食用として楽しめるのはもちろん、見た目にも愛らしいブドウ。そんなブドウを自宅の庭に植えて育てる方法を、専門家のアドバイスを交えてわかりやすく解説します。
ハーブガーデンを始めた?あるいは、庭でブルーベリーを育てている?それなら、そろそろブドウの栽培を試してみる時期かもしれません。ブドウの育て方を理解するのは難しくないし、秋につける実は、あらゆる人を笑顔にします。
食用ブドウはおいしく、ガーデニング好きにとって、さまざまな品種を育てるのは楽しいもの。育てるのも比較的簡単で、一度育つと、たくさんの実をつけます。
「ブドウ栽培は広いスペースを必要としません。手間もかからないうえ、何十年も生きます」と『Growing An Edible Landscape(食べられる庭を育てる)』の著者で、heRustedGarden.comのゲイリー・ピラーチックは言います。
「早く育つのも魅力ですね。2シーズン目、遅くとも3シーズン目には収穫することができます」。 栽培品種の多くは自家受粉するため、最初は1株を育てるだけで十分、とピラーチックは続けます。
ブドウの品種は、基本的には3種。アメリカブドウとヨーロッパブドウ、それからマスカディンブドウです。
アメリカブドウは寒さに強いけれど、ヨーロッパブドウを育てるには、ある程度温かく、乾燥した地中海性の気候が必要とされます。マスカディンブドウは、南部の暑さと高い湿度のもとでよく育ちます。
アメリカブドウとヨーロッパブドウの混合種も生まれています。こうした品種は、寒冷な気候に耐え、19世紀、ヨーロッパのブドウ畑に壊滅的な被害をもたらした害虫などにも強いのが特徴です。
ブドウを植え、育てるにあたって知っておくべき情報は、以下の通り。早速見ていきましょう。
ブドウに関する基本情報
初心者でも育てやすいブドウの人気品種は?
アメリカブドウの品種には、ナイアガラ、コンコード、カトーバなどがあります。ヨーロッパブドウでは、フレーム、トンプソン、ルビーなどが代表的です。ハイブリッド種としては、トラミネット、カユーガ、バコ・ノワールなどが知られています。お住まいの地域の気候に適した品種を選びましょう。
庭にブドウを植えるには?初心者でもできる方法
庭のなかでも、特に日当たりのよい場所を選びましょう。どの品種でも、十分な日光が必要です。1日あたり6〜8時間は直射日光が当たるようにしてください。
また、注意すべきなのは、除草剤が使用される場所を避けること。ブドウのつるは、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸やジカンバなど、一般的な広葉雑草用除草剤によって傷みやすい性質があります。
植え付けの適期は早春。休眠期に植えることで、根の成長にエネルギーを集中させ、強い根系を育てることができます。ブドウ苗は、土の付いていない「裸根」タイプ、もしくは鉢植えタイプのいずれかを選びましょう。裸根苗を使う場合は、植える前に数時間、水に浸しておくのがポイントです。
ブドウがしっかりと根を張れるよう、深めの穴を掘ってください。これは、根をまっすぐ垂直方向に伸ばすためです。プランターで育てる場合は、購入時に鉢に植えられていた深さと同じ程度に掘るのが理想的だと、ピラーチックはアドバイスしています。複数の株を植える場合は、株同士の間隔を1.8〜2.4mほど空けてください。
肥料は大量には必要ありませんが、必要であれば、堆肥やバランスの取れた少量の粒状有機肥料を植え穴に加えるとよいでしょう。
植え付け後は土を丁寧に戻し、しっかり踏み固めます。そのうえで、つるから30〜60㎝ほど離れた位置に少量の肥料を施します。最初にたっぷりと水を与え、その後も定期的に水やりを行いましょう。特に乾燥する時期には、水切れに十分注意してください。
おいしいブドウを育てるためのお手入れ方法は?
水やりについては、植え付けから最初の2年間は、1週間あたり25mm程度の降水量に相当する水分が必要とされます。その後は徐々に乾燥に強くなっていきます。根の周囲をしっかり湿らせるイメージで、約90×90cmの範囲に対して20リットル弱の水を与えるとよいでしょう。併せて、雑草はこまめに除去し、ブドウと栄養や水分を取り合わないようにしてください。
最初の年は、それ以上の手入れは必要ありませんと、ピラーチックは語ります。翌年以降は、剪定が重要になります。ブドウを健康に育て、実を多く収穫するために欠かせない作業です。また、毎年春には、幹から30cmほど離れた場所に、堆肥か少量の粒状有機肥料を施しましょう。
ブドウの木を健康に育てる剪定方法は?
剪定は毎年行いましょう。というのも、ブドウはその年に伸びた新しいつる(1年目のつる)に実をつけるためです。古いつるを取り除き、毎年新しいつるの成長を促す必要があります。ピラーチックは、「剪定はブドウが休眠状態にある冬の終わりから春先までに済ませるべき」と述べています。
初年度は、最もよく育ったつるを1本だけ残し、その他はすべて切り落とします。この1本を、中心となる幹として育てていきましょう。つるの誘引方法にはいくつかありますが、最も手軽なのは支柱を立てる方法です。支柱をひもで縛って垂直に固定するか、亜鉛めっき鋼線を使って緩やかに導くのもよいでしょう。
2年目からは、T字型の支えや別の支柱に、つるを横方向に誘引します。剪定を行う際は、常に中心となる幹とその年に伸びたつる(1年目の茎)だけを残すのが基本です。
剪定の方法に不安がある場合は、お近くの園芸店に相談するのもおすすめです。決して複雑な作業ではありませんが、正しい方法を知っておくことで、健康的で実り豊かなブドウを育てることができます、とピラーチックは助言しています。
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