老人ホームに入る前にチェックすべき「意外なポイント」があった!職員の離職率が高い施設の見分け方

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食事、設備、雰囲気、職員の表情……いざ介護施設を選ぶときには何をチェックすればよい? 迷わないためのポイントをイチから解説します。 

“介護施設のバグ”を利用する

「ズルいと思われるかもしれませんが、入居待ちになりがちな特別養護老人ホーム(特養)は、いちど介護老人保健施設(老健)に入ってから探すのも手です。

在宅復帰のためのリハビリをメインとする老健は、3ヵ月ごとに入所継続の必要性が審査されます。ですが、場合によっては長期利用も可能で、3ヵ月を超えて住んでいる人も少なくない。入居金がかからず、料金が安い割に管理栄養士もいるなどサービスが手厚いので、私は”介護施設のバグ”だと感じています」

医療法人社団創生会理事長で『最高の介護』の著書もある田口真子氏がそう明かすように、老人ホーム(高齢者施設)の入り方には裏ワザともいうべきコツがある。

いざというとき、どの老人ホームを選べばよいかなかなかわからず、入居後にトラブルに見舞われても、簡単には転居できない。ではどうすれば、本人も家族も納得できる施設に入れるのか。間違えないための施設選びをイチから考えていこう。

ケアマネジャーに尋ねるのが近道

いざ入ろうと決めたら、まずは地域包括支援センター(以下、包括)に相談する。全国に約5400ヵ所あり、連絡先は役所の介護福祉課などで教えてもらえる。

包括では、社会福祉士などの専門家が要介護認定の流れなどの相談に乗ってくれるので、それに従って要介護認定を受けて施設を探す(記事末尾の5つのステップを参照)。

だが、包括だけを信じて頼りきるべきではない。アルファ居宅サービスの主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)の辻浩輝氏が言う。

「包括は高齢者生活に関わるよろず相談所ですが、あくまでも支援がメインで、施設入居に至るケースを担当する機会は少ない。地域の施設に詳しいケアマネジャーを紹介してもらい、個々の状況に見合った施設を尋ねるのが近道だと思います」

ショートステイをうまく使って……

ケアマネと希望条件などを相談しながら、特徴や要介護度に応じて施設の候補を決めていくのだが、かかる費用はピンキリ(記事末尾の施設一覧を参照)。資金計画はどう立てたらよいのか。

民間介護施設紹介センター「みんかい」のアドバイザーで、『間違いだらけの老人ホーム選び』の著書がある小嶋勝利氏が指南する。

「東京圏で月額利用料を20万~30万円でまとめたければ、交通の利便性やQOL(生活の質)を向上させる支援サービスなど我慢できるものは全部捨てて、必要な生活条件だけを残すよう整理しておきましょう。食事の質やプライバシー、入浴時間など妥協できない事項だけを紙に書き出すといい。

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の場合、地域の相場や入居一時金、追加費用も忘れずにチェックする。月額30万円でも、介助費に別途5万~6万円の追加費用がかかることもあります」

良い文言が並べられたパンフレットに注意

介護施設の入居には、申し込みから1ヵ月ほどかかる。要介護3以上となると、介護付き有料老人ホームか特養が候補となるが、特養は低コストで人気があり、入居まで待たされることが多い。そこで、申し込み理由をなるべく具体的に書き、ショートステイ(連続30日まで)を利用して、そこにいる施設職員に好印象を持ってもらうと早く入れることがある。

施設を探す際には、ウェブサイトを見ることも忘れない。在宅介護エキスパート協会代表の渋澤和世氏が語る。

「事業所のHPや厚労省の『介護サービス情報公表システム』でも公開されている、『重要事項説明書』を必ず確認してください。介護職員や看護師の人数、トイレの数などの情報がわかります。大事な数字は『経験年数5年以上の介護職員の割合』です。

同時に、盲点になりがちですが、『施設名 求人』で検索し、求人情報もチェックしましょう。あまりにも長期間、恒常的に求人を出している施設は定着率が悪いということ。職員が定着しない施設は働きにくく、利用者も快適な生活が望めません」

もちろん、良い文言ばかりが並べられたパンフレットにも要注意だ。

「看取りをしていないのに『終の棲家』とか『最後まで寄り添います』とPRするパンフレットもありますが、いざ看取りの段階になると救急車を呼んで、病院で最期を迎えさせるケースもありました。看取りの実績を謳いながら、実は5年前に自然死された入居者が1人だけという施設もある。『直近では年に何人実際に看取ったか』を施設に問い合わせるなどして確認しましょう」(ホームオン・クリニックつくば理事長の平野国美氏)

後編記事 『老人ホームに入る前に確認すべきなのは「施設長」と「魚料理」!失敗しない施設選びのチェックリスト』 へ続く。

「週刊現代」2025年5月26日号より


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