2021年7月に徳之島、沖縄本島北部、西表島とともに世界自然遺産に登録された奄美大島は、温暖な亜熱帯気候が育む手付かずの森や美しいサンゴ礁、透き通るような青い海が広がり、ここでしか見られない奄美固有の希少な動植物の生態系が数千万年かけて形成されてきました。また、奄美の人々が、その自然環境と長年共存して作り上げてきた独特な伝統文化は、訪れる人を惹きつけ、癒しと感動をあたえてくれます。
そんな奄美大島の魅力を一番感じられるのは、世界的にも稀有な島の成り立ちを知って、それを満喫すること。原生林が生い茂る恐竜時代の世界を体感したり、カヌーやSUPでマングローブ林を探検することもできます。さらに、シュノーケリングやダイビングなどのマリンスポーツも楽しめるなど、アクティビティも充実しており、一度訪れたら奄美ファンになること間違いなし。
今回は、初めて奄美大島を訪れる方におすすめしたいスポット10選をご紹介いたします。
スポットその1.金作原国有林(きんさくばるこくゆうりん)
島の中央部に位置する手付かずの大自然が広がる金作原国有林は、高さ10mにも及ぶシダ植物などの亜熱帯特有の植物をはじめ、アマミノクロウサギやルリカケスといった奄美固有の希少な動植物が息づく奄美大島イチオシのスポット。1億年以上前から生息していたヒカゲヘゴや、トトロが傘にしていたクワズイモなどが生い茂るジャングルのような森を歩くと、鳥の鳴き声をはじめ、さまざまな森の音が聞こえてきて、原生林の醍醐味を味わうことができます。
木や草むらをよく観察していると、運が良ければ希少な生き物を見つけられるかもしれません。距離は往復1.8km程度ですが、アップダウンが少ないので、ファミリー、ご年配の方でも安心して歩くことができます。
写真提供:(一社)あまみ大島観光物産連盟
金作原を訪れる際は、環境保全・混雑緩和・安全確保の観点から「奄美群島認定エコツアーガイド(有料)」の同行が必須となっていますので、初めて訪れる方はガイド付きのツアーに参加することをおすすめします。ガイドさんの分かりやすい説明を聞きながら歩くと、自然の美しさに感動するとともに、森の成り立ちや動植物の生態系を深く知ることができるので、観光と学びを両立した価値ある体験が楽しめます。
なお、金作原国有林での禁止事項として、
・一般車両の乗り入れの禁止
・動植物の採取の禁止
・ゴミの投棄の禁止
・焚き火の禁止
などがあります。当たり前のことですが、みんなでルールを守って奄美の自然を維持し、満喫しましょう。
金作原(きんさくばる)国有林
住所:鹿児島県奄美市名瀬朝戸金作原
電話:0997-52-1148(奄美市紬観光課)
アクセス:奄美空港から車で約80分、名瀬から車で約30分
※認定エコツアーガイド例
奄美ツアーズ
金作原国有林
鹿児島県奄美市名瀬朝戸金作原

スポットその2.黒潮の森マングローブパーク(道の駅奄美大島住用)
写真提供:黒潮の森マングローブパーク
マングローブとは、淡水と海水が混ざり合う潮間帯に生育する植物の総称で、ほとんどの樹木が適応できない厳しい環境でも生きることができます。日本では沖縄県と鹿児島県に分布しています。
住用町にある「黒潮の森マングローブパーク(道の駅奄美大島住用)」は、日本国内でも有数の広大な面積を誇るマングローブ原生林を体感できるスポットです。ここでは、カヌーに乗ってマングローブのトンネルを進むツアーが人気で、初心者でも事前に講習を受けてから出発し、ツアー中も専門ガイドが丁寧にサポートしてくれるので安心して楽しめます。満潮のときはマングローブのトンネルをゆっくりと奥まで進め、干潮のときはシオマネキに出会えたり川を歩けたりします。
写真提供:黒潮の森マングローブパーク
館内には、絶滅危惧種のリュウキュウアユなどが展示されていて、写真やシアターを見ながら奄美大島の生態系について学べます。また、グラウンドゴルフやセグウェイ体験もでき、ファミリーやグループも楽しめる施設となっています。
展望台からは、マングローブ原生林を一望でき、その壮大な景色は一見の価値あり。さらに、道の駅でもあるので、旅の途中に立ち寄って、地元の情報収集や休憩にも最適です。
黒潮の森マングローブパーク(道の駅奄美大島住用)
住所:鹿児島県奄美市住用町石原478
電話:0997-56-3355
営業時間:夏期3月~10月 9時~18時(最終入場17時30分)
冬期11月~2月 9時~17時30分(最終入園17時)
休館日:1月1日
入場料:無料(体験等は別料金)
アクセス:奄美空港から車で約70分、名瀬から車で約30分
公式HP:https://www.mangrovepark.com/
黒潮の森マングローブパーク(道の駅奄美大島住用)
鹿児島県奄美市住用町石原478

スポットその3.倉崎海岸
倉崎海岸は、白い砂浜とエメラルドブルーの海が広がる、まさに南国リゾートを感じさせるビーチです。波が穏やかな上に遠浅であるため、カップルやグループ、小さなお子様づれのファミリーも一日中楽しく遊べます。何より海水の透明度が抜群で、潜らずに足のついた状態でもサンゴ礁やカラフルな熱帯魚たちを間近で見ることができたり、サンゴのかけらが混じった白い砂浜を歩いたり、自然が作り出す景観の美しさに感動すること間違いなし!
