2009年に登場したHSは、レクサス初のFF方式の4ドアセダンだった。2013年以降は海外での販売が行われず、日本市場専用車種となっている。数あるレクサス車の中でも、ほとんど日本市場しか見てこなかったHS。日本に特化したレクサスモデルの強みと、中古車で選ぶべきグレードについて考えていきたい。
スピンドルグリルのHSを選んでほしい
いまやレクサスの最大の特徴といってもいいスピンドルグリルは前期型には実装されていなかった
スピンドルグリルになる前のHS(前期型)は、今から16年も前に登場したモデルということもあり、中古車としての価格は非常に手ごろだ。100万円以下でも探すことはできるが、マイナーチェンジ前モデルだったら時間をかけてでも探してほしいグレードがある。
それは専用サスペンションチューニングが施されているversion Sだ。
225/45R18サイズのタイヤを装着し、ショックアブソーバーの減衰力を専用でチューニングしている、卓越したスタビリティを確保したモデルだ。兄弟車のSAIとは全く違う、ダイレクトで俊敏なハンドリングを楽しむことができる。
さらにおススメなのは、何と言ってもマイナーチェンジ後のモデル。フロントグリルがスピンドルグリルに変更された2013年1月以降のHSだ。
吸遮音材を追加したり材質変更を行ったりして静粛性が大きく向上したMC後モデル。スポット溶接打点の追加でボディ剛性が大きく高まり、車体の前後には微振動やたわみを吸収するパフォーマンスダンパーが追加されているので、車格以上の走りを楽しむことができる。
ドライブモードセレクトにはスポーツモードが追加され、加速性能と電動パワステの特性変更が行われているところにも注目したい。
大人しいエクステリアデザインの割には、結構スポーツできるのが、HSの魅力の一つなのである。
MC後は迷わずversion Iを選べ!
マイナーチェンジ後のHSには、標準・version C・version I・version Lの4グレードが設定された。4タイプの中で、中古車HSから積極的に選びたいのは、上から2つ目のversion Iだ。
最上級であるversion Lとの違いは、ミリ波レーダー方式のプリクラッシュセーフティシステムとレーダークルーズコントロール、レーンキーピングアシスト(LKA)・ヘッドアップディスプレイ(HUD)が標準装備かメーカーオプションかという点。
version Iでもメーカーオプションでプリクラッシュセーフティシステム+レーダークルーズコントロール+LKA+HUDは選択できるため、実質的な違いはほとんどないと考えていい。
しかしながら中古車市場を見ていくと、version Lの方が近しい条件の個体で20万円近く高いことが多いから、version Iの方がお買い得なのである。
LとIの細かな差を見ていけば、後席サイドエアバックの有り無しや、プリクラッシュインテリジェントヘッドレストの有無といった違いはあるが、これらは日常的に使う装備ではないため、不要と判断するユーザーも多いのではないだろうか。
新車当時の車両本体価格は、version Lが570万5000円に対して、version Iが494万7000円と、75万8000円もの差があり、この差が中古車価格にも影響している。
ただ、欲しい装備のプリクラ+レーダークルーズ+LKA+HUDは、当時のオプション価格で45万3600円だから、これだけほしいという場合にはversion Iのオプション付きを探す方が、圧倒的にお買い得なのだ。
残念ながら、年式的にレクサス認定中古車になることはできないHS250h。それでもトヨタ認定中古車としては比較的タマ数が多いので、保証の充実したトヨタ認定から中古車選びをする方が良いと思う。
セダンでも居住空間に余裕のあるHS。日本専用レクサスで、レクサスセダンの良さを体感してみてほしい。
文:佐々木 亘/画像:レクサス、トヨタ
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