新型ムーヴとN-BOXを徹底比較! 新型ムーヴの走りが凄すぎる!! カッ飛びターボのRSがチョー気持ちいい~!!!

 2025年6月5日に発表となった新型ムーヴ。さっそく、都内の一般公道でNAとターボ、さらにN-BOXカスタムと走りを比較してみた。今回試乗して驚いたのなんのって……。どのモデルがよかったのか、解説していきましょう。
文:ベストカーWeb編集部/写真:中里慎一郎、ベストカーWeb編集部

新型ムーヴのNAにまずは乗ってみた!

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新型ムーヴX。価格は149万500円

 新型ムーヴの属するジャンルは、全高1700mm以上のスーパーワゴンではなく、1600mm以上のハイトワゴン。そのハイトワゴンクラスの全高をみると、新型ムーヴ:1655mm、ワゴンR:1650mm、ムーヴキャンバス:1655mm、ワゴンRスマイル:1695mm。

 ちなみに10年連続軽販売1位、登録車を含めた新車販売で1位とほかを寄せ付けない強さをみせる、スーパーハイトワゴンのN-BOXは1790mmだから、全高1655mmの新型ムーヴはN-BOXよりも135mmも低い。

上が両側スライドドアを初めて採用した新型ムーヴ。全長3395×全幅1475×全高1655mm。下がN-BOXカスタム。全長3395×全幅1475×全高1790mm。新型ムーヴはN-BOXに比べ全高が135mm低い
上が両側スライドドアを初めて採用した新型ムーヴ。全長3395×全幅1475×全高1655mm。下がN-BOXカスタム。全長3395×全幅1475×全高1790mm。新型ムーヴはN-BOXに比べ全高が135mm低い

 さて、そのハイトワゴンのジャンルに、スライドドアを引っ提げて新型ムーヴが登場した。その全高の低さが、走りに影響を与えるのか? まずは新型ムーヴX(2WD)に乗ってみる。搭載されているエンジンは52ps/6.1kgmを発生する直3のNAエンジンである。トランスミッションはCVTだ。

 足踏み式サイドブレーキを踏んで解除し、アクセルを弱く踏んで走り出す。30mほど走り出すと、「アレ、なんかいいモノ感がある」とつぶやく。強くアクセルを踏んでみると、どうよ、速いじゃないの。というのは少々褒め過ぎだが、普通に走る。

 普通、軽自動車のNAエンジンにCVTの組み合わせだと、ブーン、ブーンと音だけうるさくてなかなか前に進まないのだが、2人乗車(850㎏+75㎏の編集部木村+85㎏の担当)でここまで走れるのは合格点かも。N-BOXのNAはここまで走りません。

ターボのRSは2ランク上の走りの上質感!

グッとくる走りを披露してくれた新型ムーヴRS。64ps/10.2kgmを発生する658cc直3インタークーラーターボを搭載
グッとくる走りを披露してくれた新型ムーヴRS。64ps/10.2kgmを発生する658cc直3インタークーラーターボを搭載

 続いてターボのRSに試乗。ダイハツは今回のモデルから、標準ボディとカスタムという2トップ体勢をやめ、NAとターボの区別はつきにくくなった。車名につんのめってしまった「ダンディスポーツ」は、ブラックスタイル、ブラックエディションという黒ずくめの特別仕様車と同じような感じだが、結構アグレッシブでカッコいいじゃないの!!

新型ムーヴの「ダンディスポーツスタイル」は、RSグレードとGグレードで選択可能。ダークメッキのエンブレムやガーニッシュ、エアロパーツ、ピアノブラック調の内装加飾などが特徴
新型ムーヴの「ダンディスポーツスタイル」は、RSグレードとGグレードで選択可能。ダークメッキのエンブレムやガーニッシュ、エアロパーツ、ピアノブラック調の内装加飾などが特徴

