のど元は過ぎた?大臣3人が政治資金パーティー 「破産しそうだった」「疑問視する声がどこにあるのか」

 自民党の武見敬三厚生労働相と鈴木俊一財務相、松本剛明総務相の3閣僚が7月下旬から8月上旬にかけて、政治資金パーティーを相次いで開いた。安倍派など党派閥による裏金事件の温床となったことから問題視され、「大臣規範」でも閣僚に慎重な開催が求められているパーティー。3氏は取材に、正当性を主張したり、回答を事実上拒んだりしている。

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武見敬三厚労相(資料写真)

◆「事務所の金庫が空に」…会費2万円で数百人

 3氏の説明などによると、武見氏は東京都で7月29日、松本氏と鈴木氏はともに8月3日、それぞれの地元の兵庫県姫路市と盛岡市で開催。武見氏は会費2万円で数百人、鈴木氏は1万円で250~300人、松本氏は2万円で約70人が参加したという。

 武見氏は2日の記者会見で、「私の事務所の金庫は7月中旬で全く空になることになっていた。(パーティー収入がなければ)破産宣言をしなきゃならないぐらいの状況。背に腹が代えられない」と訴えた。

鈴木俊一財務相(資料写真)

鈴木俊一財務相(資料写真)

 一方、鈴木氏は8日の会見で、「そういう(開催を疑問視する)声はどこにあるのか。パーティーは違法でもなければ脱法でもない」と主張。松本氏は同日の会見で事実を明確に認めず、「政治資金規正法などの法令に基づいて報告したい」との答えを繰り返した。

◆大臣規範で「疑惑招きかねないものは自粛」

 閣僚の政治資金パーティー開催は、2001年に閣議決定された大臣規範で、「国民の疑惑を招きかねないような大規模なものは自粛する」と定められており、これまでも問題視されてきた。

松本剛明総務相(資料写真)

松本剛明総務相(資料写真)

 先の国会では、岸田文雄首相が22年に収入が1000万円以上のパーティーを7回も開いていたことを野党が追及。首相の支援者らが開いた同年の「首相就任を祝う会」も、収支報告書に記載する必要のない脱法的な「闇パーティー」として批判された。首相は2月の衆院政治倫理審査会で、在任中にパーティーを開催しない考えを表明したが、閣僚には同様の対応を求めなかった。

◆3人とも「解散しなかった」麻生派

 自民党は裏金事件を受けた中間取りまとめで、派閥パーティーの開催を禁止したが、個別議員の開催は容認。前後して麻生派以外の党内派閥は解散を決めた。今回の3閣僚は麻生派所属。

 林芳正官房長官は8日の会見で、3氏について「首相は各大臣に、大臣規範に従ってもらいたいと述べている」と語るにとどめ、問題視しない姿勢を示した。(我那覇圭、近藤統義)

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