これはメリットしかない!初期費用をかけてもマイホームに「太陽光パネル」を設置すべき理由【住宅系YouTuberが解説】

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マイホームを設計するなら、ぜひ取り入れてほしいのが「太陽光発電」だ。初期費用はかかるものの、実はトータルで見ればプラスになり、コスパの良い投資なのだとか。大人気の住宅系YouTuberが家づくりのポイントを解説する。※本稿は、平松明展『住んでよかった家 理想の暮らしがずっと続く15の空間』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。

初期費用をかけてもお得な「太陽光発電」

 住宅にかける費用の種類はさまざまにありますが、初期費用のみをクローズアップしてしまう人もいます。もちろん、家を建てたあとにローンの返済が続くわけですから、できるだけ負担を減らしたいところでしょう。ただ、初期費用を抑えることばかり考えて性能を低くしてしまい、結果、耐久性が悪くてメンテナンス費や大きな修繕費が発生しては元も子もありません。性能はあとから高めにくいという側面があることを覚えておいてほしいです。
 性能だけでなく設備においても同様のことがいえます。例えば、太陽光発電の設備です。規模によっても違いますが、初期費用が250万円くらい上乗せになります。

 仮に40年間の設定にすると、総売電量での売電収入は約1000万円、さらに電気代は約400万円も削減できます。こうしたシミュレーションを知っていれば、考え方が変わってきますよね。ただし、太陽光発電の設置に適しているのは、高性能住宅(編集部注/耐震性、耐久性、断熱性、通気性、気密性、省エネ性が高い住宅のこと)に限ります。将来を見据えた費用面と生活スタイルを考えてみましょう。

省エネを導く大屋根の家

これはメリットしかない!初期費用をかけてもマイホームに「太陽光パネル」を設置すべき理由【住宅系YouTuberが解説】

同書より転載

 ある夏の日の計測値を紹介します。外が気温32度、湿度70%の日、リビングは気温26.5度、湿度48%です。玄関もほぼ同じ。エアコンによる効果だとしたら限られたスペースだけの数値になりますが、2階のエアコン1台だけの稼働にもかかわらず、玄関や浴室、さらにはクローゼットの中もほとんど同じ数値なのです。

 これは断熱性、通気性が高いのに加え、開放的な間取りにしているため全室に空気が拡散しているからです。湿度の高いお風呂場も機械換気がいらないくらいです。

 断熱性を高めていること、窓の設置場所や大きさを計算していること、ひさしによって日射量をコントロールしていることもポイントです。WB工法(編集部注/壁に二重の通気層を設置する工法。夏と冬で異なる役割を果たして一年中、快適な室温を保つ)による通気性、換気性の高さから室内の空気も常に高いクオリティを維持しています。

 夏はエアコンを24時間稼働していますが、電気代は8000円未満とのこと。その理由は、高い省エネ性はもちろんですが、大きな屋根にあります。屋根には太陽光発電を設置しています。発電した電力が生活に活用されているのです。

これはメリットしかない!初期費用をかけてもマイホームに「太陽光パネル」を設置すべき理由【住宅系YouTuberが解説】

同書より転載

これはメリットしかない!初期費用をかけてもマイホームに「太陽光パネル」を設置すべき理由【住宅系YouTuberが解説】

同書より転載

太陽光発電で固定費削減&売電収入も

 耐震性と耐久性が高ければ、太陽光発電の規模も大きくできます。その分、発電量が増えるので光熱費の削減と売電による収入増が期待できるのです。また、国産の太陽光パネルは、30年以上経過しても出力低下が10%程度の実績があり、最終的に発電量の心配もないといえるでしょう。

 事例の家は太陽光発電を充実させたいから屋根を大きくしたわけではありません。片流れの形状はデザイン性に富んでおり、大屋根にすることで家の安定感も生まれます。さらに、屋根と外壁にはガルバリウム鋼板(アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板)という建材を使用しており、エントランス部分の外壁に使用した木の板ともよく合います。

 この建材は防水性が高く、耐久性を高める役割も担っています。つまり、家の性能、設備の機能性、デザインをトータルでコーディネートした設計なのです。

 話を戻しますが、太陽光発電による光熱費の削減と売電収入は、長期間で見るととても大きな数字になります。次の表は、各種保証期間が25年の太陽光発電を設置した場合の費用対効果を示した例です。差し引きの収支を見て驚くことでしょう。太陽光発電を設置することで家の初期費用がプラスになっても、コスパがよい投資というわけです。

 なお保証期間がこれより短いものでもこれに近い収支が出ます。また、保証期間が短いけれど電気代をより最適化したものも出てきています。シミュレーションをしたうえで選択することを重ねてお伝えします。

図表:太陽光発電の投資例

同書より転載

太陽光発電がより生きるオール電化仕様

 断熱性が悪ければ消費電力が増えるので、太陽光発電の恩恵を十分に受けられません。太陽光発電は耐震性と耐久性が条件とお伝えしましたが、断熱性も重要なのです。事例の家は6等級の断熱性がありますが、窓のカーテンを「ハニカム・サーモスクリーン」というものにして、さらに断熱性を高めています。「ハニカム」は「蜂の巣」という意味。蜂の巣のような形状は二重の空気層をつくり断熱効果を高めます。まさに自然の断熱機能といえるでしょう。

 冷暖房の省エネ効果は、WB工法の特性で十分ご理解いただいているかと思います。実は一般家庭で電力消費量の多いのが、給湯です。例えば食器洗浄機もお湯を使いますよね。この食器洗浄機もさまざまな種類がありますが、大容量のものがおすすめです。現状、海外製のものがこれを満たします。1日に1回だけの稼働ですむため省エネになります。家事の負担も減るでしょう。もちろん価格は高くなりますが、国産のものより耐用年数が長いので、費用対効果が高いです。キッチンの給湯器においても省エネをはかった製品にするとコスパがよくなります。

 キッチンのコンロは、IHクッキングヒーターを検討するとよいでしょう。「ガスのほうが、料理がおいしい」という意見もありますが、電気コンロの質もかなり発展しています。なにより火災のリスクも減ります。

これはメリットしかない!初期費用をかけてもマイホームに「太陽光パネル」を設置すべき理由【住宅系YouTuberが解説】

住んでよかった家 理想の暮らしがずっと続く15の空間』(平松明展 KADOKAWA)

 このようにオール電化にすれば、太陽光発電の恩恵をより大きく得られます。なぜなら売電単価より消費電力の単価のほうが高いからです。必然的にガス代や水道代も削減でき、光熱費のトータルコストが大きく抑えられるのです。

 また、事例の家では将来を見据えて駐車場に電気自動車用のコンセントも設置しています。費用は1万~2万円。自家発電による電力で自動車を使用できるようになれば、住宅費用以外での恩恵も受けられることになりますね。将来の暮らしの想像を楽しむのも「住んでよかった」と感じる要因のようです。

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