●どうして「香典」っていうの?
通夜、葬儀のときにお悔みの品として持参する現金。表書きは「御霊前」「御仏前」「御香典」などがありますが、この違いはご存じでしょうか?
そもそも上記の3種類は仏式の場合で、キリスト教式の場合は「御花料」「御霊前」、神式の場合は「玉串料」と、宗教によって表書きだけでなく不祝儀袋も異なるので注意しましょう。
さて仏教では、人が亡くなってから四十九日の間は死者の魂は「霊」であると考え、その霊の御前に供えるので「御霊前」とします。四十九日の法要は「満中陰法要」と呼ばれ、それが終わると「霊」は「仏」になるので、その日からは「御仏前」と表書きしたものを供えます(ただし浄土真宗は、亡くなるとすぐに仏様になると考え、すべて「御仏前」で可)。それでは「御香典」とはどんな意味でしょう?
遺体の保管が難しかった昔は、臭いの強い「香木」を焚いて死臭を防いでいました。香木は高価なものでしたが、香木を供え、香りを焚いて死者の霊を慰める意味もあったのです。それが転じて、「香典」は故人や遺族に供える金品を総称する名称となりました。したがって、「御香典」は時期に関わりなくどのような時でも使えます。ただし、それも仏式の場合で、キリスト教や神道では使いません。
文=明石伸子
明石伸子(あかしのぶこ)
NPO法人日本マナー・プロトコール協会 理事長
青山学院大学卒業後、日本航空室乗務員、会社役員秘書などを経て独立。2003年NPO法人日本マナー・プロトコール協会を設立し、文部科学省後援「マナー・プロトコール検定」や「コミュニケーションマナー検定」の開発、運営を実施。講演や研修などを通じて、それらの啓発・普及に力を注いでいる。
その他の役職:NHK経営委員、一般社団法人日本ホテル・レストランサービス技能協会理事。学習院女子大学非常勤講師など(2025年1月現在)。
主な著書、監修:「間違いやすい順 社会人のマナー大全」(宝島社)、「この1冊でOK!一生使えるマナーと作法」(ナツメ社)、その他、連載多数。
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