308円)
モデル夫婦*1の年金受給額:月額23万2784円(前年度比+4412円)
*1…平均年収約546万円で40年間勤務した夫(妻)と会社員経験のない専業主婦(夫)の世帯
平均年収約546万円で40年間勤務した夫(妻)と会社員経験のない専業主婦(夫)の世帯が受け取る年金は夫婦合計で月23万2784円となっています。前年度から月4412円の増加です。
2. 2月に振り込まれた年金が増えていないのはなぜか
厚生労働省は年金額の増額を公表しましたが、実際の2月の振込金額は増えていません。
これは、厚生労働省が公表した内容が2025年4月分からの振込額の増額であることが要因です。
また、年金は前2か月分が偶数月に支払われる仕組みとなっています。そのため、増額となる4月分の年金は2025年6月に5月分とまとめて支払われます。
公的年金「支払月・支払対象月」
厚生労働省から増額の発表があったものの、実際の振込額に反映されるのは2025年6月からとなることを覚えておきましょう。
3. 平均年収別によって年金受給額はどれくらい変わるのか
2025年6月振込分から年金額は増額となりますが、実際にもらえる金額は人によって異なります。
以下の条件で、現役時代の平均年収別にみた年金受給額をシミュレーションしてみましょう。
- 1973年生まれ
- 23歳から65歳到達まで会社員として勤務
- 65歳から年金受取を開始
シミュレーションの結果は以下のとおりです。
平均年収ごとの目安年金受給額
出所:厚生労働省「公的年金シミュレーター」を基に筆者作成
3.1 平均年収ごとの目安年金受給額(額面)
平均年収 年金受給額の目安(額面)
- 200万円 月10万7000円
- 300万円 月12万7000円
- 400万円 月14万2000円
- 500万円 月16万2000円
- 600万円 月18万1000円
- 700万円 月19万7000円
- 800万円 月21万3000円
- 900万円 月23万4000円
平均年収200万円と900万円の人とでは、受け取る年金に月12万円以上も差があります。
年金支給額は全体的に増額となりますが、受注額の差がなくなるわけではないことに注意しましょう。
4. 年金以外の備えを始めよう
本記事で紹介したとおり、2025年6月振込分より年金支給額は増額となります。
ただし、増額割合は物価上昇割合や賃金変動率と比較して少ないです。そのため、見かけ上の支給額は増えていますが、実質的な支給額は減額です。
年金改定額決定フロー
出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
また、今後も年金の実質的な支給水準が増えることは考えづらいでしょう。
そのため、年金以外にも老後資金を自分で用意することが重要です。今はNISAやiDeCoなど、誰でも簡単に資産形成ができる時代となりました。
ぜひ、これらの制度も活用して、老後に向けた資産形成を始めてみてはいかがでしょうか。
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