また、シュノーケリングやダイビングだけでなく、ウィンドサーフィンを楽しむスポットとしても知られていて、マリンスポーツ好きにはたまらない場所です。
※ただし、トイレやシャワーなどの設備はありませんので、訪れる際は必要なものを準備して行くことをおすすめします。
奄美空港から車で約25分とアクセスもしやすく、気軽に立ち寄れるのもポイント。喧騒から離れた静かなひとときを過ごしたい方や、美しい海で心も体もリフレッシュしたい方に、ぜひ訪れてほしいスポットです♪
倉崎海岸
住所:鹿児島県大島郡龍郷町芦徳
問い合わせ:0997-69-4512(龍郷町企画観光課)
アクセス:奄美空港から車で約25分
龍郷町公式インスタグラムで最新情報を発信中
倉崎海岸
鹿児島県大島郡龍郷町芦徳

スポットその4.ハートロック
ハートロックは、干潮のときにだけ姿を現す自然が作り出したハート型の潮だまりです。岩場に反射する光や波音が静かに聞こえる雰囲気がロマンチックで、カップルやファミリーをはじめインスタ映えスポットとして多くの観光客が訪れています。恋愛成就や幸せを願うパワースポットとして知られており、撮った写真を携帯電話の待ち受けにすると効果があるらしいですよ。
波が穏やかで潮位80cm以下の干潮時が良きタイミングなので、あらかじめ干潮の時間を確認しておくことをおすすめします。特に1~3月は、潮だまりが海藻に囲まれてハート型が浮き出るようにはっきり見えるので、いつもよりたくさんのパワーをもらえるかもしれません。
ハートロック周辺は滑りやすい岩場になっているので、見学の際は足元に気をつけてください。また、大雨や強風などにより、潮だまりが砂で埋没してしまい、見ることができないこともありますので、龍郷町ホームページ等もチェックしておきましょう。
ハートロック
住所:鹿児島県大島郡龍郷町赤尾木
問い合わせ:0997-69-4512(龍郷町企画観光課)
アクセス:奄美空港から車で約30分
※参考:潮見表
龍郷町公式HP
ハートロック
鹿児島県大島郡龍郷町赤尾木

スポットその5.奄美大島世界遺産センター
写真提供:奄美大島世界遺産センター
黒潮の森マングローブパークの敷地内に2022年にオープンした奄美大島世界遺産センターは、島の豊かな自然や動植物の生態系を知ることができるフィールド探索型ミュージアムです。奄美大島の森の中をジオラマ風に再現した館内には、アマミノクロウサギやルリカケスなどの固有種のはく製や、実際の映像をもとにした動植物の生態系が分かる観察体験モニターなどがあり、展示の一つ一つが分かりやすく工夫されているので、大人も子どもも楽しみながら学ぶことができます。
また、奄美大島では世界遺産の価値を将来にわたって維持していくために、自然保護と住民生活の共存が図られています。館内をぐるっと一周すれば、貴重な生態系を守るための取り組みやルールを知ることができ、環境保全の意識が自然と心の中に芽生えるはずです。
写真提供:奄美大島世界遺産センター
屋内施設なので天候不良やちょっとした空き時間でも楽しめますし、歩いたり漕いだり泳いだりするアクティビティが苦手な方や体力に自信がない方も、こちらを見学すれば奄美大島の森を擬似体験することができるので、旅の満足度もグッと上がるのではないでしょうか。
奄美大島世界遺産センター
住所:鹿児島県奄美市住用町石原467-1
電話:0997-69-2281
営業時間:9時~17時(最終入場16時30分)
休館日:木曜日、年末年始(12/29~1/3)
入場料:無料
アクセス:奄美空港から車で約70分、名瀬から車で約30分
公式HP:https://amami-whcc.jp/
奄美大島世界遺産センター
鹿児島県奄美市住用町石原467-1

スポットその6.奄美大島紬村
写真提供:奄美大島紬村
奄美大島の伝統工芸といえば「大島紬」。大島紬村は、天然記念物のルリカケスなども生息している亜熱帯植物に囲まれた美しい庭園の中で、製造工程の見学、泥染め体験や機織り体験などができる施設です。
