馬毛島基地完成後も新田原で垂直着陸訓練 地元「納得できない」

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新田原基地に配備される戦闘機と同じ米軍のステルス戦闘機F35B=2024年10月29日午後3時37分、宮崎県新富町、奥正光撮影

航空自衛隊新田原基地(宮崎県新富町)に配備されるステルス戦闘機F35Bの同基地での訓練について、九州防衛局が、通常着陸より騒音が大きい垂直着陸を夜間も含めて実施する考えを地元に伝えた。垂直着陸について防衛局はこれまで緊急時か、緊急時に備えるための訓練のみを実施すると説明していた。

 防衛局が26日に地元に示すなどした資料では、鹿児島県に建設中の馬毛島基地の完成が2029年度末にずれ込むことを踏まえ、平常時も練度向上のための訓練を新田原基地で実施したいと説明。ただ、馬毛島基地完成後も新田原基地で継続する考えも示している。「安全保障環境が厳しさを増している」ことや2個飛行隊がより充実した訓練を実施する必要を理由に挙げている。

 F35Bは当初、今年度内に配備される予定だったが、納入が遅れているため25年度に延びた。具体的な時期については明らかにされていない。

 防衛局の資料によると、新田原基地での垂直着陸訓練は、8機が配備される25年度が月約30回(うち夜間約10回)、30機が配備され馬毛島基地完成前である29年度が月約100回(同約40回)。馬毛島基地整備後も、2個隊の全約40機が配備される31年度頃に月約80回(同約20回)を検討している。

 新富町によると、説明を受けた小嶋崇嗣町長は「納得できない」と防衛省側に伝えた。町は「計画の見通しが甘いといわざるを得ない」との認識を示しており、今後、住民への丁寧な説明と情報提供を求めていくという。

 宮崎県も、垂直着陸訓練実施はこれまでの県民の認識と異なるとし、26日に九州防衛局に対し、自治体や住民に対する迅速な情報提供と説明、地元の意見を十分踏まえた対応を求める要望書を提出した。河野俊嗣知事は27日、「訓練回数も含め、新田原基地の利用の位置づけが変わってきている」との考えを示し、「訓練回数が増えることによる騒音の問題、事故に対する不安があるので、十分な説明と対応を要請した」と述べた。

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