鹿児島市、犬猫の殺処分設備撤去を検討 「ゼロ」継続目指す

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4月から使われなくなる焼却炉=鹿児島市田上町の市動物愛護管理センターで2025年3月3日午後3時58分、梅山崇撮影

 鹿児島市は市動物愛護管理センター(同市田上町)で使われてきた犬猫の殺処分設備について、撤去の検討を始める。センターでの犬猫の殺処分が2021年1月を最後に4年以上なく、今後も行われない見通しのため。市は譲渡促進などを進め「殺処分ゼロ」の継続を目指す。

 センターは01年度の設置。「ゼロ」になる前は動物棟にある「成犬(猫)用処分機」で二酸化炭素による殺処分が行われ、焼却炉に移されてきた。01年度は焼却炉が44回稼働し、犬595頭、猫2009匹(いずれも自然死含む)に使われた。

 一方、動物を終生養う義務を飼い主に課す改正動物愛護法が13年に施行され、殺処分をゼロにする機運が高まっていった。鹿児島市でも幼齢猫を市民が預かって世話をする「ミルクボランティア」制度が21年度にスタート。殺処分ゼロを継続する素地が整っていった。

施設で体を動かしたり寝そべったり、思い思いに過ごす犬=鹿児島市田上町の市動物愛護管理センターで2025年3月3日午後3時50分、梅山崇撮影

施設で体を動かしたり寝そべったり、思い思いに過ごす犬=鹿児島市田上町の市動物愛護管理センターで2025年3月3日午後3時50分、梅山崇撮影

 ゼロは今後も続く見通しで、センターは犬猫が高齢だったり、病気だったりして引き取り手が見つからない場合、終生飼育するという。また、これまで自然死した際に利用してきた焼却炉も4月以降は民間に委託するため、センターとしては不要になるため撤去を検討する。

 同市は新年度当初予算案に動物愛護管理推進事業として8700万円を計上。4月から動物愛護を目的とするふるさと納税(目標400万円)も受け付ける。これを地域猫の不妊去勢、収容動物の譲渡促進などに充てる。

 同市によると、九州の政令市、中核市で殺処分「ゼロ」を達成しているのは鹿児島市のみという。センターには3日現在、犬10頭、猫7匹がおり、平日は1年中、希望者に引き渡している。市民団体主催の譲渡会(年3回)などもある。

 萩原信一・同市環境衛生課長は「殺処分ゼロを今後も継続し、不幸な動物を減少させる取り組みを進めたい」と話している。【梅山崇】

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