見学エリアでは、染色に使われる車輪梅(シャリンバイ)の木片を大釡で煮出し、その煮汁を使って絹糸を染める作業や、大島紬特有の艶のある深い黒の光沢を生み出す泥染めなど、40以上ある工程の一部を間近で見学できます。熟練の職人さんたちがそれぞれの職人技を活かしてひとつひとつ細かな作業を手作業で丁寧に作っていく、まさに匠の世界。繊細な色合いと防虫・消臭効果も兼ねた独自の技法で、今でも先人たちの知恵と伝統を守り続けています。
こちらの施設を見学、体験をすることで、大島紬の価値と高価な理由もよくわかります。
写真提供:奄美大島紬村
泥染めは、一般の方でも体験ができるので、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。(体験は予約が必要です)また、展示室では大島紬の展示・販売、売店では大島紬のバッグや財布などが、現地ならではのリーズナブルな価格でご購入いただけます。
奄美大島の自然と伝統工芸が融合した「大島紬村」で本場の大島紬の世界に触れてみませんか?
奄美大島紬村
住所:鹿児島県大島郡龍郷町赤尾木1945
電話:0997-62-3100
営業時間:9時~17時(時短営業あり)
休館日:年末年始(12/31~1/1)
入場料:大人550円、小人(小中学生)220円 ※ショッピングのみのご利用は無料
アクセス:奄美空港から車で約20分
公式HP:https://www.tumugi.co.jp/index.html
奄美大島紬村
鹿児島県大島郡龍郷町赤尾木1945
スポットその7.AMAMI BEER HALL
写真提供:AMAMI BEER HALL
AMAMI BEER HALLは、奄美で唯一のクラフトビール工場が併設されたレストラン。奄美大島では、昔から黒糖焼酎が定番のお酒として親しまれていますが、地元民はビールも大好きなんです。実は、クラフトビールと黒糖焼酎が飲めるお店はここだけ。
クラフトビールのラインナップは9種類で、一番人気は「島ばななヴァイツェン」。奄美でもなかなかお目にかかれない奄美大島産の島ばななを使用しているので、フルーティな飲み口でビールが苦手な方でも美味しくグイッといけます。また、冬期や梅雨には、期間限定のAMAMI BLUEというシーズナルビールも販売していますので、ぜひお試しあれ。さらに、料理にもこだわっていて、奄美の食材を使ったピザやパスタをはじめ、島料理も楽しめます。
写真提供:AMAMI BEER HALL
店内はすっきりしたつくりですが、所々にオーナーこだわりの「奄美ならでは」が散りばめられたステキな空間。アクティビティで疲れた体を癒すにはビールが一番!と思う方に是非ともおすすめしたいスポットです。
AMAMI BEER HALL
住所:鹿児島県奄美市名瀬港町1-2
電話:0997-58-8100
営業時間:平日14時00分~23時00分(時短営業あり)
土日祝11時30分~23時00分
アクセス:奄美空港から車で約50分
公式HP:https://amamibrewpub.jp/
公式Instagram:https://www.instagram.com/amamibeerhall/
※定休日等、詳しくはホームページまたはお電話にてご確認ください
AMAMI BEER HALL
鹿児島県奄美市名瀬港町1-2
スポットその8.けいはんひさ倉
写真提供:けいはん ひさ倉
龍郷町にある「けいはん ひさ倉」は、1993年の創業以来、鶏飯専門店として食材にこだわり、多くの観光客や地元の方に親しまれています。
鶏飯とは、鶏肉、錦糸玉子、しいたけ、タンカン(柑橘類)の千皮などの具を熱いご飯の上にのせ、地鶏スープをたっぷりとかけていただく、奄美大島のソウルフードです。
ひさ倉の最大の特徴は、店主が自ら育てた地鶏を使用していること。自家養鶏場で鶏を平飼いし、自由に運動させることで、引き締まった肉質と深い旨味を引き出しています。この地鶏を丸ごと煮込んで作るスープは、濁りがなく黄金色に輝いており、シンプルな味付けながら、コクがあり、優しい味わいです。そんなこだわりの詰まった鶏飯が、スープとご飯がおかわり自由で1430円!味もコスパも最高です。また、新鮮な地鶏を使った鳥刺しや焼き鳥なども人気なので、ぜひご一緒にどうぞ。
写真提供:けいはん ひさ倉
奄美空港から車で約20分とアクセスも良いので、奄美大島での最初の腹ごしらえにいかがでしょうか?
