地域の人たちのために!走る看護師 みんなのタクシー「かんご屋さん」 鹿児島・肝付町

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鹿児島県肝付町で福祉タクシー会社を開業した男性看護師の話題です。
福祉タクシーとは、体の不自由な人や病気の人の送迎などを行うサービスで、男性は看護師の資格も生かし、日常の困りごとにも対応しています。
そんな「走る看護師」のお仕事を取材しました。
「こんにちは~!かんご屋さんの猪之俣です」
こちらの男性は、「走る看護師」こと猪之俣智幸さん37歳です。
これまで16年間、病院などで看護師として働いてきた猪之俣さん。
しかし、一念発起し、2024年9月に福祉タクシーの会社を開業。
今では病人はもちろん、体の不自由な人や寝たきりの人も運ぶ福祉タクシーで、大隅を走り回っています。
「スズさん、足のむくみはどうですか?とれました!?ああ、良かった~」
かんご屋さん・猪之俣智幸さん
「運転は好きな方だと思います。楽しくやってます」
この日、車椅子の常連さんと向かったのはコスモス畑。
「ほらすごいですよ、スズさん見て。ここを見て欲しかったんですよ」
「きれい」
体に不安を抱える人たちが行きたい所に行ったり、やりたいことをできるよう送迎を含めてサポートするのが猪之俣さんの仕事です。
「わあ、これきれい」
「ねえ、この色すごくきれい」
「風も気持ちいいですしねー」
同じく看護師の妻、梢さんは現在も病院勤めですが、仕事が休みの時は夫の仕事をサポート。
おかげで常連さんも車椅子に乗ったまま、スムーズに外出できました。
かんご屋さんの常連・中村スズさん(93)
「(猪之俣さんは)とても優しいし本当に良かった。病院に行ったり、楽しいところがあったらそんな所に(行きたい)。コスモスを見るのも何十年ぶりなんです」
現在、子供部屋の一角に事務所を構える猪之俣さん。
安定した看護師務めを辞めてまで、この世界に飛び込むきっかけとなったのは、夫婦で取得した1年間の育児休業期間中に、知り合いや近所の人から受けた数々の相談だったそうです。
猪之俣さん
「『そういう症状だったら救急車を呼んだ方がいいですよ』とか『心配だったらお伺いしましょうか?』と言って、そういう(相談の)電話をもらったりした。その場にしっかり行けるのは福祉車両。車いすやストレッチャーに乗せて病院まで送っていける」
屋号を「かんご屋さん」に決め、体調不良や介護の「困った」を助けることにしました。
そして、11月20日ー
猪之俣さんは消防から「患者等搬送事業者」の認定を受けました。
この認定は、緊急性の低い患者の転院や送迎など、消防ができない搬送を民間事業者として請け負うことができる資格です。
実は軽症にも関わらず、救急車を呼ぶいわゆる「不適切利用」は年々増えていて、大隅肝属地区消防組合でも2023年搬送した7164件のうち、約4割が不適切利用だったそうです。
大隅肝属地区消防組合・内山智文消防長
「民間救急を活用してもらえると救急車の方も適正な運用ができる」
猪之俣さん
「幅広いニーズを拾い上げて活動できる地域の看護師さんとして利用してもらえるよう、名前が広がればありがたい」
妻・梢さん
「お母さんが1人で小児科に連れていくのが心配な時や妊婦さんとかが気軽に相談してくれたら」
初乗り料金は650円。
タクシーの待機料と同額の10分500円で入浴介助やお墓参り、電球交換なども承ります。
介護や体調不良の「困った」を救うかんご屋さん!
地域の人たちのためにきょうも大隅を走ります。

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