歯科医院で治療を何回かに分けて実施され、「点数稼ぎなのでは?」と疑問に感じたことのある方もいるかもしれません。虫歯や歯周病などの治療が1回で終わらない理由には、治療の特性や保険診療のルールが関係しています。
本記事では、歯科治療が分割される理由について解説します。何回かに分けて治療されることにモヤモヤしている方は、ぜひ参考にしてください。
歯科治療が分割されるのはなぜ?
歯科治療が1回で終わらない理由として、以下のことが考えられます。
・段階的な治療が必要だから
・1本ずつ治療を進めるから
・保険診療のルールがあるから
・患者の負担が大きくなるから
それぞれの理由を解説します。
段階的な治療が必要だから
歯科の治療は薬で治せる治療がほとんどなく、以下のように手数が多い傾向にあります。
・歯を削る
・歯に詰める
・歯にかぶせる
・歯の根っこも治療する など
治療工程は、重症化するほど多くなります。進行が進んでいない虫歯であれば1回で終了するケースもありますが、重症化している虫歯の場合は治療工程が多くなり、複数回に分けて治療を進めます。
仮に段階的に治療しなかった場合、歯や神経の負担が大きくなったり、しっかり治療ができず再治療が必要になったりする可能性もあるようです。一つひとつの治療を丁寧に進めるために、歯の治療は複数回に分けて実施するのです。
1本ずつ治療を進めるから
複数の歯に虫歯があった場合、一気に治療せず1本ずつ治療を進めます。進行具合によりますが、1本1本治療するためにいくつもの工程があります。それを一度に進めると、治療時間が長くなり負担が大きくなるでしょう。
また、一気に治療すると痛みや腫れも強くなります。会話がうまくできない、食事がとれないなど日常生活に支障をきたしかねないでしょう。加えて、歯の治療ではかみ合わせを考慮しています。
一度に複数の歯を治療すると、かみ合わせへの影響も大きくなることが予想されるため、1本ずつ治療を進めるのです。
保険診療のルールがあるから
歯の治療の多くは、保険診療の範囲内で行われています。保険診療では、1回の治療で行える範囲や1回の治療に使える薬剤や治療材料の量などが細かく定められているようです。
このような保険診療のルールを守りながら治療を進める必要があるため、複数回に分けて治療をしなければいけないことが想定されます。
患者の負担が大きくなるから
治療が必要な箇所が複数あった場合、一度にすべて治療すると時間がかかります。時間がかかると、長時間口を開けたままにしたり、同じ姿勢を維持しなければいけなかったりと患者の負担が大きくなります。
分割して治療を進めるのは、患者の負担を軽減するためでもあるのです。
点数稼ぎの心配はあるの?
点数稼ぎのために歯の治療を複数回に分けて実施するケースはほとんどないでしょう。
経営するためには利益は必要ですが、それ以上に患者の歯の健康を保つことを目的としている歯科医院が多いといえます。ルールを守りながら最善の治療計画を立てたうえでの分割治療になっているため、点数稼ぎの心配をする必要はないでしょう。
歯の治療を含め、日本では治療ごとに診療報酬が決められています。診療報酬は1点=10円で換算され、1〜3割が自己負担額となります。公益社団法人日本歯科医師会が公表している「社会保険歯科診療報酬点数早見表(1)」を基に、歯の治療にかかわる点数をご紹介します。
・初診料:267点
・再診料:58点
・歯周基本検査(20歯以上):200点 など
もし何回にも分けて治療を実施することに不安を感じるのであれば、歯科医に治療のスケジュールや理由を教えてもらいましょう。教えてくれない歯科医だった場合は、別の歯科医院でセカンドオピニオンを受けるのも選択肢の一つです。
歯の治療を何回かに分けて実施するのは点数稼ぎではないと考えられる
歯の治療が複数回に分けられるのには、段階的な治療の必要性や患者の負担軽減、保険診療のルールなど、さまざまな理由があります。ほとんどの歯科医院は患者の歯の健康を第一に考えて治療計画を立てているので、点数稼ぎをしているわけではないでしょう。
複数回治療を実施することに不安を感じた場合は、歯科医に治療内容や理由などを確認することが大切です。納得できる説明が得られないときは、セカンドオピニオンを検討してみましょう。信頼できる歯科医を見つけ、安心して治療を受けられる環境を整えることが重要です。
出典
公益社団法人日本歯科医師会 社会保険歯科診療報酬点数早見表
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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