3月24日に始まったマイナンバーカードと運転免許証の一体化は、手続きの効率化やオンライン化を進める一方で、都道府県ごとの差異が浮き彫りになった。現時点で、全国47都道府県の対応方法にバラつきがあり、システム障害や予約制の導入など、地域格差が顕在化している。今後、これらの課題は解消に向かうと予想されるが、現状の不便さをどう解消していくかがカギとなる。
47都道府県で異なる手続きの現実
3月24日、マイナンバーカードと運転免許証の一体化が始まった。運転免許証の情報をマイナンバーカードに集約することで、更新時講習のオンライン化(優良・一般運転者のみ対象)や住所変更手続きのワンストップサービスなど、さまざまな利点が生まれる。
しかし、現時点では
「都道府県ごとに発行手続きに差がある」
という問題が顕在化している。全国47都道府県ごとに対応機関や手続き方法が異なり、国も
「ここに行けば必ずマイナ免許証を入手できる」
といった全国一律の案内を出せない状況だ。デジタル行政の過渡期にはよくあることではあるが、これは不便に感じるのではないだろうか。
3月24日に始まったマイナンバーカードと運転免許証の一体化は、手続きの効率化やオンライン化を進める一方で、都道府県ごとの差異が浮き彫りになった。現時点で、全国47都道府県の対応方法にバラつきがあり、システム障害や予約制の導入など、地域格差が顕在化している。今後、これらの課題は解消に向かうと予想されるが、現状の不便さをどう解消していくかがカギとなる。
マイナ免許証に絡むシステム障害
運転免許証のイメージ(画像:写真AC)
新製品や新ソフトウェア、アプリには不具合がつきものだといわれている。
AppleのiPhoneやiPadでも、ガジェットマニアやテクノロジージャーナリストのなかには、
「発売直後には購入しない」
と心がけている人がいる。これは、発売直後の製品に不具合がある可能性が高いことを経験則として知っているからだ。残念ながら、マイナンバーカードを活用した行政サービスでも同様の問題が発生している。
現在、全国で発生している問題のひとつが、マイナ免許証に関連する
「運転免許センターのシステム障害」
だ。この障害により、マイナ免許証だけでなく、従来型の免許証の発行もできなくなったケースもある。
問題なのは、このシステム障害が全国的に共通して発生しているわけではなく、特定の都道府県でのみ起こっている点だ。システム障害の情報は、該当する自治体や警察署、地元の新聞やテレビ局でしかアナウンスされない。
ローカルな問題であるため、全国紙や全国ネットでは取り上げられない。そのため、該当地域の住民でも、地元のメディアをチェックしない限り、マイナ免許証関連のシステム障害に気づきにくい。
全国でまちまちの対応
東京都では、運転免許試験場でのみ更新を伴わないマイナ免許証発行手続きが可能(画像:警視庁)
マイナ免許証の受付窓口は、都道府県ごとに異なる。例えば、東京都では警視庁の公式サイトに手続き可能施設の情報が記載されている。そのなかで、「保有状況変更のみ」の手続きがマイナ免許証の発行に該当する。
この記事を執筆している2025年3月31日時点、「保有状況変更のみ」に対応しているのは運転免許試験場のみである。
・運転免許更新センター
・指定警察署
・指定外警察署
では、マイナ免許証の発行手続きは行われていない。
一方、山形県では、更新のタイミングでない「マイナ一体化」の手続きを天童市にある山形県総合交通安全センターや、居住地管轄の警察署で受けることができる。山形県は警察署が窓口を開設しているため、マイナ免許証発行の利便性が高いといえる。長野県では、長野県警察の公式サイトに
「更新後にマイナ免許証の保有を希望する場合は、各運転免許センター及び飯田警察署のみになります」
との記載がある。長野県内にある運転免許センターは3か所だが、マイナ免許証発行の窓口を設けているのはそのうちの2か所、飯田警察署のみとなっている。
この3都県を見ても、マイナ免許証の手続きを受ける窓口は地域ごとに大きな違いがある。警察署ではマイナ免許証発行を行っていない地域もあれば、警察署に全て任せている地域、両方に窓口を設けている地域もある。現状、無視できないほどの
「地域格差」
が存在している。
事前予約が必要な地域も存在
マイナンバーカードに一元化するイメージ(画像:写真AC)
マイナ免許証の発行手続きを行うために、事前予約が必要な地域も存在する。
例えば、東京都では「警視庁運転免許手続予約サイト」にアクセスし、運転免許試験場への訪問日時を設定する必要がある。しかし、予約制を導入している地域と、予約なしで対応している地域が混在しており、全国一律の基準は存在していない。
また、土日の窓口開設についても地域や施設によって大きな差がある。例えば、長野県長野市の北信運転免許センターでは第1・3・5日曜日に窓口が開設されているが、同じ長野県でも佐久市の東信運転免許センターは第1・3日曜日、塩尻市の中南信運転免許センターは第2・4日曜日となっている。
このように、各地域で開設日が統一されていないため、利用者は事前に確認が必要だ。
「待つ」のもひとつの選択肢
運転する人のイメージ(画像:写真AC)
今後、地域ごとの格差は解消される方向に進むと予想される。警視庁の公式サイトには
「今後手続可能な施設については順次拡大していく予定です」
と記載されている。現状では運転免許試験場のみで対応しているが、近い将来、運転免許センターや警察署でもマイナ免許証に関する手続きが可能になるだろう。
受付窓口の整備を待ってからマイナ免許証を取得する方法もひとつの選択肢だ。誤解されがちだが、マイナ免許証はマイナ保険証のように従来の証明書を廃止して新しい証明書を導入するものではない。
従来の運転免許証は引き続き使用でき、マイナ免許証との二枚持ちも可能だ。したがって、制度が始まったからといって
「急いで切り替える必要」
はない。自分に最適な方法で新制度と向き合うことが大切だ。
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