果樹を育てるのは難しそうと思っていませんか? ブルーベリーやラズベリーのようなベリーの仲間なら、鉢植えでも手軽に育てられて消毒の必要もありません。熟した実を味わうのはもちろん、花や紅葉も美しく、庭やベランダで季節の彩りが楽しめます。
花も実もキュートで、紅葉まで楽しめる!
ブルーベリーやラズベリーなど、ベリーと呼ばれる果実はかわいいものが多いですね。ベリー類といっても、園芸的に定義があるわけではありません。今回は英語でベリーと呼ばれるものを中心に、家庭でも育てやすい仲間を紹介します。
果実がおいしいのはもちろん、花がかわいらしく紅葉が美しいなど、見どころの多いガーデニング素材として楽しめます。直径30㎝の10号鉢で育てられ、1日6時間以上の日当たりで栽培すれば、ほとんど手間はかかりません。
本来は冬の落葉時に苗木が多く出回り、植えつけの適期ですが、収穫時期の7月前後は実つきの鉢植えが流通します。暑い時期なので株に負担をかけないように根鉢を崩さずにひとまわり大きな鉢に植えつけ、最初の収穫を楽しみましょう。
庭やベランダで楽しみやすいベリーの仲間5選
春の花に秋の紅葉と楽しみが多い【ブルーベリー】
収穫:7~9月
形態:落葉低木
春にスズランのようなかわいい花を咲かせ、夏に実をつけ、秋には紅葉する、楽しみの多いベリーです。ただし、ブルーベリーは1本だと実つきが悪くなる傾向があります。実つきをよくするには品種の異なる2本の木を一緒に栽培するのがおすすめ。実つきの苗から始める場合は、翌年その1本のままで実がなるか確認してから品種の異なるもう1本を購入するか、検討するとよいでしょう。
また、気候に適した品種選びが大事です。比較的暖地向きのラビットアイ系や寒冷地向きのハイブッシュ系などがあるので、園芸店で確認しましょう。実が色づいて1週間で食べごろになるので1粒ずつ収穫します。
完熟した実
花
紅葉
フェンスやアーチ、トレリスなどで【ブラックベリー&ラズベリー】
収穫:7~8月
形態:落葉半つる性低木
黒く熟すブラックベリーと赤く熟すラズベリーは、どちらも木いちごの仲間です。自立しにくい半つる性の低木で自分から巻きつかないため、フェンスやアーチやトレリスなどに誘引すると見た目もよく、収穫もラクです。
ブラックベリーも最初は赤くなるので、春に咲く白花や紅葉もふくめて、ガーデニング素材として楽しめます。ただし、トゲのない品種を選ぶことがポイント。1粒に見える果実は小さな実の集まりなので、小さな実ごとにタネがあります。また、ブラックベリーは小さな実の集まりの中心に芯があり、やや苦みを感じます。
赤から黒く熟すブラックベリー
ラズベリーの実には芯がない
花
紅葉
幼いころの桑畑の思い出が甦る【マルベリー】
収穫:6月ごろ
形態:落葉低木
マチュア世代のなかには幼いころ、桑畑で食べた桑の実の甘さを覚えているのでは? 養蚕用のクワの木の実がマルベリーです。白い実がやがて赤くなり、黒く熟したら収穫。小さな粒が集まって1個の果実になっているので、ブラックベリーのような細かなタネはありません。ジャムやジュースにも最適。
真っ赤に実る房が注目の的【レッドカラント】
収穫:6~7月
形態:落葉低木
日本ではフサスグリと呼ばれるように、ブドウのような房なりの真っ赤な実が輝いて目立ちます。名前にベリーはつきませんが、ベリーの仲間として流通。実はそのまま食べると酸味が強いので、スイーツの彩りやジュース、花材などに用います。
日当たりがよいと実つきが多くなりますが、夏の高温は苦手なので午後からは半日陰などに移動して、風通しよく育てましょう。
花
長い収穫期が魅力で育てやすい【ワイルドストロベリー】
収穫:ほぼ一年中
形態:常緑多年草
名前のとおりイチゴの野生種で、とても丈夫なハーブです。常緑性で白い小花をよく咲かせ、1株あれば年間通してポツポツと実をつけます。果物売り場に並ぶイチゴに比べると小粒ですが、甘酸っぱい味わいです。日当たりよい場所で育てれば、植えっぱなしでOK!
手間なく栽培できて、ワイルドな味わいが楽しめる
果樹というと、栽培のハードルがやや高く感じられるかもしれませんが、今回紹介したベリーの仲間は手間のかからないものばかり。日当たりのよい場所で育てれば、病害虫の心配もほとんどありません。
ただし、鉢植えで育てる場合、限られた用土で毎年実をならせるためには、冬や実のなる直前、収穫後など2~3回、油かすなどの有機肥料を施しましょう。また、冬には1~2年ごとに植え替え、実つきのよい新しい枝を伸ばすように剪定をします。
花を咲かせるのとはまた一味違うガーデニング。おいしい果実を楽しみに、季節感もたっぷり味わってください。
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