近いうちに「独身税」が導入されると聞きました。具体的にどのような内容なのでしょうか?

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独身税といった言葉を聞くと、独身者のみ税金を徴収されるのではないかと考えてしまいますが、実際には、独身税という言葉はなく、あくまでも「子ども・子育て支援金制度」です。本記事では、独身税(子育て支援制度)導入の目的や使用用途、開始時期などについて解説します。

独身税とは

独身税の正しい名称は、「子ども・子育て支援金制度」です。子ども・子育て支援金制度は、2030年以降急速に若い人口が減少することを防ぐために取り入れられる少子化対策の一環です。
少子化対策は国全体の問題であるといった認識から、医療保険の一部として独身・既婚、高齢者・若年者に関係なく所得を考慮した金額が徴収されます。制度や徴収の開始時期は2026年であり、2028年まで1年ごとに保険料が値上がりする予定です。

子ども・子育て支援金制度の目的

独身税改め子ども・子育て支援金制度は、少子化の抑制や結婚率の上昇を目的として施策されました。子育てにかかる費用や支給される手当を増やすことで既婚者の出産・子育てに対する金銭的不安の払拭(ふっしょく)を図り、出生率の上昇を目指しています。
また、このような支援が充実していることを機に結婚率が上昇し、さらなる出生率の上昇につながることも期待されているのです。

海外では「独身税」が施行されていた

旧ソ連では1941年より子なし税といった名称の独身税が徴収されていましたが、旧ソ連崩壊を受けて廃止されました。また、子なし税が導入されても出生率の上昇にはつながっていません。
一方、ブルガリアでは1968年より独身税が導入されています。独身者のみに税金を課すことで結婚・出生率の上昇を目的としていましたが、独身者の負担が増加したことにより出生率が減少し、1989年に廃止されました。

2026年4月から施行される

子ども・子育て支援金制度が2026年4月から施行される理由は、国民への広報活動や施行の準備に時間を要するためです。制度があることを知らなければ、結婚・出産を意欲的に考えることはできません。
また、「独身税」という名称が与えるインパクトもあり、批判的な意見もある制度であるため、その内容や保険料などに抜かりない準備が求められます。そのためには制度の施行までに準備期間を設ける必要があり、2026年4月の施行が決定されたのです。

子ども・子育て支援金とは

子ども・子育て支援金制度施行に伴い、社会保険加入者から保険料に上乗せする形で支援金の徴収が決定されています。なお、事業の実施自体はすでに開始しており、支援金制度が構築されるまでは「子ども・子育て支援特例公債」で必要な費用をまかなっていく仕組みです。
ここでは、事業の内容や子育て世帯に支給される金額について解説します。この制度は社会保険加入者に直接的な影響があり、間接的に全国民に関係するため、その内容や支援額について知っておきましょう。

子ども・子育て支援金の使途

子ども・子育て支援金は、妊娠中から高校卒業までの児童手当や保育サービスなどの財源として活用されます。例を挙げると、夫婦で育休を取得すると定められた期間内は手取りが100%支給されたり、現行制度では中学生で支給が終了する児童手当が高校生まで延長されたりなど、子どものライフステージに合わせた支援内容・給付が行われています。

子ども・子育て世代への支援額は?

現事業では、出生率上昇への期待から第3子以降は児童手当が3万円に増額されるため、第3子を迷っている家庭が出産しやすい環境が整えられています。
さらに今後、子ども・子育て世帯への支給額は、現在の平均手当額約206万円と合わせると約352万円まで増額される予定です。制度が施行されれば約146万円の増額が予定されており、より子育て世帯の金銭的不安を解消できる可能性があります。

少子化は社会全体に影響あり。今後の対策に注目しよう

子ども・子育て支援金制度の導入は少子化対策の一つとして議論されていますが、その効果についてはさまざまな意見があります。少子化が改善されないと、将来的に労働力の不足や経済の停滞、社会保障制度の持続性が損なわれるおそれがあるのです。
もし、少子化対策が成功して出生率が上昇すれば、経済状況の改善や働き手の増加など、将来的に社会全体でメリットがあると考えられています。今後も、少子化対策について注目していきましょう。

出典

こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度について
こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度のQ&A
こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度における給付と拠出の試算について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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