不動産取得税は、不動産を購入・取得した際に課される税金です。
しかし、地方税法および各都道府県条例が定める条件を満たせば、不動産取得税の軽減措置を利用して負担を減らすことが可能です。新築住宅・中古住宅それぞれに適用できる軽減措置があり、条件や手続きも異なります。
本記事では、不動産取得税の軽減措置の条件、計算方法、申告手続きまでをわかりやすく解説します。不動産取得時のコストを賢く抑えたい方は、ぜひ参考にしてください。
不動産取得税の軽減措置とは?支払いを減らす方法
不動産取得税には、一定の要件を満たすことで税額が軽減される軽減措置が用意されています。軽減措置を受けるには、取得した不動産の床面積、自己居住用であることなどの基準を満たす必要があります。
新築住宅と中古住宅では適用される条件が異なるため、それぞれの要件を正しく把握し、どちらに該当するかを確認しておきましょう。
新築住宅に適用される不動産取得税の軽減措置と条件
新築住宅を取得した場合、不動産取得税の軽減措置を活用することで、税負担を大きく抑えることができます。
不動産取得税は不動産の取得に対して課税されますが、新築住宅で一定の条件を満たす場合、課税標準額から一定金額が控除される仕組みです。
<新築住宅に適用される不動産取得税軽減措置の主な条件>
これらの条件を満たすことで、課税標準額から1,200万円(標準額は地域によって異なる場合あり)が控除され、結果として不動産取得税額が軽減されます。認定長期優良住宅の場合は、1,200万円ではなく1,300万円が控除されます。
中古住宅取得時に活用できる不動産取得税の軽減措置と条件
中古住宅を取得する場合でも、不動産取得税の軽減措置を利用することで、税負担を大きく抑えることができます。一定の条件を満たす中古住宅であれば、軽減措置の対象となります。
<中古住宅に適用される不動産取得税軽減措置の主な条件>
これらの条件を満たすことで、課税標準額から一定額(上限1,200万円)が控除され、不動産取得税が軽減されます。
なお、築年数の要件を満たさない場合でも、耐震基準適合証明書などを取得すれば、軽減措置を受けられる場合があります。
中古住宅とそれが建つ土地を取得し、中古住宅が軽減措置要件を満たす場合、土地の不動産所得税も軽減措置を受けられます。
参照:国土交通省|中古住宅取得後に耐震改修工事を行う場合について
新築住宅と中古住宅で異なる不動産取得税軽減措置の控除額を比較
不動産取得税の軽減措置は、新築住宅と中古住宅で適用条件が異なります。
新築住宅では、控除額は1,200万円です。
一方、中古住宅では、築年数によって控除額が異なります。各自治体でそれぞれ定められているので、地元の要件を確認しましょう。
東京都では、以下の控除額が固定資産税評価額から控除されます。
建築日 控除額
昭和51年1月1日~昭和56年6月30日 350万円
昭和56年7月1日~昭和60年6月30日 420万円
昭和60年7月1日~平成元年3月31日 450万円
平成元年4月1日~平成9年3月31日 1,000万円
平成9年4月1日以後 1,200万円
不動産取得税の計算方法と軽減措置による影響
不動産取得税は、不動産を取得した際に課税される税金で、計算方法は固定資産評価額に税率を掛けて算出します。計算方法を見ていきましょう。
不動産取得税の計算方法
税額は、以下の式で計算されます。
税額 = 固定資産評価額 × 税率(原則4%、住宅の場合は3%:令和9年3月31日まで)
以下に計算例を示します。
新築で固定資産評価額3,000万円の不動産の場合
不動産取得税 =(3,000万円 − 1,200万円)× 3% =1,800万円 × 3%=54万円
固定資産評価額1,000万円・平成元年2月築の中古不動産の場合
不動産取得税 =(1,000万円 − 450万円)× 3% =550万円 × 3%=16.5万円
不動産取得税の軽減措置を適用するための申告手続き方法
不動産取得税の軽減措置を受けるためには、所定の申告手続きを行う必要があります。申告を怠ると、軽減措置が適用されず、予想以上の税額を支払うことになる可能性があるため、手続きを確実に行いましょう。
軽減措置を申告する際、必要な書類は以下の通りです。
申告に必要な書類
これらの書類を準備し、不動産所在地を管轄する都道府県税事務所に提出します。提出期限を守り、必要な書類を正確に揃えて申告を行うことが大切です。
まとめ|不動産取得税の軽減措置を正しく活用して負担を減らそう
不動産取得税の軽減措置は、適切に活用することで税負担を大きく軽減できます。不動産取得税は一度だけ課税される税金ですが、軽減措置を受けることで税額を大幅に削減することが可能です。
軽減措置を活用するためのポイント
これらのポイントを押さえることで、軽減措置を最大限に活用し、負担を大きく軽減することができます。もし不安な場合は、専門家に相談して正確な手続きを行うことをおすすめします。
不動産取得税の軽減措置を正しく理解し活用することで、税金の負担をできるだけ減らしていきましょう。
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