進次郎「2000円米」フィーバーの先にあるのは国民の困窮だ~黒幕、森山幹事長・財務省が推し進める「プランB」の闇

二度裏切られた進次郎にまた踊る国民

あらゆるモノの物価が高騰し、国民の困窮化が加速している状況下で、日本人にとって最も大切な糧である米の価格高騰が、生活困窮化のシンボル的存在となっている。そんな中で今、5キロ「2000円」という半額以下の価格で米が並びだしたことに、国民は今、「歓喜」の声をあげている。

店頭に並べられた「2000円米」を買うためにスーパーには早朝、というよりも深夜から長蛇の列ができ、開店直後に全て完売する、という光景が全国に広がり、ネット販売も公開直後に即完売した。

そしてニュースではそんな「2000円米」を口にした消費者達からの「意外とオイシイ」という品質を評価する声で溢れている。

こんな風に国民を喜ばせているのが、小泉進次郎農水大臣だ。

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小泉進次郎農水大臣 by Gettyimages

進次郎といえば環境大臣に就任したときも、昨年の総裁選の時も、最初だけは大きな国民人気を博すのだが非常識で幼稚な発言によって瞬く間に、「地頭(じあたま)が悪い」だの、日本が終わるだのと政治家としての資質に疑念をもたれ、人気が急落するということを繰り返してきた人物だ。

いわば国民は進次郎に一度ならず二度までも「なんだ、やっぱコイツ、ダメな奴じゃないか」と裏切られることを経験してきたわけだ。

二度も裏切られたのにまだ信じるなどどこまでお人好しなんだかと呆れる向きウンザリする向きも決して少なくはなかろう。無論、それ程に米が安いのが嬉しいと言い換えることもできるのだろうが、たかだか一世帯に一つ安い米が買える「かも」しれないというだけで許してやるほどに政治家の無能さは軽い話しとして今の日本では位置づけられているとも言えよう。

「進次郎人気は参院選まで持てばいい」

いずれにせよ、これまでの経緯を十二分に記憶している大方の識者達、政治家達は今回の進次郎についても結局「どれだけ持つか」という風にしか観ていない。これまで同様、早晩進次郎の馬脚があらわれ、国民的な批判に晒されるようになるのも「時間の問題」だとみている。

しかし問題はその「時間」がどの程度か、という一点だ。

実際、筆者も5月31日公開の「ポピュリスト小泉進次郎の『2000円のコメ』に惑わされるな!…単なる選挙対策、結局『米価は下がらない』3つの理由」で論じたように、この「2000円米」で既存の米の価格が抜本的に引き下がる効果は全く期待できない。

勿論、「2000円米」が出回っている今月来月は「平均米価」は下がるだろうが、古米以外の既存の米の値段は引き下がらない以上、「2000円米」が無くなれば米価は元に戻るのだ。そのメカニズムに気付いていない多くの国民は、「進次郎さんのおかげで米価が下がった!」と喜んでいるが、それは有り体にいって単に「選挙対策のパフォーマンスに欺されている」に過ぎない(上記記事参照)。

ただし自民党の森山幹事長などは、その小泉人気が参議院選挙まで持てばそれでよいと認識している。そうすれば石破政権が安泰となり、森山幹事長自身の保身も完遂される。そしてあわよくば、石破から進次郎に総理に変えて自民党の人気をあげた上で、衆議院選挙にまで持ち込もうと考えていことは間違いないる。

「石破の次は進次郎だ」という声は、実は自民党内部では昨年からずっと囁かれ続けてきたある種の「既定路線」なのだ(無論そうなったときには、森山幹事長は進次郎に農業改革だけはやらないように約束させることとなるだろうが)。

首謀者・森山幹事長、黒幕・財務省のプランB

我々日本国民にとっては「悪夢」でしかないこの流れを作り上げている首謀者は、もちろん直接的には森山幹事長だが、その背後に財務省がいることは疑いを入れない。

石破も進次郎も、高市早苗や西田昌司、城内実や多くの安倍派議員達の「積極財政派」と目される議員達では無く、いずれも「ど」がいくつも付くほどの緊縮財政派だ。財務省からしてみれば積極財政派が政権を取ることは「悪夢」に過ぎない。そんな悪夢を「退散」させるため、石破政権持続をプランAとする一方、進次郎政権への禅譲という流れを昨年からプランBとして画策し続けてきたわけだ。

だから今回も財務省としては「進次郎推し」の一環として、「2000円米」流通のために必要な送料や精米のコストを含めたありとあらゆる費用(それは筆者が概算するだけでも500億円~800億円はかかる)を「ポン」と出してやったわけだ。そのお膳立てのおかげで進次郎はわずか10日で店頭に2000円米を並べることに成功したわけだ。だからそれは進次郎の「突破力」なるものでも何でも無く、単に財務省の財力と組織力だったのだ(換言するならそれは、国民でなく財務省にあっさりと魂を売っぱらった進次郎への財務省からの「ご褒美」あるいは「駄賃」に過ぎないのだろう)。

ただし勿論、進次郎人気を歓迎するのは財務省だけではない。昨年の総裁選で進次郎の口を借りて「ライドシェア」と何度も言わせてきたライドシェア関連企業達はもちろんのこと、ありとあらゆる大企業達が進次郎の「突破力」を活用してビッグビジネスを手にしようと画策している。今回の「2000円米」に手を挙げた大企業達の中の多くが、これを皮切りに進次郎を活用してさらなるビッグビジネスを展開しようと目論んでいることは間違いない。

中国共産党にしても「高市総理」より「石破総理」「進次郎総理」の方が彼らにとって都合がよいことなど言うまでもない。

つまり進次郎はアメリカや大企業、財務省といった日本の政治に対する巨大な影響を及ぼし続けている各主体にとって都合がよい存在なのだ。がそれは逆に言えば、日本国民にとっては最悪の存在だということになる。

国民にとって最悪の展開とは

この状況に笑いが止まらないのが財務省だ。下手をすれば4兆も5兆ものカネを用意させられるところ、その1~2%程度の「はした金」でもってやり過ごすことが出来たばかりか、財務省の言うことをしっかりと聞いてくれる森山幹事長が政府を牛耳る体制を安定化させることに成功するからだ。

日本国民として、誠にもって残念な状況である。このままでは、参議院選挙で自民党が大敗を免れ、石破政権が継続され緊縮財政が続き、国民の困窮が緩和することとなる。仮に参議院選挙である程度敗北するようなことがあっても、進次郎氏が総理となり、同じく緊縮財政が続き、国民の困窮が継続されることとなるわけだ。

文字通り最悪だ。

この最悪の状況を打開するには、この「2000円米」が単なる猫欺しの選挙対策にしかすぎない欺瞞に満ちた対策なのだということを国民の趨勢が理解しなければならない。そして、「2000円米」対策の50倍も100倍もの所得増加効果を持つ、消費税減税をはじめとした真の積極財政を展開する政権を樹立するために、石破政権の継続なり小泉政権への交代なりを通した緊縮政治の継続を絶対に許してはならないのである。

今まさに日本国民が進次郎に欺される様な、「進次郎程度の地頭(じあたま)」なのか否かが問われているのである。

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