「年金手帳の新規発行が停止された」というニュースを耳にした方も多いかもしれません。長い間、国民年金や厚生年金の加入・記録の証明書として使われてきた年金手帳ですが、制度改正によって新規発行は停止されました。
では、今手元にある年金手帳は捨ててしまって大丈夫なのでしょうか。必要になる場面や保管の重要性、今後の手続きへの影響について解説します。
年金手帳はなぜ廃止されたのか
年金手帳が新しく発行されなくなったのは、制度の根本的な仕組みが変わったからです。その背景には、「マイナンバー制度」の導入があります。これまでは、基礎年金番号や年金の加入状況などを確認するために、紙の年金手帳が使われていました。
しかし、現在ではマイナンバーを活用することで、行政機関が一人ひとりの年金情報をオンラインで一元的に管理できるようになっています。そのため、紙の年金手帳で個人番号や記録を管理する必要性が薄れたのです。
これから年金制度に加入する方は年金手帳を持たず、基礎年金番号通知書やマイナンバーカードで証明できる仕組みになっています。
手元の年金手帳は今も使う場面があるのか
すでに発行されている年金手帳は、制度が廃止されたからといって、すぐに使えなくなるわけではありません。
手帳には基礎年金番号が記載されており、これまでと同様に加入記録の確認や証明が必要な場面で利用することができます。例えば、次のような場面では手元の年金手帳が役立つでしょう。
・基礎年金番号が必要な手続きで、通知書や番号が手元にない場合
・年金に関する書類作成や問い合わせの際、記載された番号を確認したいとき
・退職や転職の手続き時に、勤務先から基礎年金番号の提示を求められる場合
また、将来的に基礎年金番号通知書を紛失してしまった場合でも、年金手帳が残っていれば、自分の番号をすぐに確認できるため安心です。年金手帳はこれまで公式な書類として扱われてきた経緯があり、今後も必要に応じて、公的な証明書類としての役割を果たすことがあります。
すでに手元にない場合どうすればよいのか
「年金手帳がすでに手元にない」「紛失してしまった」「基礎年金番号の記載が見当たらない」場合は、どのように対応すればよいのでしょうか。
2022年4月以降は年金手帳の再発行が行われていないため、代わりに「基礎年金番号通知書」の発行を申請することになります。手続きは、住んでいる市区町村窓口や近くの年金事務所で行えます。
マイナンバーや通知書があれば、年金に関する各種手続きは問題なく進めることができます。基礎年金番号は変わることがないため、大切に保管しましょう。
また、「ねんきんネット」や「マイナポータル」などのオンラインサービスを使えば、自宅にいながら年金記録や基礎年金番号を確認することも可能です。
年金手帳は残すべき?迷ったら保管しておくと安心
年金手帳の新規発行は終了しましたが、手元にある手帳は引き続き「基礎年金番号を証明する書類」として利用できます。そのため、処分せずに大切に保管しておくのが賢明です。
通知書やマイナンバーで代替できても、将来の転職・年金請求・窓口相談で提示を求められる可能性は残ります。紛失時の手続きや番号確認の手間を考えると、状態が良い手帳は自宅で大切に保管しておくと安心でしょう。
出典
日本年金機構 基礎年金番号・基礎年金番号通知書・年金手帳について
日本年金機構 令和4年4月から年金手帳に代わり基礎年金番号通知書を発行します
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
コメント