桜島沖の音波調査で確認された海底に沈む人工物とみられる物体の画像
薩摩剣士隼人とともに、桜島沖の調査地点を地図で確認する「チェスト探検隊」の外山雄大隊長(左から
薩英戦争で鹿児島湾に沈んだ薩摩藩船を捜索する「チェスト探検隊」(鹿児島市)は19日までの4日間、同市桜島赤生原町の長谷港沖の海底を調査した。音波調査で大きな構造物を確認し、隊員らは船の一部ではないかと期待を寄せる。ご当地ヒーロー薩摩剣士隼人とともに、まだ見ぬ“地域の宝”を探す企画。隊長の外山雄大さん(55)は「知的好奇心を刺激する鹿児島の魅力を見つけ、新しい観光資源をつくりたい」と話す。
探検隊は、薩摩剣士隼人などを制作する「チェスト連合」などによるチームで4年前から調査を続ける。幕末の薩英戦争で、英国艦隊に桜島沖で沈められたとされる3隻の蒸気船の発見と引き上げを目指す。これまでにカメラで海底に沈む人工物を確認したこともあった。
今回は国立研究開発法人・海洋研究開発機構や高知大、熊本大の研究者、水中文化遺産カメラマンらと合同調査した。
調査初日の音波調査で、港から約50メートル、水深15メートルほどの海底に「何かの骨組みのような大きな構造物」を確認。ほかにも人工物の可能性がある物体を数カ所で見つけた。その後、水中ドローンやダイバーによる調査を試みようとしたが、天候不良などもあり断念した。今後測量データの解析や、採集した海底の堆積物の詳しい分析を進める。
沈没した薩摩藩船には、五代友厚や寺島宗則らその後明治の政財界で活躍した人物も乗り組み、拿捕(だほ)されたことが知られる。沈没船の調査ドキュメンタリー制作を視野に入れる外山さんは「英国という大国に単身挑んだ薩摩藩のスピリットやその時代背景も伝えたい。物語があることで人がわくわくし、感情移入できる」と話している。
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