「緑茶 VS コーヒー」健康にいいのはどっち 感染症・生活習慣病・認知症の予防効果ほか…専門家が解説

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お茶の葉とコーヒー豆 ※画像はphotoACより

秋風が冷たくなるにつれ、さまざまな感染症が猛威を振るうようになる。

特に今年の冬は厚生労働省が「この20年で患者が最大になる」と、マイコプラズマ肺炎警報を出している。感染すると、発熱や頭痛、咳などの症状が長く続く。

また、新型コロナやインフルエンザも油断できない。

「新型コロナは定点医療機関から“12波の傾向がある”と報告されています。また、今年はインフルエンザの大流行を予測する声もある。すでに現段階でも幼稚園や学校で広がり、家族が二次感染する状況が見られます」(医療関係者)

そんな恐ろしい感染症だが、実は手軽で簡単、しかも“おいしく飲める予防薬”がある。

ズバリ、「緑茶」と「コーヒー」だ。

ここでは、それら二つの飲料について、専門家の解説を交えて見ていこう。

『からだに効く食べもの事典』などの著書があり、食品の健康効果に詳しい薬剤師の田村哲彦氏(『壮健タムラ薬局』代表)がこう言う。

「静岡大学などの研究で、お茶の苦み成分のカテキンには抗菌作用と免疫力アップの効果があると判明しました。流行性感冒(インフルエンザ)にも有効な予防薬と言えます」

同様に、コーヒーも免疫力をアップさせる。

「コーヒーのクロロゲン酸というポリフェノール(抗酸化物質)は免疫システムの活性化や病原体への抵抗力向上にプラスに働きます。また、コーヒーに含まれる他のポリフェノールにも抗菌作用があり、風邪の原因となる細菌やウイルスの繁殖を抑える効果が期待できるんです」(前同)

ウイルスは胃液で分解されるという。これに加え、つい最近の研究でヒドロキノンなどのコーヒーポリフェノールが抗酸化作用のある酵素を作り出し、免疫力アップのみならず、若返りに役立つことも明らかになった。

医療現場では、この“飲む予防薬”をどう捉えているのか。

『宮元通りクリニック』(東京都大田区)の渡會敏之院長に聞いてみた。

「緑茶のカテキンなどは、飲んですぐ予防になるわけではありませんが、日々の積み重ねが体にプラスに働くでしょう。そもそも、私は風邪で来院した患者さんに“予防のためにも喉を潤す水を、少量でいいので頻繁に飲んでください”と指導しています。風邪のウイルスは喉から広がることが多く、水を飲むことで、ウイルスを胃に押し流すんです」

温かいお茶やコーヒーは、冷水よりも飲みやすい。

「その意味で、お茶やコーヒーは風邪予防に効果があると思います」(前同)

それらの予防効果は感染症に留まらない。

「茶カテキンは、細菌やウイルス全般に効果があり、虫歯や歯周病、ヘルペスにも効果があることが明らかになっています」(前出の田村氏)

実際、静岡県の臨床研究で、お茶をよく飲む小中学生は、飲まない子供より虫歯になる率が少ないことが報告されている。

■肥満対策に緑茶が効果アリ

一方、コーヒーのクロロゲン酸も、感染症以外の健康効果がある。

「クロロゲン酸は新陳代謝を高め、善玉菌の増殖を促進して腸内環境を改善する働きもあります。また、コーヒーのカフェインは肉の消化を助け胃腸の働きを良くします。食後のコーヒーがおいしく感じられるのもこのためでしょうね」(同)

前述のように、カテキンとクロロゲン酸は体内に取り入れられると、強力な抗酸化物質として働くが、

「シワやシミなどの老化が進んだり、高齢になってがんや認知症が多くなるのは、食品の中に含まれる酸化物質や自分の細胞が作り出す活性酸素が大きな原因とされています。抗酸化物質はこうした活性酸素の害を防いでくれるんです」(同)

さらには、海外の臨床研究でも、コーヒーやお茶をよく飲む人は認知症になりにくいと報告されている。

加えて、お茶やコーヒーは中高年の悩みの生活習慣病の予防・改善にも役立つ。

「お茶のカテキンは代謝を高めることで、体に溜まる余分な脂肪やコレステロールを少なくすることが分かってきました。これで血圧や血糖値の改善が進み、肥満も予防できます。肥満が問題になっている米国で緑茶がブームになっているのは、こうした生活習慣病の予防につながることも要因でしょう」(同)

コーヒーのカフェインやクロロゲン酸も同様な働きをする。カフェインは消化酵素のリパーゼを活性化して、脂肪の分解や代謝を高めるが、クロロゲン酸は糖分解酵素であるインスリンに働き、食後血糖値の上昇を抑えることが明らかになっているのだ。

もう一つ。お茶とコーヒーには精神状態を安定させ、ストレスを発散させる効果もあるという。

「それが、お茶やコーヒーの甘みや酸味などの味と香りです。こうした成分はポリフェノールに由来するんですが、これで気持ちが安定して、ストレスも和らぐんです」(同)

なお、何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。飲みすぎると、カフェイン過多などで胃腸に負担がかかる。

「コーヒーなら一日にカップ4〜5杯、お茶は7〜8杯ぐらいが目安」(同)だそうだ。

緑茶やコーヒーで、厳しい冬を乗り切ろう!

田村哲彦(たむら・てつひこ)
壮健タムラ薬局代表薬剤師。食治研究科。東京理科大学薬学部卒業、国際鍼灸専門学校卒業。
渡會敏之(わたらい・としゆき)
宮元通りクリニック(東京都大田区)院長。東京大学医学部卒業。

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