最終7区のラスト約600メートル。ゴールの群馬県庁前へ伸びる直線で、旭化成の井川龍人(熊本県芦北町出身)がギアを上げた。ホンダの中山顕を一気にかわし、8秒差をつけて歓喜のゴールテープを切った。驚異のスパートで26度目の頂点に導いた。
12秒差の2位でたすきを受けた井川は、早々とトップに追いつき「余裕があった」。前に出たい気持ちは強かったが、冷静に先を見据えていた。「得意のスパートまで」と強風の中でじっくりと好機をうかがい、狙い通りに勝ちきった。
全員が安定した走りで上位をキープ。1区では長嶋幸宝が区間賞の快走で流れをつくった。転倒して本来の走りができなかった昨年の雪辱を果たして優勝に貢献。「悔しい経験をしたので、絶対に区間賞を取る思いで練習してきた」とうなずいた。
井川は24歳で、長嶋は20歳、3区で力走したパリ五輪男子1万メートル代表の葛西潤も24歳。主力を欠いた中でも、若手とベテランの総合力で覇権を奪回。最多優勝回数も更新した。宗猛総監督は「チームワークの勝利」と納得の表情だった。(山田孝人)
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