近年、従来の墓石を伴うお墓ではなく、納骨堂を選ぶ人が増えてきました。背景には「費用がかかる」「管理が大変」といった事情や、子どもや孫に将来の負担を残したくないという考えがあります。
今回は、一般的な納骨堂の初期費用やお墓との違いを分かりやすく整理します。
納骨堂の初期費用は30万円から50万円が中心
納骨堂を検討するうえで、多くの人がまず気になるのが「どのくらい費用がかかるのか」という点です。
株式会社ディライトが運営する『お墓の口コミ』の調査(2025年、1002人対象)によると、納骨堂の購入金額は30万円から50万円未満が最も多く、全体の中心価格帯となっていました。
種類別に見ると、ロッカー式納骨堂は30万円から70万円未満に集中し、コストを抑えたい層から支持を集めています。一方で、自動搬送式や仏壇式は70万円から100万円をケースもあり、設備やデザインによって差が出ます。
参考までに、一般的な墓石を伴う区画墓地では、土地代や墓石代を含めると100万円以上かかることも少なくありません。納骨堂はそれに比べて費用を抑えやすく、特に都市部では現実的な選択肢といえるでしょう。
ただし、すでにお墓を持っている人が納骨堂へ移る場合には「墓じまい」の費用も考慮する必要があります。
墓石の撤去や処分、閉眼供養、遺骨の移動などを含めると、一般的な区画墓地では40万〜70万円程度かかるケースが多く、条件によっては100万円近くになることもあります。つまり、納骨堂の契約費用に加えて墓じまい費用をあわせた金額が、実際の総負担となります。
管理費は年間1万円から2万円程度
納骨堂は初期費用だけでなく、年間の管理費がかかります。管理費は年間1万円から2万円程度が一般的です。施設の管理体制やアクセスの利便性によって幅はあるものの、屋外墓地のように草むしりや清掃が不要な点は利用者のメリットといえるでしょう。
また、盛岡市が2023年に行った市民アンケートでも「維持管理にかかる費用が心配」と答えた人が39%にのぼり、多くの人がランニングコストに不安を抱いていることが分かります。納骨堂は、そうした費用の負担を軽減できる選択肢として注目されています。
納骨堂の満足度は9割前後
先ほどの『お墓の口コミ』の調査では、納骨堂を利用している人の9割前後が「満足している」と回答しています。一方で、「思ったより費用がかかった」「参拝ルールが厳しかった」といった声も一定数ありました。契約前に費用や利用条件を確認することは欠かせません。
全体的には、「管理の手間がない」「天候に左右されない」「継承者が不要」といった点が高く評価されており、現代のライフスタイルに合った供養の形として広く受け入れられているようです。
納骨堂は費用も負担も抑えられる合理的な選択
納骨堂の初期費用は30万円から50万円程度が中心で、管理費は年間1万円から2万円ほどに収まるのが一般的です。従来のお墓に比べ、金銭的にも管理面でも負担が少なく済む傾向があります。
今後も「子どもに負担を残したくない」「コストを抑えたい」と考える人にとって、納骨堂は現実的な選択肢となっていくでしょう。
出典
株式会社ディライト『お墓の口コミ』「納骨堂」に関する調査(PRTIME)
盛岡市 令和4年度市民アンケート調査:調査結果と考察「お墓について」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
コメント