砂むし温泉入浴中のデータ測定や、感覚の聞き取りを行う関係者=指宿市湯の浜5丁目
砂むし温泉の入浴前に測定機器を装着する被験者=指宿市湯の浜5丁目
鹿児島県指宿市が筑波大学(茨城県)や鹿屋体育大学と連携し、砂むし温泉の健康増進効果について検証に乗り出した。入浴中や前後で身体のデータを測定し、サウナ、温浴と比較して安全性などを調べる。観光資源としての付加価値を高め、新たな温熱療法確立やスポーツ合宿の誘致につなげるのが狙いだ。
砂むし温泉は指宿を代表する観光資源で、市営の「砂むし会館砂楽」には国内外から年間約25万人が訪れる。健康効果に関しては、過去に行われた医学調査でも血液の循環促進による老廃物の排出などが示されてきたが、サウナや温浴と条件をそろえて比較実証するのは初めて。
11月下旬から12月17日にかけて、被験者14人が砂むし温泉、サウナ、温浴の三つを別々の日に検証する。入浴中とその前後に深部体温や血圧、呼吸回数、二酸化炭素の濃度などを数分置きに測り、寒さや快適性といった感覚の聞き取りも行う。
被験者の一人で、県下一周駅伝指宿チームの選手でもある市職員の前田伯さん(34)は「デトックス効果などが数字で示されれば、疲労がたまった時などに利用したいと思うアスリートは多いはず」と期待する。
検証を主導する筑波大学体育系の藤井直人准教授は「砂むし温泉は横になり砂が体に乗った状態で入るため、体温や血圧の変化がサウナとも異なることが予想される」と指摘。「安全性や効果を科学的に示し、論文で世界に発表したい」と意気込む。市によると、研究成果は年度内の公表を目指している。
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