鹿児島県・徳之島(とくのしま)北西部に位置する天城町(あまぎちょう)が、国連世界観光機関(UN Tourism)の「ベスト・ツーリズム・ビレッジ2024」に認定されました。
海や山など豊かな自然に囲まれた徳之島の集落文化や、日常の暮らしを観光に生かした取り組みが高く評価され、地元の宿泊施設では認定を記念した特別プランも登場しました。
「伝泊 徳之島(天城町)」
ベスト・ツーリズム・ビレッジ認定記念 宿泊プラン(朝食付き)
奄美大島「伝泊 赤木名 ホテル」
ベスト・ツーリズム・ビレッジ認定記念 宿泊プラン(朝食付き)
奄美群島の伝統文化が息づく農業と闘牛の町「天城町」
国連世界観光機関(UN Tourism)が2021年に開始した「ベスト・ツーリズム・ビレッジ(BTV)」は、持続可能な開発目標(SDGs)に沿って、観光地域づくりに取り組む優良な地域を認定するプロジェクトで、それぞれの地域固有の文化や自然環境を保護しながら、来訪者と住民との交流や地域経済の発展を推し進めていることが認定の条件となります。
2023年までに世界で130地域、日本ではニセコ町(北海道)、美山町(みやまちょう・京都)、美瑛町(びえいちょう・北海道)、奥松島(おくまつしま・宮城)、白馬村(はくばむら・長野)、白川村(しらかわむら・岐阜)の6地域がBTVに選ばれていて、今年は国内から新たに天城町と山形県西川町(にしかわまち)の2地域が認定地域の仲間入りを果たしました。
世界自然遺産「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の一部をなす鹿児島県の徳之島。島の北西部に位置する天城町は、徳之島空港や平土野(へとの)港を有する交通の要衝で、サトウキビ、ジャガイモなどの農業や畜産業が盛んなことでも知られます。
なかでもサトウキビは鹿児島随一の収穫面積を誇る主要産地。地元ではサトウキビの葉を牛に与え、その牛の糞を肥料として活用する「循環型農業」が進められているほか、就農支援などの活動にも積極的で、まさに持続可能な生産体制が確立されています。
天城町をはじめとした徳之島といえば、400年以上続く伝統の「闘牛」文化も有名です。島内では年間20回ほど闘牛大会が催されるほか、天城町にある「松原闘牛場」では、観光客が稽古を観戦したり、牛のブラッシングや餌やりなどのふれあい体験に参加することも可能。
こうした人と牛との共生文化が息づく天城町では、例えば子どもたちと牛が砂浜や町内を散歩する様子がよく見られるなど、日常の風景が観光資源として大きな魅力を放っています。
また、闘牛以外に畜産業も盛んで、良質な黒毛和牛は町の特産品として有名です。
天城町では、水平線まで続く紺碧の海にも見どころがいっぱい。沖合には奄美群島の海域に発達する生物多様性に富んだサンゴ礁が広がります。
隆起サンゴが長年浸食されたことによって形成された奇岩「犬の門蓋(いんのじょうふた)」も、景勝地として人気のスポットです。
そのほかにも、7000年以上前の土器が発掘された水中鍾乳洞「ウンブキ」など、琉球列島の先史時代を今に伝える遺跡が数多く残っています。冬期はホエールウォッチングも可能で、1年を通して海の魅力に触れられます。
さらに天城町には、徳之島と奄美大島だけに見られる天然記念物「アマミノクロウサギ」など、珍しい動物が数多く生息しています。絶滅危惧種でもある希少なアマミノクロウサギですが、集落によっては人々の暮らしの中にひょっこり姿を見せてくれることも。
観光客向けに観察小屋やナイトツアーも設けられていて、希少な野生動物の姿を自らの目で観察できます。
奄美の伝統的な古民家に宿泊し、集落文化を体験する特別な旅
天城町のBTV認定を実現させた立役者の一人が、奄美大島・徳之島・加計呂麻島の3島で宿泊施設「伝泊」をプロデュースする奄美大島出身の建築家・山下保博氏です。
山下氏は「日常の観光化」をテーマに掲げ、埋もれていた町の魅力や特徴を発掘・再編集する取り組みを推進。伝統文化や自然環境を次の時代に伝える、持続可能なまちづくりを提案してきました。
「伝泊」では奄美の風土に根ざした伝統建築を再生させた宿を数多く展開。
「伝泊 徳之島(天城町)」には、瓦に漆喰を組み合わせた琉球様式が特徴的な「サンゴ石小屋のある宿」や、徳之島の自然を存分に感じられる「海亀ビーチの宿」など、個性的な施設がそろいます。天城町の伝統的・伝説的な建築や集落文化を次世代へつなぐこうした取り組みが、BTV認定においても評価されたということです。
ビーチ沿いに立つ「海亀ビーチの宿」では、伝統的な漁法「追い込み漁」の体験プログラムが実施されていて、島のおじが直々に漁の仕方を教えてくれます。
天城町の追い込み漁は高齢化や後継者不足といった問題に悩まされているものの、体験の案内役をシマッチュ(島人)が担うことで、地域に根付く伝統漁法を次の時代に受け継ぐことを目指しているそうです。
また、空き家の1階部分を改修してオープンした「伝泊 Cafe&Office」は、集落住民と観光客との交流拠点。カフェでは徳之島など奄美群島産の新鮮な有機野菜を使った地産地消メニューが楽しめるほか、シェアオフィスとしての利用も可能です。
「伝泊 徳之島(天城町)」では現在、BTV認定を記念した特別宿泊プランを展開中。通常よりお得に、奄美ならではの古民家滞在を体験できます。
伝泊 徳之島(天城町)
- 住所
- 鹿児島県大島郡天城町与名間608-3
- アクセス
- 徳之島空港から車で約10分
- 駐車場
- あり(無料)
- 総部屋数
- 1室
「伝泊 徳之島(天城町)」
ベスト・ツーリズム・ビレッジ認定記念 宿泊プラン(朝食付き)
また、徳之島と奄美大島とのアイランドホッピング(島巡り)を楽しんでもらおうと、奄美空港そばにある「伝泊 赤木名 ホテル」でも記念プランが用意されています。
伝泊 赤木名 ホテル
- 住所
- 鹿児島県奄美市笠利町里50-2
- アクセス
- 奄美空港からバスに乗り換え「赤木名入口」バス停下車 徒歩約1分
- 駐車場
- あり(無料)
- 総部屋数
- 14室
奄美大島「伝泊 赤木名 ホテル」
ベスト・ツーリズム・ビレッジ認定記念 宿泊プラン(朝食付き)
奄美大島「伝泊 赤木名 ホテル」詳細・宿泊プランをチェックする
天城町には古くから「ユイ」と呼ばれる、共同作業を通じて喜びや困難を分かち合う精神が深く根付いています。住民も観光客も分け隔てなく、穏やかな自然に抱かれた町で過ごす時間は、訪れた誰しもに「ユイ」の心を強く感じさせてくれるはず。
観光地として世界的なお墨付きを得た天城町で、シマンチュたちが長く育んできた極上の「日常」をたっぷり全身で感じてみてはいかがですか?
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