日本でも「脱iPhone」加速の一方でAndroidに乗り換えたユーザーたちの戸惑いと想定外 「LINEで既読がついてしまう」「設定の自由度が高すぎる」「将来のリセールバリューに不安」

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iPhoneからAndroidへ、スマホの乗り換えで想定外も(イメージ)

 日本は他国と比べてiPhoneのシェアが高い国だが、近年異変が起きている。Webトラフィック解析を行う統計サイト「StatCounter」によると、2024年のスマートフォンOSのシェア率は、世界ではiOSが27.81%、Androidが71.56%に対して、日本ではそれぞれ60.8%と38.96%だった。iOSの優位は変わらないが、Androidのシェアは2023年(31.1%)から約8%上昇し、ここ10年間で過去最高を記録したという。2012年47.18%、2013年42.05%に迫る水準だった。

 根強い人気を誇るiPhoneだけに長年使い続けるユーザーはまだまだ多いものの、Androidに乗り換える人が少しずつ増えているようだ。実際にiPhoneからAndroidへ乗り換えたユーザーたちに話を聞いた。

“なんとなくiPhone”という習慣を見直してみた

 メーカー勤務の30代男性・Aさんは、iPhone歴15年。iPhone 4(2010年発売)から利用してきたユーザーだったが、昨年末にAndroidに乗り換えた。Aさんは機種変更の理由について、「価格」を挙げる。

「iPhoneの価格についていけなくなったというのが本音です。ハイエンドのAndroidの方が安くて、iPhoneを使っているのが馬鹿馬鹿しくなりました。パソコンもMacを使っているわけではないのでスマホでAppleを使うメリットは特にないうえに、絶対にiPhoneというこだわりもありませんでした。あまりにも価格が高くなったので、“なんとなくiPhone”から脱して、コスパの良いAndroidに乗り換えようと思ったんです」

 iPhoneへの執着もなく、iPhoneからAndroidに乗り換えたAさん。しかし、Androidへの機種変更で初歩的なところで躓いたという。

「最初、電話に出る方法がわかりませんでした。スリープ中に電話がかかってきた時、iPhone感覚でタップしてもタップしても、無反応でパニック状態になりました。ネットで調べたら、上にスワイプしないと受電できないんですね」(Aさん)

 コミュニケーション手段として、今や当たり前の「LINE」。ここでもAさんは、iPhoneとAndroidの仕様の違いに戸惑ったという。

「iPhoneのほうが良かったなと思うのは、LINEのトークルームを長押しすれば、既読をつけずに覗き見できるところです。些細なことですが、Androidだとできないんですね。意外なところを不満に感じて自分でも驚いています」(Aさん)

iPhoneなら「既読」をつけないでLINEを読むことができる

iPhoneなら「既読」をつけないでLINEを読むことができる

Androidの自由度の高さに驚いた

 iPhoneを手放せず、Androidと併用している人もいる。不動産会社勤務の40代男性・Bさんは、10年以上iPhoneを使ってきたが、Androidの性能の良さに感動してハイエンドモデルの購入を決めた。

「個人的にはハイエンドモデルはもはやiPhoneを上回るレベルという印象で、“ヌルサク”の操作感と高画質のカメラが最高です。3Dのゲームでも動作が軽いうえに熱くもならず感動しました。ゲームをプレイするならiPhoneが一番だと思い込んでいたので、いい意味で裏切られました」

 Androidの高い性能に魅せられたBさんだが、Androidならではの設定の自由度の高さには「やや消化不良気味です」と語る。

「操作や設定面ではiPhoneよりAndroidの方が自由度は高いです。ホーム画面やディスプレイ、カメラ、セキュリティ、フォントなど自分の使いやすいように詳細に変更できます。これが楽しいと思えるか、苦痛に感じるかで向き不向きが分かれるのではないでしょうか。私は初期設定の段階から少々面倒と感じたので、Androidに挫折してもいいように感覚的に使える慣れ親しんだiPhoneと併用しています。

 ただ最近、AndroidではiPhoneのように画面上部をタップして上にスクロールができないと困っていたら、その機能を補完するアプリを発見し解決。改めてAndroidの自由度の高さに驚かされました」(Bさん)

気になるのは売却するときのリセールバリュー

 売却時の価格の値下がりを不安視する人もいる。長年にわたりiPhoneを使用してきたが今年、iPhoneからAndroidに乗り換えた飲食店勤務の30代女性・Cさんは、「数年後の機種変更が今から不安です」と語る。

「iPhoneのラインナップに13 mini(2021年発売)のようなコンパクトサイズのスマホがなくなったので、Androidへ乗り換えました。サイズ感や操作感には不満はないのですが、気になったのはリセールバリューです。これまで下取りして機種変更をしてきたので、数年後でもできるだけ価格を維持してほしいところですが、リセールバリューはiPhoneが高いイメージがある」

 米国のオンラインマーケット「SellCell」の「スマホの再販価値の維持率」についての調査によると、発売から12か月後のiPhone 15シリーズ(2023年発売)の価値は48.2%低下した一方、AndroidのGalaxy S23シリーズ(2023年発売)は61.1%低下していた。機種による面もあるだろうが、リセールバリューの面ではiPhoneが強いようだ。

「Androidにしたとはいえ、あまりにiPhoneに近いデザインで操作感も似ている機種を買ったので、それなら発売が噂されるiPhoneの薄型モデルを待って、“本物のiPhone”を手にした方が良かったのかも……とも思ったりします。Androidだとそんなに高く売れなそう」(Cさん)

 スマホは高額な買い物となるだけに、使い勝手や自身の価値観をよくよく考えて購入したい。

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