人はなぜ死に至ってしまうのか。大切な人を突然亡くさないために、できることはないのか――。
大人気ドラマ『ガリレオ』シリーズを監修し、5000体以上を検死・解剖してきた法医学者で、 『こんなことで、死にたくなかった』 (三笠書房)の著者・高木徹也氏が、高齢者の「まさか」の死因を解き明かす――。
キーワードは「サウナ関連死」
今や世間は空前のサウナブームと言っても過言ではないでしょう。
サウナはフィンランドが発祥とされています。
日本では、1792年、北海道根室の海岸で、寒さをしのぐためにフィンランド式サウナを作ったのが始まりだそうです。
サウナ浴は、80度以上のサウナ室に入り、身体が温まったら外に出て冷水風呂に浸かることを繰り返す「温冷交代浴」が一般的。
温熱効果による血管の拡張と血流の活性化、心肺機能の向上、発汗による美肌効果、代謝を高めることによるダイエット効果、ストレス解消による精神的リラックス効果、温冷交代浴による自律神経の活性化など、効能はたくさんあります。
しかし逆に、サウナ浴中や浴後に死亡するケースもあるのです。
極度の寒暖差を、日常では経験できないほどの短時間で感じるのですから、人体に負荷がかかるのは当然でしょう。特に動脈硬化症や糖尿病などの生活習慣病がある高齢者は、血管系の病気を引き起こす可能性が高くなります。
高温の室内に入れば、強制的に血管が拡張され血圧が低下します。さらに、発汗が促され脱水状態になります。
その結果、血圧の低下により脳血流が低下し、脱水によって血液もドロドロになることから、「脳梗塞」の危険が高まるのです。
また、低下した血圧を上昇させようと心拍数が上がるため、心臓に負荷がかかり「心筋梗塞」の危険性も出てきます。
冷水風呂に入れば、今度は強制的に血管が収縮し、脳血流が急激に増えて、「くも膜下出血」や「脳内出血」を引き起こすかもしれません。
そのほかにも、自律神経の急激な反射によって「不整脈」を引き起こす可能性もあります。想像以上に、サウナ浴は人体に負担をかけるのです。
「ととのう」は誤解だらけ!?
サウナ愛好家たちはよく「ととのう」という言葉を口にします。温冷交代浴によって生じる「トランス状態」のことを指すようです。
これが脳内で分泌される「β─エンドルフィン」「セロトニン」などの快楽物質と言われるホルモンにもとづく影響であればいいのですが、人によっては脳血流の低下によって生じる「脳虚血」をトランス状態と勘違いしているように思います。これは脳への血流が減ったことによる気絶状態です。
もう一つ注意すべきは、飲酒してサウナ浴をすることです。
汗をかいてお酒を抜こうとサウナ室に入ってそのまま寝てしまい、熱中症で死亡していたケースが実際にありました。
飲酒は脱水を促進させるので、お酒を飲んだ状態では絶対にサウナ浴をしないでください。
適度に正しく利用するなら、サウナは心身に効果があると言えます。
しかし、「ととのう」ことにハマりすぎて不適切なサウナ浴を続け、命を落としてしまっては元も子もありません。
サウナ浴や温冷交代浴が、人体に大なり小なり負荷をかける行為であることは間違いありません。そのため、自らの体力・体調をしっかりと考慮し、適切に楽しむことを心がけましょう。
・十分に水分を補給しながら、適度な時間で楽しむ。
・急な冷水浴を行なわない。
・飲酒してからのサウナ浴は絶対に行なわない。
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