歩くと見えた「空き家」の増加…地域おこし協力隊員が仕掛けた気付き フィールドワークは景観、治安、災害と、子どもらがふるさとの未来を考えるきっかけに

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草木で覆われた空き家について堀内元気さん(左)から説明を受ける坊津学園生=南さつま市坊津

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 鹿児島県南さつま市の坊津学園で7日、地域で増え続ける空き家について考えるフィールドワークがあった。坊津在住の地域おこし協力隊員2人が企画した「住教育」の一環。7、9年生(中学1、3年)21人が集落を歩いて調査し空き家地図を作成、活用法や未来のまちづくりを議論した。
 住教育は、住まいに関する知識やスキルの習得を目指すもので、空き家発生を抑える取り組みとして期待されている。町の現状を知り今できることを考えてもらおうと、協力隊の堀内元気さん(41)と橋口里菜さん(29)が準備した。
 生徒は近くの平原(ひらばる)集落を対象に十数件ある空き家を地図で色分け。同行した全国古民家再生協会鹿児島第一支部の西浩隆支部長(63)や宇治野みゆきさん(50)らから、空き家が景観や治安悪化を招き、災害リスクを高めることも学んだ。
 学校では「住教育カードゲーム」を実施。①空き家をどう思う②活用法は③20年後自分の家はどうなっている、どうしたい-などと書かれたカードをもとにグループで討論し発表した。
 生徒からは「放置された家がかわいそう」「交流や地産地消の場として活用を」「将来自分たちはいないかもしれないが誰かに住んでほしい」「魅力を発信し人口を増やしたい」「仕事や交通手段が増えれば住みやすくなるのでは」などの意見が出された。
 7年清水晴希さんは「空き家が多く驚いた。増やさない対策が必要」。9年清水怜咲さんは「自分たちの問題として捉え、将来帰りたくなるような町にしたい」と語った。堀内さんは「自分たちの家やまちをどうするかといった問題を今から家族で話してほしい。坊津への思いを深め、故郷に残る選択肢やUターンを考えるきっかけにもつながれば」と期待した。

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