2025年4月22日(火) 17:07
軍事力が増強されている西日本地域で、県を越えて横に連携する初の反対集会が開かれた。そのもようを取材したRKB毎日放送の神戸金史解説委員長は、4月22日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で「地方のメディアは日々の報道に、つい慣れてしまいがちだ。県単位のエリアの中だけを見ず、横に連携することも大事だ」とコメントした。
自衛隊「南西シフト」と西日本
けさ(4月22日)の読売新聞朝刊に、参議院予算委員会で石破首相が、関税の措置の見直しに向けた交渉を巡って「安全保障の問題をリンクさせて考えるべきだと思っていない」と発言したという記事が載っていました。
トランプ米大統領は日米安保条約について、アメリカが一方的に負担をしていると主張しています。関税問題にはディール(取引)で臨もうとしていますが、ここまで押して、ちょっと一歩引いて、どこかで相手に落としどころを見つけさせる、というやり方を取っていることが多いですが「安全保障の話までそうなってくると嫌だな」と思っていました。
日本の自衛隊は、アメリカと密に防衛政策に当たるのは今までと変わらない一方、3月には「統合作戦司令部」を発足させました。陸海空の自衛隊を一元的に指揮する部署です。緊密に米軍と進めていくと同時に、自分たちの足で立っていく整備が進んでいるのだろうと思います。
この間、沖縄周辺では、自衛隊の強化がものすごく進んでいます。これを「南西シフト」という言い方をします。2016年に沖縄県与那国島に陸上自衛隊の駐屯地ができたのを皮切りに、2019年に宮古島と奄美大島(鹿児島県)、2023年に石垣島と、駐屯地がどんどん増えてきています。
集会に参加した家族連れ
ミサイル配備などに発展していて、こうした「南西シフト」に危機感を持っている人たちが、4月20日(日)、陸上自衛隊築城基地近くのグラウンド(福岡県行橋市)に集まり「平和といのちをみつめる福岡大集会」を開きました。九州各県で平和運動・市民運動をやっている方が集まったのが特徴です。
小雨が降っていましたが、大分県中津市から車で行橋市の会場に向かう、梶原得三郎さんと同乗しました。梶原さんは、大規模開発や基地の反対運動などに携わって半世紀以上、87歳ですが、とにかくお元気です。
集会に参加した87歳の梶原得三郎さん(右)
梶原得三郎さん
「日本政府がどんどん戦争の方向に向かって、ことを進めていますから、特にこの西日本、琉球列島あたり、特に大変なことになっているので、反対運動としてもちょっと大きな集会をやって、何とか止める力にならないか、と。」
空港・港の「軍民共用化」が進む九州
この番組で、ちょうど1年前、自衛隊や海上保安庁が訓練などで利用するため、全国16の港や空港が「特定利用空港」「特定利用港湾」に指定されたことをお伝えしました。国の予算で空港や港の整備が促進されるのは、地方にはうれしいことですが、民間施設を自衛隊が使うことにで「軍民共用」と認識されると、攻撃対象になると指摘する専門家もいます。
民間施設への攻撃は国際法違反になりますが、そうではないと自ら認めたことになるのではないか、という危惧です。特定利用空港・港湾はその後さらに追加されていて、現在は空港が8つ、すべて九州・沖縄地区にある空港です。港湾は20、そのうち九州・沖縄は博多港や熊本港など半数の10を占めています。
【特定利用空港】
北九州、長崎、福江、熊本、宮崎、鹿児島、徳之島、那覇
【特定利用港湾】
博多、熊本、八代、鹿児島、志布志、川内、西之表(種子島)、名瀬(奄美大島)、和泊港(沖永良部島)、石垣
この展開を考えると、九州全体に「自衛隊が使いやすい施設」が増えてきているのは間違いないでしょう。軍事拡張につながっているのではと危惧する人たちがいます。
一方で、沖縄の南西諸島には当然駐屯地があるべきだと言う方もいるし、援護していくためには九州が頑張らなきゃいけないと考える人もいるとは思います。考え方が分かれるところです。だけど現実的には南西シフトがきっちり進み、そして九州・沖縄、もしくは西日本と言ってもいいかもしれませんが、南西諸島を整えるための後背地として、支える側に立つ施設が増えているのは確かです。
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