鹿児島県鹿屋市の細山田小学校で長年続く、炭焼き活動の話題です。
地域で受け継がれてきた活動を、木の伐採から炭の完成まで密着しました。
11月上旬、鹿屋市串良町の雑木林です。
細山田小学校からほど近いこの場所で、次々と切り倒されて行くのは樫やマテバシイの木。
いずれも木炭の原料です。
ここでは、細山田小学校で30年以上続く、炭焼き活動の準備が進められていました。
保護者
「(自分の子供が)母校に通っているので、またこういう機会があってありがたい」
元々は今から31年前、校内の池の水質を浄化するため炭を焼いたのがはじまりで、なんとこの活動のために学校の中には炭焼き窯が。
2024年に赴任した校長先生も、これにはびっくりです。
Q.炭焼きは初めて?
細山田小学校・下村尚校長
「もちろんです。めったに体験できない」
それから5日後。
5年生の授業で窯入れ作業が行われました。
「ちょっと重たいよ 大丈夫?」
児童たちは重い木を窯の中にすきまなく詰め込んでいきます。
5年生
「とても重くて、詰めるのが難しかったので大変だった」
作業をしているうちに、児童たちにはこんな疑問が。
5年生
「どうやったら炭になるんだろうと。『燃えすぎじゃないの』と思った」
木が灰にならずに炭になる仕組みに興味を持ったようです。
この疑問に答えてくれたのは、理科が専門の教頭先生。
細山田小学校・沖園良介教頭
「木の中にいっぱい入っていた水が窯の火で温められることで、水だけが飛び、燃えない炭素が残り、それが炭になる」
炭焼き活動を通した学び。
きっと子供たちの心に深く残ることでしょう。
最後に石と粘土で窯にふたをして、いよいよ火入れです。
これから数十時間、保護者と教師らが交替で絶やすことなく火をたき続けます。
長く過酷な時間…ですが、そんな過酷な時間を乗り越えられるのは、みんなの支えがあるから。
「火の番を頑張りましょう、乾杯」
夜の炭焼き窯をのぞいてみると、そこでは火の当番と、様子を見に来た保護者やOBが一緒に鍋を囲んでいました。
教師
「保護者と話しをして、いろいろな気持ちを伝え合うところがいい」
炭焼き活動を通じて学校と地域の絆も育まれているようです。
そして、火入れから4日後―
窯の煙突から青く見える煙が上がってきました。
火を止める合図です。
このあとは薪をくべていた焚き口を粘土で閉じ、1カ月ほどかけて窯の中をゆっくり冷ます行程に入ります。
吉留李奈リポーター
「あれから1カ月が経ちました。今日はいよいよ窯出しの日です」
子供たちはもちろん、保護者や先生、みんなの思いが詰まった窯。
開けてみると…
釜の中には立派な炭が!
試しにひとつ手に取って割ってみると…
「コンコン」
「(かつお節の)本枯節みたいな感じ」
「コンコン」
「いいんじゃないですか」
木炭同士をたたくと、まるで金属のような音がする密度の高い上質な木炭ができあがっていました。
そしてここからは6年生の出番。
木炭を使いやすい大きさに切り、袋詰めする作業です。
6年生
「きれい」
「できているんだと思った、炭が」
「みんなで協力してできるから良い炭になると思う」
「めっちゃきれいで、すごい」
袋詰めされた炭は地域の人たちに販売され、売り上げはPTAの活動費用にあてられるということです。
細山田小学校PTA・南美和会長
「田舎ならではの皆さんの協力があり、子供をみんなで見守ろうというのが出ている行事。宝にしたいと思って、これからも続けたい」
体験を通して児童たちが学ぶだけでなく、学校と地域をつなぐコミュニケーションの場もつくる炭焼き活動。
いまや細山田小学校にとってかけがえのない地域の宝になっているようです。
「炭焼き大成功!」
完成した木炭は3キロ500円で、12月14日午前9時から、細山田小学校の理科室前で販売するということです。
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