老子は春秋時代の中国の哲学者で、道教の中では神格化もされている人物。経済的な成功よりも人として、あるいは精神的に豊かに生きるにはといった考えを示す言葉が多いようです。
お金では買えない人のご縁や信頼関係の大切さ、個人ではなく社会としての豊かさなどを考えるきっかけになるかもしれません。今回はそんな人生の本質を理解できるような、老子の名言を紹介します。
老子の名言①
困難なことは、それがまだ易しいうちに始めなさい
トラブルや問題が発生したとき、すぐに対応していれば簡単に済んだものをつい後回しにしてしまったために、こじれて大変な思いをした経験がある人もいるのではないでしょうか。
宿題や仕事も、まだ期日に余裕があるうちに少しずつでも進めていれば、ギリギリになって慌てるということもありません。時間や気持ちにゆとりがあるうちに、厄介ごとやトラブルの原因などは片づけてしまう習慣をつけましょうね。
老子の名言②
つむじ風はひと朝と続かず、豪雨は一日と続かない
瞬間的、一時的に強い風が吹いたり雨が降ったりすることはあっても、いつまでもそれらが続くことはあり得ません。
どんなにひどい風や雨も、いつかは止まるときが来ます。つらくて厳しい状況だとしても、今できることを確実にやり遂げながら、事態が良くなるのを待ってくださいね。
老子の名言③
賢者は財宝を貯えない。人に与えれば与えるほど、彼の財宝は豊かになる。
精神的に豊かな人、本当に他人のことを思って行動できる人というのは、必要以上に財貨を貯(たくわ)えることはせず、積極的にお金を使うことで社会全体にお金を回していくもの。それは消費活動かもしれませんし、慈善活動かもしれません。
しかしそうして経済を回していくことで社会全体が潤うことになりますし、慈善活動や寄付などにお金をかけていれば、人のつながりや信頼を得ることで、あなた自身の生活が豊かになっていくでしょう。
老子の名言④
怨みに報いるに徳を以てす
誰かに嫌なことをされたとしても、それに対して自分も同じレベルで仕返しなどをしていては、なにも良くなることがありません。
少し気は晴れるかもしれませんが、あなた自身の人間性が低くなってしまうことを考えると、怨(うら)みに怨(うら)みで返すのは良いこととは言えないでしょう。
相手が自分の行為や言動を恥じるくらい、こちらは相手に対して礼節や恩恵を与えることで、無用な争いごとなどが少しでも減っていくと良いですね。
老子の名言⑤
善く敵に勝つものは争わず
相手に負けないためにはどうすれば良いのか。ちょっと矛盾した考え方かもしれませんが、負けたくないのなら相手と争わなければいいのです。争うと負けたら悔しいですし、下手をしたら経済的な損害を被ることになるかも。
しかし相手と争うのではなく、話し合いをしたり共同でものごとを進めたりすることで、どちらにとっても良い結果に落ち着くかもしれません。争う前にできることに対して手を尽くしてみてください。
老子の名言⑥
取らんと欲する者はまず与えよ
あれが欲しい、これが欲しいとねだるばかりでは、思うように得られないもの。しかし自分が最終的に欲しいと思うものを得るために先行投資をしたなら、得られるものはずっと大きくなるでしょう。
まずは必要な設備を整えたり人材を育てたりすることで、自分の望むものを得やすい環境を作って行くようにしてください。
老子の名言⑦
足るを知る
過ぎたものを望まず、必要なものを必要な分だけ得て生きていける人というのは、常に他人と自分を比較して自分が上でないと気が済まないという人と比べて、実は精神的にずっと豊かであると言えます。
別に贅沢なメニューでなくても、バランスの取れた普通の食事をしていれば健康的に過ごせるでしょう。最新のブランド品で身を固めなくても、流行に左右されない質の良いものを長く使えば、無駄な出費もありません。
自分にとって本当に必要なものを上手に取捨選択して、本当の意味で豊かな生活を送りましょう。
老子の名言⑧
本当の親切とは、親切にするなどとは考えもせずに行われるものだ
困っている人、助けを必要としている人に対して思わず声がけしたり、何か行動したりするときというのは、自分にとって得になるかなんて考えていないと思います。そうしたとっさの行動で行った親切は、きっと本当に手を差し伸べられた人が欲しかった助けでしょう。
逆に自分にとって利益になるから、得になるからと行った親切は、もしかしたら自分本位の親切の押し売りになっているかもしれません。必要以上の手助けは相手の自立などを邪魔する恐れもありますので、気を付けてくださいね。
老子の名言⑨
優しい言葉をかければ、信頼が生まれる。相手の身になって考えれば、結びつきが生まれる。
本当につらいときや、精神的に参っているときに気遣いにあふれた言葉をかけられたなら、その人のことをとても信頼できると思えますね。
自分にとってなにが必要なのか、なにが大切なのかと親身になって考えてくれる人がいたなら、今度は自分がその相手のためになにかをしてあげたいと思うかもしれません。
周囲の人との絆や信頼関係というのは、そうした日々の何気ない積み重ねの中で築かれていくものなのでしょう。
老子の名言⑩
正しい言葉は聞こえがよくなく、聞こえがよい言葉は正しくない
自分にとって都合の悪いこと、自分のダメな部分をあえて指摘するような言葉は、できるなら聞きたくないもの。しかし自分を甘やかさず、間違っていることは間違っているとハッキリ言ってくれる人が身近にいるというのは、実はとても恵まれているとも言えます。
悪い部分を指摘したなら、相手との関係性がこじれるかもしれません。そうして今後の付き合いが難しくなるくらいなら、適当におだてるなり当たり障りのないことを言っておくことで、表面的なお付き合いはしていけるでしょう。
しかしそれでもあえて苦言を呈してくれるというのは、あなた自身とこれからもちゃんと向き合っていきたいという、相手の意思表示に他なりません。
間違っていることを正されないままでは、成長もできないまま。自分に厳しい態度や言葉で接してくれる人を邪険にせず、大切にしてくださいね。
老子の名言⑪
魚を与えれば一日食べていける。魚の取り方を教えれば、一生食べていける。
お腹がすいている人に魚をあげたなら、その日はどうにか過ごせるでしょう。でも稼いだり食料を得たりする技術がなければ、翌日にはまたその人はお腹を空かせて過ごすことに。
魚=結果そのものではなく、魚を取るという技術を教えることができれば、初めはうまくいかなかったとしても、次第に慣れや経験で自力で食料を得られるようになるでしょう。
人を育てるというのは目先の問題を解決するだけではなく、先々の自立や生活まで考える必要があるということですね。
まとめ
老子は名前を知っていても、どんなことをした人かといったことはピンとこないかもしれません。しかし老子の名言は言われてみればというようなことも多く、ストンと胸に落ちてくるものも。
そこから自分や周囲の人との向き合い方を考え直し、お互いに成長していくきっかけになっていくと良いですね。
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