住民税に「森林環境税1000円」が追加されると聞きました。扶養家族3人なら「4000円」払う必要がありますか? 既存の森林環境税と“二重課税”にならないでしょうか?

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給与所得者は給与から天引きで住民税を納めています。その住民税の中に「森林環境税」があることを知っていましたか?
「森林環境税」は2024年度から新設された国税で、住民税とともに納めることになっています。本記事では「森林環境税」の金額や対象者などを詳しく解説します。

「森林環境税」は森林のための税

「森林環境税」は森林整備などのために新設された国税です。森林を整備することで国土の保全、水源の維持、地球温暖化の防止、生物多様性の保全などにつながります。
「森林環境税」は住民税とともに住んでいる自治体に納めたあと国を経由して「森林環境譲与税」と名前を変えて都道府県および市町村に譲渡されます。
日本の目標は2030年度までに温室効果ガスを46%削減(2013年比)することです。森林吸収量の目標も明確に定められていて、林業のイノベーションが進められています。
市区町村と都道府県は、インターネットなどを通じて森林環境譲与税の使い道を公表しなければならない決まりで、国民監視の下で森林整備は行われることになります。

「森林環境税」は1人年額1000円+α

「森林環境税」の金額は1人年額1000円で、対象者は国内に住所を有する個人です。「森林環境税」が非課税になる基準は、市県民税が非課税になる基準と同一の場合と異なる場合があります。
「森林環境税」に類する税は2024年度以前からもありました。神奈川県「水源環境保全税」(300円)、茨城県「森林湖沼環境税」(1000円)など、自治体によって名称も額も異なります。
特に大阪府など複数の府県で「森林環境税(府税・県税)」(300円)が以前から導入されていて、国が新設した森林環境税と名称が同じなので「二重課税ではないか」と勘違いされてしまうことがよくあります。

「森林環境税」は扶養家族分を納めなくてよい

扶養家族がいる場合、人数分の「森林環境税」を払う必要があるのでしょうか? 所得税法上の扶養とは、所得控除を受けるための制度です。扶養家族がいることで税金を減らし手取りを増やすことができます。しかし扶養と「森林環境税」には関わりがありません。
住民税の計算額をホームページで公開している豊島区では、「妻子は所得なし、子どもは17歳と22歳」という夫に対する森林環境税の納付額は1000円としています。つまり、本人の分である1000円だけ納めればよいということです。

扶養されている人も「森林環境税」は納める

「森林環境税」はあくまで個人に対する税金で、「扶養される側であるか」は非課税の基準ではありません。あくまで基準となるのは前年度の収入金額です。
扶養されている配偶者も、子どもも、自治体の非課税基準を上回れば課税対象となります。非課税の人には原則的に納税通知書が発送されませんが、納税通知書が届いた人は必ず税を納めなければいけません。納税は扶養している人ではなく、本人が行います。
非課税となる基準は自治体により異なります。以下は市区町村の中で一番人口が多い横浜市から引用しました。

<非課税となる基準>

・生活保護法による生活扶助を受けている人
・障がい者、未成年者、寡婦またはひとり親で前年の合計所得金額が135万円以下
・扶養親族なしで、前年の合計所得金額が45万円以下
・扶養親族ありで、前年の合計所得金額が次の金額以下
 35万円×(同一生計配偶者+扶養親族数+1)+31万円

まとめ

「森林環境税」という新たな税があることを知らない人がいるかもしれません。この税は国民一人ひとりから納められ、森林整備のために使われます。国民のために使われるというより、世界的に求められているCO2削減基準を満たすための税金です。
「知らないうちに徴税が開始された」「複数の自治体で既に類似の税があり、二重に徴収されることになる」「市町村に管理を任せるのか」といった批判もあるようですが、国際社会から求められるための国の策としかいえません。
せめて徴税された税金の使い道を知らずに済ませることがないよう、自治体ホームページで調べてみるのがよいでしょう。

出典

総務省 森林環境税及び森林環境譲与税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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