夫と妻の二人で「10万円以上」の医療費を使った場合、書類は2人分必要なの?

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国の医療費は、新型コロナウイルスの影響や高齢化の進行、医療技術の高度化などで年々増加しています。家計においても医療費が占める割合が増え、これを機に医療費控除について調べようとして「夫婦で10万円以上の医療費がかかった場合も、医療費控除が受けられるのか?」という疑問を持った方もいるのではないでしょうか。
今回は、夫婦で医療費控除を受ける際のポイントについて、必要書類から具体的な申告方法まで、分かりやすく解説していきます。

夫婦の医療費は合算して申告できる

医療費控除は、1年間(1月1日から12月31日まで)に支払った医療費から10万円(所得が200万円未満の場合は所得の5%)を差し引いた額について、最高200万円まで所得から控除できる制度です。
夫婦の場合、それぞれの医療費を合算して申告することが可能です。例えば、夫が6万円、妻が5万円の医療費を支払った場合、合計11万円となり、基準額の10万円を超えるため医療費控除が受けられます。

申告に必要な書類と準備の方法

医療費控除に必要な書類は以下のとおりです。

1. 医療費控除の明細書
2. 医療費の領収書(※2017年分以降は提出不要だが5年間の保管が必要)
3. マイナンバーカードまたは通知カード
4. 本人確認書類(運転免許証など)
医療費控除の明細書には、主に以下の項目を記入する必要があります。
● 医療を受けた人の氏名
● 病院・薬局などの支払先の名称
● 医療費の区分
● 支払った医療費の額

夫婦での申告方法のポイント

配偶者の医療費を含めて合算することで、より多くの控除を受けられる可能性があります。

1. 申告は世帯主がまとめて行うことが可能

夫婦の医療費控除の申告について、多くの方が疑問に感じるのが「誰が」「どのように」申告するかという点です。基本的なルールとして、夫婦の医療費控除は世帯主がまとめて申告できます。
具体的には、医療費控除の明細書に夫婦両方の医療費をまとめて記入することが可能です。例えば、夫が病院で支払った診療費、妻が薬局で購入した医薬品代、すべて同じ明細書にまとめられます。これにより、複数の明細書を作成する手間が省け、申告手続きがより簡単になります。
ただし、明細書の記入時には、誰がいつどこで支払った医療費なのかが明確に分かるよう、医療を受けた人の氏名、医療機関名、医療費の区分、金額などを正確に記載することが重要です。これは、後日税務署から問い合わせがあった際に、すぐに照会できるようにするためです。

2. 合算できる医療費の範囲

医療費控除の対象となる費用には以下のようなものが含まれます。

● 病院や診療所での診療費
● 医師や歯科医師による治療費
● 医薬品の購入費
● 通院時の交通費(ただし、常用の交通手段による金額)

具体的な節税効果の試算

では、実際に夫婦で医療費控除を受けた場合、どの程度の節税効果が得られるのでしょうか。年間所得と医療費の支払額に応じた具体的な節税効果を
表1で見てみましょう。
表1
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出典:国税庁「令和5年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」より筆者作成
年間所得が400万円の世帯で15万円の医療費を支払った場合、5万円の控除を受けることができ、約1万円の節税効果が見込めます。医療費の支払額が多くなるほど、控除額も大きくなり、より大きな節税効果を得られる可能性があります。

申告の期限と方法

確定申告の期限は毎年2月16日から3月15日までと定められています(土日にあたる場合翌営業日)。医療費控除を申告する方法としては、e-Taxを利用したオンライン申告、税務署の窓口での直接申告、そして郵送による申告の3つの方法があります。
なかでもe-Taxによるオンライン申告は、自宅のスマートフォンやパソコンから24時間いつでも手続きができるため、仕事で忙しい方や税務署に足を運ぶ時間が取れない方に便利な方法といえます。

医療費控除制度を活用して賢く家計を管理しよう

夫婦での医療費控除は、家計の負担を軽減できる重要な制度です。申告の際は、医療費を世帯で合算できることを覚えておきましょう。また、医療費控除の明細書の作成と領収書の適切な保管も重要なポイントとなります。
さらに、e-Taxを活用することで、自宅から申告手続きが可能です。マイナンバーカードがあれば24時間いつでも申告ができ、初めての方でも画面の案内に沿って入力するだけで、比較的スムーズに手続きを進められます。得をするためにも、早めに必要書類の準備をおすすめします。

出典

国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療控除)
国税庁 No.2260 所得税の税率
国税庁 令和5年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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