公明党の斉藤鉄夫代表は10日、自民党の高市早苗総裁に連立政権から離脱する方針を伝えた。企業・団体献金の規制強化について折り合えなかった。四半世紀続いた安定与党を支える自公の枠組みが幕を引き、政治は混迷を深める。
自公両党の連立は1999年10月に始まった。野党時代をはさんで26年間続いてきた。高市氏が20日以降に召集する臨時国会で首相指名されても自民党単独政権になる公算が大きい。
自公党首は国会内でおよそ1時間半会談した。両幹事長が同席した。
斉藤氏は会談後、記者団に自公連立について「いったん白紙にして、これまでの関係に区切りをつける」と明言した。首相指名選挙では「斉藤鉄夫」と記すと説明した。野党には投票しない。
斉藤氏は閣外協力を否定し、野党の立場になるとの見解を示した。連立離脱後の国会対応に関し「何でも反対の敵方になるわけではない」と主張した。政策ごとに判断する考えを示した。
自民党との選挙協力は「人物本位、政策本位だ」と話した。衆院小選挙区で相互に推薦はしないと言明した。

高市氏は会談後、記者団に「一方的に連立離脱を伝えられた。大変残念だ」と説明した。
公明党はこれまで企業・団体献金を受けることができる政治団体を絞る案を求めた。高市氏は「党内に持ち帰って協議し、手続きにのっとって速やかに対応したい」と答えた。
斉藤氏は今後検討するという自民党の立場について「誠に不十分なものであり、極めて残念だ」と記者団に述べた。
政治資金収支報告書への不記載問題について「すでに決着済みとの姿勢は国民の感情とかけ離れている。これでは政治への信頼回復はおぼつかない」と批判した。
自民党幹事長代行に就任した萩生田光一氏を念頭に「秘書が略式起訴された新たな事柄も起こっている」と言及した。一層の全容解明やけじめが必要との認識を示した。
「自民党の不祥事を国民に説明し、応援することに地方議員を含め限界が来ている」と強調した。
西田実仁幹事長は政治資金問題を解決しなければ「物価高対策などへの信頼を得られない」と危機感をあらわにした。
公明党は4日の党首会談で①政治とカネの問題②靖国神社参拝を含む歴史認識③過度な外国人排斥――の3つの懸念を伝えていた。7日に再び会談し、歴史認識や外国人政策はおおむね認識を共有した。
残った懸案は企業・団体献金の透明化だった。公明党は受け取れる政治団体を党本部や都道府県連に絞る案を迫った。自民党は党支部を受け皿から除外すれば地方議員への影響が大きいため反対意見が強い。
高市氏は党首会談で自民党総裁が代われば連立維持はありうるのか聞いた。高市氏によると、公明党側からは前執行部にも申し入れており「今回の総裁選で誰が選ばれても同じだ」との回答があった。


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