南海トラフ巨大地震の予測を目指す観測機器「ひずみ計」が、宮崎県延岡市に新たに設置された。地下250メートルの深さに埋設され、岩盤のごくわずかな伸び縮みを観測、スロースリップの変化を把握し、地震予測に繋げていく。データはリアルタイムで送信され、南海トラフ地震地震臨時情報の発表にも利用される。
岩盤を観測しプレートの動きを分析
今後30年以内に80%程度の確率で発生するとされる南海トラフ巨大地震の“予測”を目指し、岩盤の伸び縮みを観測する「ひずみ計」が2025年3月、宮崎県延岡市にある北方総合運動公園のテニスコート跡地に設置された。
ひずみ計は、直径66ミリ、長さ3メートルほどの円筒型の観測機器で、国の研究機関・産業技術総合研究所が事業費およそ4億4000万円をかけて整備してきた。
末永進吏記者:
岩盤の伸び縮みを観測できるひずみ計が、これから250メートルほどの深さのところに埋設される。
このひずみ計は、岩盤のごくわずかな伸び縮みを観測することができ、複数の観測施設で得られたデータを組み合わせることで、プレートの動きを分析できる。
この観測網によって把握しようとしているのが、プレートの境界がゆっくりとすべる「スロースリップ」という現象だ。
産業技術総合研究所 板場智史主任研究員:
あくまでシミュレーションの一例ではあるが、巨大地震の発生が近づくと、スロースリップの起こり方が変わる。発生間隔が変わったり、発生する場所が変わることが考えられる。通常とは異なるスロースリップを検出することがカギになる。
産業技術総合研究所では、2006年度から南海トラフ沿いの愛知・紀伊半島・四国・大分にひずみ計を整備。延岡市は20地点目、九州では2地点目になる。
産業技術総合研究所 板場智史主任研究員:
これまでは豊後水道や日向灘で発生するスロースリップを詳しく把握することができなかったので、今回、宮崎県延岡市にひずみ計を設置することによって、将来的には南海トラフ沿いで発生する巨大地震の予測につなげていきたいと考えている。
延岡市に設置されたひずみ計のデータは、茨城県つくば市の産業技術総合研究所にリアルタイムで送られるほか、約1年後には気象庁による地殻変動の監視にも活用されるという。
ひずみ計のデータは、2024年8月と2025年1月に発表された「南海トラフ地震臨時情報」を出す際にも活用される。
南海トラフ地震の調査が始まる条件には、南海トラフ地震の想定震源域内でマグニチュード6.8以上の地震が発生した場合、そして「南海トラフ沿いで異常な現象が観測」された場合の2つがある。これまでの2回は「マグニチュード6.8以上の地震」という条件を満たしたため、発表された。
そして、もう一つの「異常な現象」というのがプレート境界で起こるスロースリップなどだ。この「異常な現象」を把握するために、産業技術総合研究所や気象庁が整備しているひずみ計が活用されるという。
産業技術総合研究所が整備してきたひずみ計は延岡市が最後で、担当者は、「スロースリップがなく、突然、地震が発生する可能性もある」とした上で、「まずは、通常起こっているスロースリップについて研究を進めていきたい」としている。
(テレビ宮崎)
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