知らないなら… 「免許返納してほしい」声も! 道路の「斜線ゾーン」意味は? 入ったらどうなる? 立ち止まっちゃだめ?

道路にある「斜線の部分」に関して、SNSでは理解不足のドライバーによるトラブルが見受けられます。そもそも「斜線の部分」にはどのような意味があるのでしょうか。

クルマを止めてはいけない場所「停止禁止部分」理解してない人がいるらしい…

 道路にはさまざまな標示がありますが、中でも白線と斜線で構成された「停止禁止部分」に関して、SNSでは理解不足のドライバーによるトラブルが見受けられます。
 クルマを運転していると、ときおり道路上に白線で囲まれ、内部に斜線が描かれた区画を目にすることがあります。

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わかるよね! この「斜線」のルールとは?わかるよね! この「斜線」のルールとは?

 そのうちのひとつが「停止禁止部分」です。

 停止禁止部分とは、白線で四角く区切られた中に斜線が引かれている標示を指し、名前の通り、車両の停止を禁止する区間です。

 とくに消防署や警察署、救急指定病院といった緊急車両が出入りする施設の前に設けられていることが多く、緊急時に車両の進路がふさがれないようにするための措置となっているといいます。

 なお、停止禁止部分の上を通過すること自体は問題ありません。

 ただし、進入した先で停止する可能性がある場合には、ゾーンの手前でクルマを止める判断が求められるとされています。

 しかし、停止禁止部分を正しく理解しているドライバーが、ルールに則って手前で停止した結果、後続車からクラクションを鳴らされるといったトラブルも見受けられるようです。

 実際、SNS上では過去に「停止禁止部分の手前で停車していたら、後続車からクラクションを鳴らされた」といった投稿が話題になりました。

 このような事例では、停止禁止部分の意味を知らないドライバーが、「車間距離が空いている」と判断して前のクルマに詰めるようプレッシャーをかけていると考えられます。

 しかし、斜線部分に無理に進入することは明確な交通違反に該当するため、前のクルマが距離をとって停車しているのは交通法に沿った正当行動です。

 実際に、警視庁交通相談コーナーの担当者は次のように話しています。

「道路交通法第50条第2項では、『車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、横断歩道、自転車横断帯、踏切または道路標示によって区画された部分に入った場合においてはその部分で停止することとなるおそれがあるときは、これらの部分に入ってはならない』と定められています。

 まさにこの停止禁止区分はそのひとつです。このエリアは、緊急自動車の出入りなどのために常に空けておく必要があるため、渋滞していたとしても、停止してはなりません」

※ ※ ※

 これに違反した場合、「交差点等進入禁止違反」として、普通車であれば反則金6000円と違反点数1点が科されるおそれがあります。

 また、停止する必要がある場所で停まったクルマに、クラクションを鳴らす行為も違反となるおそれがあるといいます。

 クラクションは、危険回避のためや見通しの悪い場所など、限定された場面において使用するものです。

 ただ単に「進まないことへの苛立ち」や「先を急ぎたい」という理由で鳴らした場合、「警音器使用制限違反」となり、3000円の反則金が科される可能性があるとされています。

 さらに、悪質な場合には「妨害運転罪」に問われるおそれも。加えて、妨害運転と認定されると、違反点数35点のほか、免許取消(欠格期間3年)や刑事罰が科される可能性があります。

 SNS上には、「教習所で習う基本なのに理解していない人がいるなんて怖い」、「初歩的なルールも分からない人に運転してほしくない」、「基本的なルールだから知らないなら免許返納したほうが…」といった意見が見受けられ、基本的な標示への理解不足がトラブルの火種になっている現状が浮き彫りになっています。

知らないなら… 「免許返納してほしい」声も! 道路の「斜線ゾーン」意味は? 入ったらどうなる? 立ち止まっちゃだめ?

tags: 交通ルール, 道路事情, 雑学

似ているけれど異なる「斜線ゾーン」の違いを正しく理解する

 なお、停止禁止部分と同じように、クルマの進入を制限する道路表示はいくつかあります。混同しないように、それぞれの意味をしっかり理解しましょう。

 まず注意したいのが「立ち入り禁止部分」です。

 こちらは停止禁止部分と同様に斜線が描かれていますが、その外周が黄色の実線で囲われている点が特徴です。

 この標示は、車線が複雑に交差する交差点付近や、視界が悪く事故が発生しやすいカーブなどに設けられています。

 車両の進入そのものが禁止されており、万が一誤って進入した場合、道路交通法違反として3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科されることがあります。

 次に挙げられるのが白い四角の外側をさらに黄色い線で囲われている「安全地帯」です。

 安全地帯は、歩行者を保護する目的で設置されるもので、特に路面電車の乗降場所や、横断歩道が道路の中央に設けられているような場所でよく見られるといいます。

 ドライバーは安全地帯内への進入が一切禁止されており、歩行者が安全に通行・乗降できるよう、手前での停止や減速が求められます。誤ってこの区域に車を入れてしまった場合も、やはり処罰の対象となります。

停止禁止部分だけじゃない! 気をつけたい道路標示とは?停止禁止部分だけじゃない! 気をつけたい道路標示とは?

 そしてもうひとつ、しばしば見かけるのが「導流帯(ゼブラゾーン)」です。

 導流帯は、交差点や合流地点などで、車両の流れをスムーズに誘導するために設けられている標示で、白い斜線模様のみで構成されています。

 見た目は他の斜線ゾーンと似ていますが、法律上の意味合いは大きく異なります。

 導流帯は進入が禁止されているわけではなく、あくまで「なるべく通行しないように」とされている領域です。そのため、通過しても直ちに交通違反となることはありません。

 とはいえ、警察や自治体の指導では、急な右左折による事故を避けるため、導流帯に沿って安全なライン取りを心がけるよう促されています。

※ ※ ※

 道路上には進入や停止を禁じる標識がいくつかありますが、「通行禁止」「停止禁止」「通行は可能だが注意が必要」といったように、そのルールと役割はまったく異なります。

 間違った判断をしてしまえば、交通違反だけでなく事故にもつながりかねないので、きちんと区別をつけられるようにしておきましょう。

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