ふるさと納税で「2万円を5回」寄付した場合、自己負担額は「2000円」か「1万円」のどちらなのでしょうか? 税金はどうやって戻ってくるのですか?

image

ふるさと納税は知っていても行ったことがない人は、どのようなメリットがあるか分からないでしょう。具体的に、「2000円の自己負担が何に対してのものなのか」「税金はどのようにして戻ってくるのか」といった疑問があるはずです。
そこで、本記事ではふるさと納税に関して、特に自己負担や税金が戻る仕組みについて解説します。

 

 

ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税は、自分が生まれ育った故郷や応援したい自治体に対して寄付を行える制度です。対象は全国の自治体で、複数の自治体への寄付も可能です。自治体にとっては、全国から寄付を受けられるメリットがあります。
一方、寄付をする人は、一定の範囲内で返礼品を受け取れる場合がある点がメリットです。また、上限はあるものの、自己負担額2000円を除いた金額が、所得税や住民税の控除を受けることができます。

自己負担額と限度額

年間の寄付金額には限度額が設定されており、限度額を超えた部分は自己負担となるので注意しましょう。全額が控除対象となる目安額は年収や家族構成によって、図表1のように給与所得者の場合の目安が定められています。
【図表1】
image
総務省 ふるさと納税ポータルサイト「ふるさと納税のしくみ」全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安より筆者作成
※1 共働き:配偶者控除の適用がないケース
※2 夫婦:配偶者に収入がないケース
※3 高校生・大学生:16~18歳の扶養親族または19~22歳の特定扶養親族
なお、中学生以下の子どもは控除額に影響がないので計算に含める必要はありません。また、ふるさと納税をした時点では、所得や所得控除が確定していないため正確な上限額は計算できません。あくまで目安として参考にしましょう。

2万円を5回寄付した場合の自己負担額

原則として、寄付の回数や自治体の対象数に制限はありません。また、自己負担額は寄付の回数にも無関係です。したがって、年間の限度額を超えないかぎり自己負担額は年間で2000円を超えることはありません。
ただし、寄付をした自治体の数が5を超えた場合には、下記のワンストップ特例制度を利用できないので注意しましょう。
■ワンストップ特例制度
普段確定申告が不要な給与所得者が、ふるさと納税先の自治体に申請書を提出するだけで、その自治体が寄付者の居住する自治体に控除に必要な情報を提供します。その結果、寄付者が確定申告しなくても寄付金控除を受けることができます。

ふるさと納税での控除と税金還付

ふるさと納税を行うと年間の限度額の範囲内で、2000円の自己負担金額を除いた寄付金額が所得税はその年の所得税から控除(還付)され、住民税分は翌年度の住民税から控除(住民税の減額)されます。ただし、ワンストップ特例を利用した場合は、住民税からのみの控除となります。
給与所得者の場合も、原則として確定申告をする必要があります。また、給与所得者は年末調整によりすでに所得税等が確定しているので、ふるさと納税の寄付金額に対する課税分は申告後に還付されます。
給与所得者以外の個人事業主などは、確定申告時に控除申請をすることで課税額が減額されます。なお、ワンストップ特例制度は、確定申告が不要な給与所得者が利用できる制度です。そのため、個人事業主など確定申告が必要な方は利用できません。
ふるさと納税は節税になるといわれることもありますが、実際は先に納税(寄付)しているため、二重課税にならないように控除されるともいえます。

ふるさと納税は税金の控除や還付を理解して利用しよう

ふるさと納税の自己負担額は、年間2000円とはかぎりません。限度額を超えた分は、自己負担となりますので注意しましょう。
ふるさと納税は、基本的に寄付金控除の制度で、あらかじめ税金分を寄付することになります。ふるさと納税はメリットがたくさんある魅力的な制度ですが、税金の控除や還付について理解をして利用するとよいでしょう。

出典

総務省 ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税のしくみ
常滑市 確定申告をしたときは よくある質問
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

コメント