本3大砂丘に挙げられる吹上浜の観光支えた国民宿舎「吹上砂丘荘」54年の営業に幕 コロナ禍はさむ利用者減や老朽化に抗えず…閉館セレモニー 日置市

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事実上、閉館した吹上砂丘荘

 鹿児島県日置市の国民宿舎「吹上砂丘荘」が1日、54年余りの営業を終え、事実上閉館した。最後の宿泊客を見送った後、管理・運営する同市の永山由高市長ら関係者によるセレモニーがあり、従業員をねぎらった。
 同日まで立命館大学(京都市)硬式野球部の部員約70人が約2週間合宿。1年の神野吏輝(りき)さん(18)は「初めて来たが、温泉がよかった。閉館と聞いてびっくりした」と語った。
 セレモニーには従業員や市幹部ら10人余りが参加。永山市長は寺脇正徳支配人(64)らに「長きにわたる温かいおもてなしに感謝している」とあいさつ。22年にわたって責任者を務めた寺脇支配人は南日本新聞の取材に「住民や利用した方々に砂丘荘を長年育ててもらい、感謝しかない」と語った。31日に住民らを交えたお別れの場を設ける。
 砂丘荘の有効活用に向け、市は民間事業者を昨年末から公募し市内外の複数社が申し込んだ。内容を地域活性化の観点などから吟味し、月内に選定する方針。
 砂丘荘は1970年12月にオープンし、食堂や温泉を完備。赤字経営が続き、新型コロナ禍前の2019年度は約3万人だった利用者が20、21年度は約1万1000人に減少。本年度は2月時点で約7000人だった。従業員確保の難しさ、老朽化に伴う約4億円の改修費を理由に市が維持を断念し、25年3月の閉館を発表した。

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