株式で年間「5万円」の配当金を受け取っています。この場合、確定申告って必要なのでしょうか?

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毎年2月から3月は、確定申告の時期です。会社からの給与収入のほかに、資産運用の利益として配当金を受け取っている場合、確定申告は必要なのでしょうか。今回は、課税口座で資産運用をしており、配当所得がある場合の確定申告について、詳しく解説します。

配当所得はすでに源泉徴収されている

資産運用をしていて、保有している株から配当金が支払われたり、投資信託から分配金を受け取った場合、これらのお金は「配当所得」に分類されます。
NISAと呼ばれる非課税口座ではなく、特定口座のような課税口座で資産運用を行っている場合、配当所得には、約20%の税金がかかります。タイトルのご質問の場合、配当金が年間5万円なので、課税口座で支払うべき税金は、約1万円です。
ただし、配当所得は、支払いを受けるときに、原則として、税金がすでに源泉徴収されています。例えば、先ほどの5万円の配当所得があった場合、自分の口座にお金が振り込まれる段階で、1万円分の税金が徴収済みです。実際には、4万円分しか支払われていません。
このように、配当所得については、支払われる際に税金の精算が終わっているので、原則確定申告は不要となります。

配当所得を確定申告することも可能

配当所得は、原則確定申告不要ですが、確定申告を行うことも可能です。また、場合によっては、確定申告を行った方がお得になるケースもあります。どんな方が確定申告をした方が良いのか、確認していきましょう。
・株式や投資信託を売却して損が出ている場合
2024年中に、株や投資信託の売買を行い損が出ている場合、確定申告を行うことで、譲渡損失と株の配当所得を損益通算することが可能です。損益通算すると、株の売買で出てしまった損と、配当所得の利益を相殺して、配当所得にかかる税金を減らすことができます。昨年、譲渡損失がある場合は、確定申告を行いましょう。
なお、損益通算は、3年間の損失を繰越して行うことができます。例えば2023年中に損失があれば、2024年がプラスであっても、損益通算が可能です。なお、NISA口座では、損益通算はできません。
・課税所得が695万円未満の場合
配当金と会社からの給与などの所得を合算して総合課税すると、配当控除という控除を受けることができます。配当控除は、課税所得1000万円以下の場合、約10%です。
また、所得税率は、所得の金額によって変わるように設定されており(累進課税)、所得が高ければ、税率が上がる仕組みです。
もしも、株の配当金にかかる税率約20%よりも、配当控除後の所得税率が低ければ、配当金を給与所得と総合課税して、より低い所得税率で課税された方が、支払うべき税金が安くなります。
一方、株の配当金にかかる税率よりも、配当控除後の所得税率が高い人の場合、配当金はそのまま約20%の税率で精算し、その他の所得と合算しない(分離課税する)方が税金の金額が安くなります。
確定申告して、配当所得とその他の所得を総合課税で申告した方が有利になるのは、上場株式の場合、課税所得が695万円以下の人となっています。
自分は、確定申告をした方が良いのか、それとも、源泉徴収されたまま確定申告不要とする方が良いのか、ぜひ確認してみましょう。

まとめ

NISAのような非課税口座で資産運用を行っている場合、そもそも配当金には税金がかからないので、確定申告は不要です。
また、特定口座のような課税口座で資産運用を行っている場合でも、配当金が支払われる際に源泉徴収済みなので、確定申告の義務はありません。確定申告をした方がお得になるケースに該当する場合のみ、申告するかどうかを検討してみましょう。

出典

国税庁 配当金を受け取ったとき(配当所得)
執筆者:下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

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