エアコンお掃除機能って本当に必要なの? ダイキンに聞いてみた

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年々厳しさを増す猛暑を乗り切るためにも欠かせない“エアコン”。日本での普及率は約90%と、もはやほとんどの家庭に当たり前のようにあるエアコンですが、決して気軽に購入できる金額ではありません。

よりお金をかけないで購入するには、機能が限られた製品を選ぶ方法が思いつきます。例えば、お掃除機能付きの製品よりも、同機能を搭載していない製品の方がお求めやすいといえます。

しかしながら、価格面だけを考慮して“お掃除機能”を捨てるというのは、果たして好手と言えるのでしょうか? ダイキン工業 コーポレートコミュニケーション室 広報グループ 重政周之さんにうかがいました。

ダイキン工業 コーポレートコミュニケーション室 広報グループ 重政周之さん

掃除の頻度に圧倒的な差。こまめな人はお掃除機能無しでも

まず第一に“お掃除機能”が一体何のお掃除を指しているのかというと、室内機の吸い込み口に設けられたフィルター部分です。各社様々な呼び方をしていますが、ダイキンでは「フィルター自動お掃除」機能と呼んでいます。

重政さんによれば、室内機は上の方から空気を吸いこみ、中で冷やして、吹き出し口から部屋に戻すという動きをしているのですが、フィルターは空気を吸い込む際に一緒に入ってきてしまったホコリを防いでくれる役割をしているとのこと。

このフィルターに積もったホコリを取り払うというのが、“お掃除機能”の役割であり、よく混同されがちな、運転後に内部を乾燥させる「内部クリーン」機能とはまた別のものになります。

本体カバーを外すと見える網がフィルター

掃除していないフィルター。ホコリが積もっている

このお掃除機能の有無で、具体的に何が変わってくるのか。一番は「フィルターの手入れがラクになる」点にあると、重政さんは言います。

住んでいる家庭の環境やホコリの多さにもよりますが、お掃除機能無しのエアコンでは大体2週間に1回ほどの頻度の掃除が推奨されているのに対し、お掃除機能有りのエアコンは、油煙などの影響でフィルターに汚れがこびりつくような状況でなければ、年に1回の手入れで十分だそう。

しかもお掃除機能有りの場合、フィルターは自動で掃除されてるため、ダストボックスに溜まったゴミを回収するだけで手入れが完了するほか、1回あたりの電気代も、ダイキンでは最大約0.04円とそこまで高くないのが特徴です(RX/AX/DXシリーズの場合)。

「こまめに掃除をするのが苦手な人はもちろん、高所での作業が難しい高齢者にも、手入れを頻繁にしなくていいお掃除機能有りのエアコンはメリットが大きいでしょう。反対に、こまめに掃除をすることが全く苦ではないという人であれば、お掃除機能無しを選んでもいいと思います。ただ一般的に、お掃除機能を持つエアコンには快適性や利便性などにつながる様々な機能も搭載されており、省エネ性も比較的高い傾向にあります。こうした機能や特長を考慮いただくこともおすすめします」と、重政さんはコメントしました。

ダストボックスに溜まったホコリを年に1回取り除くだけで手入れが完了する

内部を清潔に保つためには日頃の手入れが重要

お掃除機能有りのエアコンのほうが、フィルター掃除がラクになるというのは前述の通りですが、一方で素人では洗浄できない内部のクリーニングを業者に依頼する頻度に違いはあるのでしょうか?

重政さん曰く、「〇年置きに業者にお願いしましょう」といった具体的な頻度はないものの、「エアコンをつけたらすごく嫌なニオイがしてきた」とか「目に見えるくらい熱交換器が汚れている」といった症状が見られたら、業者へのクリーニング依頼をおすすめするとのこと。

汚れた熱交換器。目視で汚れていることが分かる場合にはクリーニングがおすすめ

熱交換器に汚れが詰まっていると、嫌なニオイの発生につながるだけでなく、エアコンの運転効率低下によって電気代が上がってしまうこともあるのだそう。

冷房運転中や除湿運転中に必ず結露する熱交換器は、内部クリーンをしないまま放置すると、通気性の悪い小さな箱の中でカビが生えやすくなってしまい、さらにはフィルター掃除を怠ると、フィルターの上に積もったホコリが室内機の中に入ってきやすくなり、それが熱交換器に付着して汚れていく……なんてことにも。

お掃除機能の有無に関わらず、冷房運転後に毎回内部クリーン機能を使用+フィルターの自動掃除or2週間に1回の掃除をしっかりやっていれば、熱交換器が目に見えて汚れたり、ニオイを発したりすることは、頻繁には起こりにくくなると、重政さんは言います。

実際に、重政さんは自宅でダイキンのお掃除機能なしのエアコンを約4年ほど使用しているそうですが、冷房運転後に毎回内部クリーン機能を使用+フィルターを2週間に1回欠かさず掃除をしているため、未だにニオイが気にならないそう。

お掃除機能の有無の違いで、業者にクリーニングを依頼する頻度に大きな差が出ることはないものの、やはり普段からの手入れが重要であることが分かります。業者のクリーニング代も決して安くはないため、お掃除機能無しのエアコンを使用する人は2週間に1回のフィルター掃除をなるべく欠かさず行ないたいですね。

設置する部屋や電気代など長い目でみて選ぶ

また重政さんによると、お掃除機能有りのエアコンは、無しの機種と比べて本体に厚みがあるのも特徴とのこと。必要な部品が増えてくるため、どうしても厚みが出てしまうのだそうです。

そのため、少しでもエアコンの存在感を無くしたい、部屋を圧迫したくないという人にもお掃除機能無しのエアコンはおすすめと言えるでしょう。

フィルター掃除機能非搭載機種。185mmと奥行きがスリムになっている

フィルター掃除機能搭載機種。上記のエアコンより厚みがある

結果的に、掃除機能は上位機種に搭載されることが多く、初期費用だけで見ると掃除機能有りの方が高く思われますが、上位機種の方が省エネ性が高く、上位機種とスタンダードでは1年の電気代が1万円も変わってくる場合もあると、重政さんは言います。

家庭用エアコンの設計上の製品寿命(設計上の標準使用期間)は10年と、家電製品の中でも特に長寿な製品です。10年使うとなると、電気代が10万円ほど違ってくる計算になります。

今買う瞬間の価格か、これから先10年間の電気代か――。このように考えると、単純にお掃除機能無し(の低価格なモデル)のほうがお得とも言えないでしょう。

価格ももちろん大事な判断基準ではありますが、自分のライフスタイルに合った製品を選ぶことが、10年という長い年月を共にするエアコンに関しては大事なことかもしれません。

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