統計上、最も「世界一」が多いのは日本だった!? 知られざる【意外な世界一】を調べてみた。

「昔より、日本はスゴくなくなった」と思っているのは、当の日本人だけかもしれない。この国には、まだまだ「世界一」の力が眠っている。

「世界一」がたくさん隠れている日本

「じつは日本は、さまざまな統計で『世界一』が非常に多く見つかるユニークな国です」

そう語るのは『統計で問い直す はずれ値だらけの日本人』を先月刊行した統計データ分析家の本川裕氏だ(関心のある方は氏の運営するサイトも参照)。

かつては世界一と言われた日本経済も、低迷していると言われて久しい。最近では、アメリカ・カリフォルニア州のGDPが日本全体のGDPを上回ったことが話題になった。

しかし、日本にはまだまだたくさんの「ナンバーワン」が隠れている。かねて有名な「長寿」や「安全」といった指標ばかりではないのだ。

例えば、日本人の身長はこの100年で世界で最も伸びている。人類史でもまれに見る経済発展で、明治時代と比べると、男性の平均身長は16cmも伸びて171cmになった。いまや世界的スターの大谷翔平選手は193cmもある。

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経済が発展すると、食べ過ぎて肥満の国民が増える国も多い。アメリカでは国民の7割近くが肥満で、大きな社会問題になっている。しかし、OECD各国のなかで日本人は最も痩せており、肥満による死亡率が最も低い健康国だ。

原因は「米食文化」

その理由のひとつを、本川氏は日本人の「米食文化」にあると考える。経済発展した後もアジア諸国の人々が痩せているのは、米食だからなのだ。

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米は、小麦より多くのタンパク質を含んでいるため、肉食をする必要がない。ただし、カロリーが高いという欠点もある。「働かないと気が済まない」日本人は、時に無意味にみえるほどの長時間労働でそのカロリーを発散してきたため、痩せているのだ。

「そうした労働観が残るために、高齢者の就業率も世界一を誇っていると考えられます」

労働と食と健康が絶妙なバランスを保つことで、「細く長い」日本人の長寿が実現しているのだ。

「さらに多くの国では、『高齢者』『女性』『学歴が低い人』は幸福度が低くなる傾向がありますが、日本ではなぜか逆なのです。『高齢』『女性』『学歴が低い人』のほうがネガティブな感情をもたず、幸福だという結果が出ています。『幸福度は学歴や階級、所得と比例する』という世界の常識が通用しないのです」(同前)

後編記事『なぜ日本には「世界一」が多いのか? 世界各国の統計データからわかる【日本の深層】』へ続く

「週刊現代」2025年6月23日号より

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