親が元気なうちに…!「持ち家」「墓」「遺産」の相続、準備している人はどれくらい?家族の負担を減らす“生前対策”とは

image

相続とは、個人が所有していた財産を相続人である配偶者や子どもなどに引き継ぐことを指しています。この相続された財産の評価額の総額に対して課税されるものが「相続税」であり、相続税は生前から準備をすることで税額をおさえることが可能です。
では、生前に相続税対策として準備をしている人はどれくらいいるのでしょうか。本記事では、生前に相続税対策を準備している人の割合や、どのような準備をしているケースが多いのかについて解説します。

約7割の人が生前に具体的な相続税対策をおこなっている

ベンチャーサポート相続税理士法人が2022年に実施した「相続税対策の実態調査」によると、60歳以上の人のうち、具体的に相続税対策をしている人は約7割にのぼることが分かりました。
また、相続に対する準備(相談や書類の用意など)をいつから始めたかという調査に対しては、「10年以上前」が25.4%、次に「3~4年前」が22.1%と、時間に余裕を持って準備や対策をしている人が多い傾向にあります。
ただし、対策をおこなっている約7割のうち、相続への準備について専門家に相談・依頼をしていると回答したのは約4割であり、多くの人が個人で対応している実態も明らかになっています。

相続税対策としてどのような準備をしている人が多いのか

具体的な相続税対策の方法としては「生前贈与:53.6%」「生命保険金などの非課税枠の利用:36.6%」「生前に墓地や仏具などを購入:15.4%」が挙げられます。本章では、各相続税対策の特徴を解説しましょう。

生前贈与

生前贈与とは、存命中に財産を配偶者や子どもなどに移譲することです。生前贈与によって相続税が発生する前に財産を移譲でき、課税される財産の総額が減少します。
生前贈与の場合でも贈与を受けた人(受贈者)は贈与税を納付する必要がありますが、一定要件を満たせば贈与税がかからなかったり、税額をおさえたりすることが可能です。

生命保険金などの非課税枠の利用

相続税が課税される財産には「相続財産」と「みなし相続財産」の2種類があり、生命保険金は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となる場合があります。しかし、生命保険金には「500万円×法定相続人の数」で求められる非課税枠が適用され、相続税をなくす、または減らすことが可能です。
非課税枠は、生命保険の死亡保険金を相続人が受け取ったときにのみ適用されるので、相続税対策に生命保険を使うメリットの1つといえるでしょう。

生前に墓地や仏具などを購入

墓地、墓石、仏壇、仏具、神具などは「祭祀財産(さいしざいさん)」となるため、相続税の対象にはなりません。祭祀財産を生前に購入することで、購入代金分の現預金が減り相続税額を減らせます。
ただし、墓地や仏具などを購入する際は、分割払い(ローン)に注意しておきましょう。もし完済前に亡くなった場合、通常の相続だと債務は相続財産から差し引かれますが、祭祀財産は課税対象財産ではないため、ローン残額が債務控除の対象になりません。
節税対策として祭祀財産の購入を検討している人は、存命中に支払いが終わるよう一括払いで購入することが理想です。

具体的な相続税対策をしている人は約7割!家族への負担を軽減するために生前に対策をしておこう

生前から具体的な相続税対策をおこなっている人は約7割であり、そのうちの半数以上が「生前贈与」を節税対策として選んでいます。ただし、対策法はほかにもあるため、自分に合った方法を選択することが大切です。
相続税は財産の評価額の総額に対して課税されるものであり、生前から準備することで税額をおさえられます。残された家族への負担を軽減するために、できる範囲で生前に相続税対策を講じておくとよいでしょう。

出典

ベンチャーサポート相続税理士法人  <相続税対策実態調査(第1回)>を実施
国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

コメント