食品価格の高騰が家計を圧迫している…?Photo/gettyimages
日銀はインフレを抑えられるのか…?
日銀の政策決定会合が3月18・19日の日程で行われるが、すでに報道でも指摘されているように今回は追加利上げの可能性は低いだろう。
前編『「食品価格」の上昇で、エンゲル係数が43年ぶりの大暴騰……!日銀は本当にこの物価高を止めることができるのか?』で紹介してきたように、食品が大幅に値上がりするなか、大企業の賃上げが良好な一方で、中小企業のそれはいまだ道半ばである。
日本銀行の上田和男総裁 Photo/gettyimages
全体の7割を占める中小企業労働者の賃上げが起こらないまま、日銀が利上げを追求しても家計を益々圧迫していくことになるだろう。
一方、1月中旬以来、円高が進行しているが、これは物価にひいては日銀の利上げ判断にどのような影響を与えるだろうか。
おそらく、円高による輸入物価の抑制効果は短期的なものではないか。
輸入物価を押し上げる「円安」は止まらない…!
次に、トランプ新政権の経済政策の不確実性について植田総裁は、「政策の大きな方向性が示されつつありますが、 その後も国際金融資本市場は、全体として落ち着いていると判断しました」と述べている。
為替相場は日銀の利上げ以降、ジリジリと円高が進行し、3月7日に5ヵ月ぶりに1ドル=146円台まで円高が進行した。この円高進行が輸入物価を抑制し、物価高に歯止めがかかるとの思惑も出始めている。
だが、この円高進行は日銀の利上げが要因ではない。
要因はトランプ米大統領が中国とともに日本が通貨安を誘導してきたと批判したことにあり、さらには、トランプ米大統領の関税強化策によるものだ。
植田総裁は「国際金融資本市場は、全体として落ち着いていると判断した」と述べているが、まさに現時点の為替相場の変動はトランプ政権の関税政策を巡る不透明感がドル安を招いているものであり、いずれトランプ政権の関税政策が明確になれば、再び、円安進行が始まり、150円を超える円安となっても何ら不思議ではない。
日銀の限界
3月5日、内田眞一副総裁は講演で、「想定される程度のペースの利上げであれば、経済の反応を確認しながら進めていけるだろうとは思っています」と述べ、さらなる利上げを示唆している。
しかしながら、繰り返すが賃上げが物価上昇に追いついていない以上、この先の利上げは簡単ではない。物価上昇を抑制するには、大幅な利上げが必要だが、急激な利上げは住宅ローンをはじめ家計負担が大きく増やしてしまう。
パートなど短時間労働者の年収が103万円を超えると税や社会保険科の支払いが発生し手取り収入が減少する「年収の壁」の見直しが進められているように、減税などの政策による実質賃金を引き上げ、物価高を乗り越える工夫が必要になっている。
石破総理は「物価高」に対処できるか?
利上げで物価上昇の抑制が難しい状況では、石破政権の政策との政策ミックスで対処していくことが必要だ。
石破茂首相は、中小企業の賃上げに向けて「政策を総動員する」との考えを示した Photo/gettyimages
3月の決定会合で日銀は利上げを見送るだろうが、その先も利上げ判断には困難が立ちはだかっている。
さらに連載記事『「日本株大暴落」戦犯たちの憂鬱と個人投資家の阿鼻叫喚…なにが「日本版ブラックマンデー」の引き金を引いたのか』では、日本経済の現状を解説しているので、ぜひ参考にしてほしい。
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