『ポカリ』と『アクエリ』は同じじゃない…熱中症対策スポドリの違いを専門家に聞いた

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スポーツドリンクの代表格『ポカリスエット』 ※撮影/編集部

 夏場の熱中症対策や、夏風邪の水分補給の頼りになるスポーツドリンク。コンビニやドラッグストアに寄ると、多種多様な商品が並んでいる。

 その中でも特に人気なのは、2大スポーツドリンクである『ポカリスエット』と『アクエリアス』ではないだろうか。

「夏のゴルフのおともにアクエリアスを買っています。ポカリより酸味があって、すっきりとした後味が気に入っています」(40代男性・製造業)

「“飲む点滴”と言われるポカリスエット派です。甘くて、体にスーッと浸透していく感じが好みです」(20代女性・事務)

 実はこの2つは似て非なるもの。成分や効能、効果的な場面に意外な違いがあるという。健康検定協会・管理栄養士の望月理恵子氏が両者の違いを解説する。

ポカリスエットは人体の体液に近い電解質溶液で、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルが豊富。汗で失われた電解質の補給に特化しているため、風邪などの体調不良時の脱水対策におすすめです。

 一方アクエリアスは、疲労回復に効果的なクエン酸やアミノ酸(BCAAなど)など、運動時に必要な栄養分が多いのが特徴。運動中・運動後の水分補給や、熱中症対策に飲みたいドリンクです」(望月氏、以下同)

 とはいえ、両者ともれっきとしたスポーツドリンク。熱中症対策、体調不良どちらに活用しても全く問題はない。

■味の違いが効果にも影響

 また、ポカリスエットは甘味が強い味わいで、アクエリアスはほんのりと酸味を感じるという味の違いもあるが、含まれる成分や期待できる効果にもその要素は反映されているという。

「ポカリスエットの100ミリリットルあたりのカロリーは25キロカロリーで、炭水化物6.2グラムです。対するアクエリアスは18キロカロリーで、炭水化物4.6グラム。

 エネルギー・炭水化物量ともにポカリスエットのほうが高く、さらに複数の糖類が含まれていることで、より水分の吸収が早くなります。

 一方のアクエリアスの酸味に当たるクエン酸は、エネルギー代謝を助ける作用があります。また、カロリーカットを施した『アクエリアスゼロ』にすれば、脂肪燃焼を高めるカルニチンが含まれ、ダイエットにも適しています」

 ちなみに、これはスポーツドリンク全般に当てはまることだが、飲みすぎには要注意。

「糖分が多いので飲み過ぎは血糖値が急激に上昇する『ペットボトル症候群』のリスクもあります。また腎疾患のようなカリウムやナトリウムなど制限ある方は医師に相談のうえ、摂取するようにしてください」

 体調や目的に合ったスポーツドリンクを選び、猛暑を乗り切りたい。

望月理恵子(もちづき・りえこ)
管理栄養士、健康検定協会理事長。「根拠のある情報から、栄養・健康をサポートする」ことを目的に、健康効果のある食事の提案、レシピ開発を行う株式会社Luceを運営。プライベートジムRIZAP立ち上げ時の栄養監修や服部栄養専門学校特別講師、山野美容芸術短期大学講師、小田原銀座クリニック栄養顧問など幅広い活動を行っている。

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