 RSに搭載されているエンジンは64ps/10.2kgmを発生する658ccインタークーラーターボ。こちらも乗って30m走っただけで、上質さを感じた。アクセルを強く踏んでいくと、当り前だがNAとは全然違う。2000回転後半からターボが効いているのがわかるし、パンチが増す。とはいっても、ターボラグはあまりなく、スムーズなフィーリングだ。

 乗り心地に関しては、NAのムーヴは、乗り心地に振ったムーヴキャンバス、先代ムーヴとの間、つまり、先代ムーヴから2ランクほど乗り心地がよくなっている。硬くもなく柔らかくもなくちょうどいい塩梅だ。DNGAの新型プラットフォームが奏功しているのだろう。

 ターボのRSに関しては、ダンパーのチューニングをスポーティに振ったことで、硬くはなっているものの、上質さとスポーティさを両立させた印象。やんちゃさは微塵もなく、大人の味付けといったところ。ただ、RSのリアシートに座ると、明らかに微振動が路面から伝わってくる。

 ただ、パドルシフトがないことや、もうちょっとスポーティに振ったグレードがあってもいいのではないかと思ったりもする。

新型ムーヴRS(ターボ)のインテリア。本革ステアリング&本革シフトノブを装備
新型ムーヴRS(ターボ)のインテリア。本革ステアリング&本革シフトノブを装備

ターボのN-BOXカスタムと比べてみる

改めてN-BOXカスタムを走らせてみると軽自動車とは思えない上質な走りに驚いたが……
改めてN-BOXカスタムを走らせてみると軽自動車とは思えない上質な走りに驚いたが……

 全高1790mmのN-BOXカスタムと、新型ムーヴRSの走りを比べてみる。エンジンはN-BOXカスタムが64ps/10.6kgmの直3i-VTECターボエンジン。新型ムーヴは64ps/10.2kgmを発生する658cc直3ターボ。いずれもCVTを組み合わせている。

 新型ムーヴRSとN-BOXカスタムを同じ試乗コースを走ったのだが、久しぶりに“上屋”、“ヨーモーメント”という言葉がよぎったのは驚きだった。試乗コースは都内の一般道である。しかも飛ばしたわけではない。

 ちょっとした交差点でハンドルを切って、曲がる時に、新型ムーヴの旋回性能のよさを感じたのである。新型ムーヴの全高は新型N-BOXより135mm低い。その差がばね上のヨー慣性モーメント(走行中のクルマに対し、重心を中心として旋回・静止の働きを続けようともたらされる力のことに出ているのだ。

 N-BOXは背が高い分、上屋が遅れてきて回転しにくい。新型ムーヴは気構えることなく、普通に交差点をクリアしていくのである。

新型ムーヴの走りは予想以上によかった

DNGAによりボディ剛性感が向上し、安心感がある新型ムーヴ
DNGAによりボディ剛性感が向上し、安心感がある新型ムーヴ

 N-BOXカスタムは実によくできている。運転していても、忖度なしに、乗り心地は上質だし、ハンドリングも素直だから、意のままに操れるほんとにいいクルマ。

 さて、新型ムーヴである。走りに限っていえば(内装関係は別項で)、新型ムーヴは忖度なしによかったというのが本音。というのは、N-BOXを運転していると、ここまでの高さ、広さはいらないと、どうしても思ってしまうのだ。

 運転席に座ると、自分の頭の上にこぶし4つほど入るスペースって本当に必要かって思ってしまったのである。繰り返すが交差点やコーナーを曲がるときに、上屋がどうも気になってしまうのである。

 アルトやミライースなどのハッチバックほどではないが、普通に走ってしまうところが、新型ムーヴのよさではないだろうか? もちろん後席の居住性を考えるとN-BOXの圧勝である。

 新型ムーヴは普段、一人や夫婦、カップルで乗られる方におススメしたい。N-BOXやスペーシア、タントのオーナーの方、一度試乗してみてほしい。コーナーの曲がりやすさをぜひ体感していただきたい。

 スーパーワゴン市場が、両側スライドドアを装備したハイトワゴンの新型ムーヴによって、どんな影響を受けるのか、注目していきたい。

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