核保有国で出欠割れたノーベル平和賞授賞式 欠席した中露の言い分

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ノーベル平和賞の授賞式で演説し、会場から拍手を受ける日本被団協の田中熙巳さん(奥左から2人目)=オスロで2024年12月10日、猪飼健史撮影

 ノルウェー・オスロで10日に行われた日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)へのノーベル平和賞授賞式では、出欠を巡り核保有国の対応が割れた。

 ノーベル賞委員会によると、核兵器保有5大国のうち米英仏の代表は出席した一方、露中は欠席。事実上の核保有国とされるイスラエルも欠席した。

 毎日新聞は主要国にメールで出欠の理由や出席した場合の感想について取材を申し込んだ。このうち12日夕までに在ノルウェーの露大使館と中国大使館から回答があった。

 露大使館は、日本被団協の田中熙巳(てるみ)代表委員(92)の受賞演説について、「ノルウェーを含むNATO(北大西洋条約機構)とその加盟国に対するシグナルだ」と主張。その上で、「軍事ドクトリンと軍事計画における核兵器の役割の増大や、他の核保有国へのNATOの挑発的行動に伴うあらゆるリスクに対する警告だと考える」と独自の見解を披露した。一方、欠席した直接の理由は答えなかった。

 中国大使館は欠席の理由を「スケジュールの都合」とした上で、「今年のノーベル賞については関連報道に注目した。核兵器のない世界のために核兵器を完全に禁止し、徹底的に廃棄することが全人類の利益であると常に信じている」とコメントした。

 田中さんは演説で「核兵器をなくしていくためにどうしたらいいか、世界中のみなさんで共に話し合い、求めていただきたい」と呼びかけた。特定の核保有国や同盟関係に限って核廃絶を求める趣旨の言及はなかった。【安徳祐(オスロ)、高木香奈】

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