歌手高橋真梨子(75)が12日、東京・立川ステージガーデンで最後の全国ツアー「EPILOGUE」をスタートさせた。全国ツアーは前回、2023年(令5)1月の最終公演で“卒業”する予定だったが、ファンからの熱烈なラブコールに応じて9都市21公演のアンコール開催を決めた。
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約1年9カ月ぶりのステージは78年にソロデビューをした記念曲「あなたの空を翔びたい」でスタートした。「皆さんが呼んでくれたから、またツアーに出てしまいました」。満員の約2500人の温かい拍手に包まれると「そうでなければ、今ごろは家でゆっくりしてゴルフでもやってるかなぁみたいな感じ」。そう冗談交じりに続けて「皆さんに会えてとてもうれしいです。とってもうれしいです。一生懸命に歌います」と感謝の言葉を並べた。
再びステージに立たせてくれたファンへの感謝と恩返しの思いを込め、ペドロ&カプリシャス時代の「五番街のマリーへ」「ジョニィへの伝言」や「桃色吐息」「ごめんね…」「for you…」などヒット曲ばかりをズラリと並べた。夫で音楽プロデューサーを務めるヘンリー広瀬氏(80)は「今回は我々本位でなく、ファンの立場になって曲を選びました」と説明。最近の高橋の様子についても「少しずつステージに向けてのモードに入ってきて、YouTubeで時々、昔の歌唱映像を見て『こんな歌い方をしていたんだ』などとチェックをしていた。テンション高める1つの方法かもしれない」と明かした。
高橋はこの日のために準備した華麗なステップも初披露。「今日も世界一きれいです~」の声援が飛ぶと「そんなことはないよ」と照れながら「でも今日はこのホールで一番奇麗ですと思われたい」と応じるほほ笑ましいシーンもあった。
約2時間で23曲を披露したステージのラストソングは「ランナー」。歌詞の「生きてゆきたい あなたのそばで」は「ファンがいるからこそ私は歌うことができる」と常々口にする高橋の思いを代弁しているようだった。
「完全燃焼します」。昭和・平成・令和の歌謡界のトップを駆け抜けてきた歌姫の覚悟のステージが幕を開けた。【松本久】
◆高橋真梨子(たかはし・まりこ、本名=広瀬まり子) 1949年(昭24)3月6日生まれ。福岡出身。プロのジャズ奏者だった父の影響で14歳からジャズを学んだ。72年にペドロ&カプリシャスの2代目ボーカルとなり「ジョニィへの伝言」「五番街のマリーへ」などがヒット。78年にソロ転向。代表曲に「桃色吐息」「はがゆい唇」「for you…」など。NHK紅白歌合戦にソロで5回出場。血液型A。
★高橋すごいメモ
▼日本人唯一 「音楽の殿堂」と呼ばれる米カーネギー大ホールで、日本人で唯一3回公演(93、08、16年)を開催。複数回実施のアーティストは高橋のみ。
◆ライブの女王 2000人以上を収容する大規模ホールで、年間25公演以上を40年以上も継続してきた女性ソロ歌手は高橋のみ。単発公演などを加えた動員数は730万人超。
▼主題歌25曲 307曲のオリジナル楽曲中、150以上で作詞を手がけ、ドラマや映画の主題歌になったのは25曲。
▼NHK紅白歌合戦の紅組最年長記録 17年にソロとして5回目の出場。当時の68歳9カ月は紅組最年長記録だった。
セットリスト
<1>あなたの空を翔びたい
<2>桃色吐息
<3>蜃気楼
<4>五番街のマリーへ
<5>OLD TIME JAZZ
<6>STARDUST
<7>unforgettable
<8>遥かな人へ
<9>はがゆい唇
<10>雲母の波
<11>旅の宿
<12>時の過ぎゆくままに
<13>GLORIA
<14>真っ白いシャツ~Lonely girl Lonely boy
<15>Heart Breaker-波紋の渦-
<16>無伴奏
<17>フレンズ
<18>グランパ
<19>ごめんね…
<20>for you…
◆アンコール
<21>別れの朝
<22>ジョニィへの伝言
<23>ランナー
「高橋真梨子新聞」の販売がこの日にスタートした。最後の全国ツアー「EPILOGUE」のコンサート会場で販売。タブロイド判オールカラーで公演にかける意気込みなどを語った独占インタビュー、30の質問、写真館とともに歌手人生52年を振り返るヒストリー、ファンから届いたメッセージなど12ページまるごと高橋真梨子です。秘蔵写真などをデザインしたポストカード2枚の特典付き。税込み1000円。
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