AIイラストレーターやAIライターが活動する現代社会。パクり・パクられという問題は社会問題になりつつあり、我々にとっても決して他人事ではない。
食品業界においてもそれは同様で、商品を象徴するネーミングに関しては特にセンシティブ。絶対に同じ名前&似た商品で販売なんてできないハズだ。
ところが、信じられないことに宮崎と北海道に『ヨーグルッペ』という同じ名前の飲み物が存在することを発見してしまった。
コレって大丈夫なの? 心配になったので調べてみることにした。
・ふたつのヨーグルッペ
読者の中には、そもそもヨーグルッペ自体を知らない方もいるかもしれない。一言で説明すると、ご当地限定の乳酸菌飲料である。
左が宮崎のヨーグルッペで、右が北海道のヨーグルッペ。
それぞれのヨーグルッペは遠く離れた地域で限定販売されているため、並べて陳列される機会がほぼ無い。想像ではあるが、同名の乳酸菌飲料が存在することを知らない現地住民もいるんじゃないだろうか。
(ちなみに筆者自身は、偶然隣り合わせていた宮崎と北海道のアンテナショップで「同じ名前!?」と気付き、買うに至った。)
一番気になるのは味の違いである。さっそく飲み比べてみたところ、宮崎版はまろやかな甘みが際立って濃厚。
飲むヨーグルトに近い味わいがあるけど、ヨーグルトよりはサッパリとしているかな。酸味が控えめでミルク感もあるので、個人的にはかなり飲みやすい。
北海道版は、アッサリとしていてゴクゴクとたくさん飲める。
宮崎版と比較すると酸味があるけど、決して酸っぱいワケではない。飲むヨーグルトよりヤクルトに近いような味で、発酵の美味しさがより感じられるかな。
宮崎がアッサリ、北海道が濃厚だと予想していたため意外だったが、少なくともどちらのヨーグルッペも同じ方向性の飲み物であることは確かだ。
ついでにコップに出してみるとこんな感じ。
ちょっとちょっと! 見ためではまったく区別がつかないじゃない!!
ソックリ疑惑はこれで終わらなかった。なんていったって、原材料はほぼ一緒。
成分表示も誤差かなっていうぐらいの違い。
おまけにパッケージを見てみると、「ヨーグルッペ」のロゴの形状が微妙に寄せられていることがわかるし、
イラストも、広大な山&牧場&小屋の前に女性が立っているというシチュエーションが一致。
うぅぅーん、似ている。どちらかが “やっちゃってる” としか考えられないような類似具合だ。今の時代にここまで似せちゃって大丈夫なの……!?
・メーカーに聞いてみた
心配になってきたので メーカーに直接話を聞いてみることにした。その結果、北海道版を製造する 北海道日高乳業からの回答は以下の通り。
「弊社は宮崎でヨーグルッペを製造する南日本酪農協同さんの子会社でして、その関係から同じ名前で乳酸菌飲料を製造させていただいております。
ふたつの違いは容器の形と原材料で、具体的には生乳や砂糖の生産地が異なります」
念のため宮崎版ヨーグルッペを製造する 南日本酪農協同にも同じ問い合わせをしてみたが、
「関連会社ということで同じ商品を製造しております」
と、ほぼ同じ回答であった。(ちなみに両社が作る同名商品は、ヨーグルッペのみということ)
まさかの真相である。ふたつのヨーグルッペを作るメーカーは親会社と子会社という関係にあり、決してパクり・パクられという関係ではなかった。
なにをキッカケに同名の商品を作り始めたかまでは 両社ともにわからないようだったが、現地住民から深く愛されてる飲み物であることは共通している。これにて一件落着、ひと安心だ。
南北ふたつのヨーグルッペ。もしも手に入ったならば是非飲み比べてみてほしい!
参考リンク:南日本酪農協同(デーリィ) ヨーグルッペ、北海道日高乳業 ヨーグルッペ
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.
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