けいはん ひさ倉
住所:鹿児島県大島郡龍郷町屋入516
電話:0997-62-2988
営業時間:11時~16時(ラストオーダー15時30分)
定休日:不定休(材料がなくなり次第終了することがあります)
アクセス:奄美空港から車で約20分
公式HP:https://hisakura.synapse-site.jp/index.htm
けいはん ひさ倉
鹿児島県大島郡龍郷町屋入516
スポットその9.ジェラテリア アンティカ
写真提供:奄美共同印刷
南国に来たら冷たいスイーツが恋しくなるもの。名瀬にあるジェラテリア アンティカは、そんなあなたの希望を叶えてくれる癒しのジェラート屋さんです。
ジェラートといえば、イタリアンバニラやチョコチップのような定番商品も美味しいのですが、せっかく奄美大島に来たからには、奄美黒糖や奄美たんかんなどのご当地の味をチョイスしていただきたい。筆者はなんといっても、ほのかに感じる塩味がコク深いミルクの甘味を引き立てている人気No.1のさんご塩がお気に入りで、一度の滞在で3回食べたこともあります。
写真提供:ジェラテリア アンティカ
奄美の素材を使ったフレーバーだけでも16種類もあるので、その中からどれにしようか悩むのも、スイーツ好きにはたまらなく楽しい旅のひと時ですね。
とても気さくな店主は、たっちゃんの愛称で親しまれており、今後、屋号も「たっちゃんのジェラート」に変更する予定なのだとか。店舗にはイートインスペースも備わっているので、休憩がてら立ち寄ってみませんか?
ジェラテリア アンティカ(たっちゃんのジェラート)
住所:鹿児島県奄美市名瀬港5-26マルサンビル1F
電話:0997-69-3345
営業時間:10時30分~19時
アクセス:奄美空港から車で約50分
※最新情報は公式インスタグラムを要チェック!
※定休日等、詳しくは公式Instagramまたはお電話にてご確認ください
ジェラテリア アンティカ
鹿児島県奄美市名瀬港5-26マルサンビル1F
スポットその10.加計呂麻島(かけろまじま)
奄美大島の南端にある加計呂麻島は、古仁屋港からフェリーで約20分とアクセスもよく、気軽に行くことができます。島全体が手付かずの自然と透き通る美しい海が広がっているので、「奄美大島最後の秘境」とも言われたりします。また、あまり観光地化されていないので、素朴でのどかな雰囲気が好きという方も多くいらっしゃいます。
加計呂麻島といえば、なんとなく「離島の中にある小さな島」というイメージを持たれやすいですが、実際は、島の全周が約150kmもあって、ゆっくりと散策すれば1日では足りないほどに見どころ満載!白砂のビーチや岩礁、入り江など映えスポットが数多く点在しているほか、夕方には美しいサンセット、夜には満天の星空を眺めることができます。さらに、水の存在を忘れてしまうほど透明度の高い珊瑚の海をシュノーケリングやダイビングで楽しんだり、SUPや無人島散策などアクティビティの種類も豊富で人気があります。
島内散策は、地元のガイドさんと一緒に散策することをおすすめします。個人でのんびり歩くのも良いですが、何気ない景色がガイドさんの案内によって魅力が何倍にも増しますよ。
また、夏には、マンゴー、パッションフルーツ、島ばなな、グァバなど南国フルーツが豊かに実り、南国気分を味わえます。島内の商店にも普通に売っていますので、チャンスがあれば手にとってみてください。
奄美本島とはまた違った魅力がある加計呂麻島。どこか懐かしさを感じる空気や雰囲気に触れてみられてはいかがでしょうか?
加計呂麻島
住所:鹿児島県大島郡瀬戸内町
アクセス:フェリーかけろま(古仁屋~生間・瀬相)
http://www.town.setouchi.lg.jp/senpaku/jikokuhyou.html
※天候や行事により、運行日程が変更または運休になることもありますので、必ずお問合せの上、ご乗船ください。
※問い合わせ先:0997-72-3771(古仁屋待合所)
加計呂麻島
鹿児島県大島郡瀬戸内町

さいごに
今回ご紹介させていただいたスポットは、奄美大島の王道であり、入り口です。そして、一度訪れると多くの方が「また行きたい」「もっと深く知りたい」と思ってしまう不思議な魅力があります。
ファミリー・友人同士・カップルなど誰でも気軽に大自然を満喫できる奄美大島で、心も体も健康になる贅沢な癒しのひとときを、是非とも過ごしてみられてください。
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