10月15日は厚生年金の支給日です。厚生年金では税金や社会保険料が控除されるため、通常額面をそのまま受け取ることはできません。
今回は年金から引かれる税金や保険料について解説します。
1. 10月15日は2024年5回目の年金支給日
日本の公的年金は、2カ月に1度支給される仕組みとなっています。基本的には偶数日の15日に支給される仕組みなので、具体的な支給日は次のとおりです。
2カ月分がまとめて支給されるため、一度にまとまった費用を受け取れる方もいるでしょう。
なお、2022年度末時点での厚生年金の平均受給額は額面約14万円となっています。
次章で厚生年金の平均受給額について見ていきましょう。
2. 厚生年金の平均受給額は約14万円
ここからは厚生年金の平均受給額を一覧にして見ていきます。
【写真全2枚】厚生年金の受給額一覧表。2枚目は新宿区の国民健康保険料の概算早見表を掲載
出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
〈全体〉平均年金月額:14万3973円
〈男性〉平均年金月額:16万3875円
〈女性〉平均年金月額:10万4878円
2.1 【厚生年金】受給額ごとの人数(1万円刻み)
※国民年金部分を含む
厚生労働省年金局が公表したデータによれば、厚生年金の平均月額は全体で約14万3973円となっています。
では、ここからどのようなお金が天引きされるのでしょうか。
次章で見ていきます。
3. 厚生年金から天引きされるものとは
厚生年金も所得の一種と見なされるため、次のような科目が控除されます。従って額面をそのまま受け取れることは通常ないので注意しましょう。
それぞれについて簡単に紹介します。
3.1 介護保険料
介護保険料は、地域によって、そして所得水準や家族の状況によって金額が大きく変わります。
65歳以上で年金の年間受給額が18万円以上の方が、天引きの対象です。
介護保険料の額は自治体により異なりますが、厚生労働省のデータを見てみると、2021年~2023年の65歳以上の方の1人あたりの平均月額(基準額の全国加重平均)は月額6014円となっています。
3.2 国民健康保険料 / 後期高齢者医療保険料
65歳以上~75歳未満の方は、通常、国民健康保険料が差し引かれます。75歳以降は後期高齢者医療保険料がかかります。
国民健康保険料も、年金収入の水準によって変化します。東京都新宿区が出す一覧表を掲載します。
国民健康保険料の概算早見表(新宿区)
出所:新宿区「令和6年度 国民健康保険料 概算早見表(給与/年金のみの場合)」
なお、後期高齢医療保険については、厚生労働省より次のような平均値が発表されています。
3.3 所得税
所得税は、前年の所得水準に応じて税金がかかります。所得税は所得水準に応じて税率が引き上がる「累進課税」の制度となっています。そのため年金水準が高かったり、他に収入があったりすれば税率が高くなります。
目安として65歳未満なら108万円、65歳以上なら158万円を超えると課税対象です。
また「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律117号)」により、復興特別所得税も加わることになります。
3.4 住民税
年金所得が一定以上になる場合は、住民税も天引きで納付します。
住民税は、均等に発生する均等割と所得水準に応じてかかる所得割が存在します。所得割は前年の課税所得額の10%となるのが基本です。
均等割は自治体によって異なりますが、5000円前後となるケースが多いといえます。
ただし、所得が一定以下となる場合や障害年金・遺族年金を受給している場合は住民税非課税となります。
4. まとめにかえて
ここまで厚生年金の平均受給額と、厚生年金から引かれるお金について見てきました。
次回の年金支給日は10月15日です。2カ月分が一度に支給されるため、まとまった資金を受け取る方も多いかもしれません。
しかし、年金額は毎年度改定されており、昨今は物価上昇率に増額率が追いついていないため、実質的な目減りとなっています。
少子高齢化が進み税金や保険料の負担も増加していくことが想定されるため、現役時代のうちから年金だけに頼らない資金計画を立てて、ゆとりあるセカンドライフを過ごせるようにしておきましょう。
参考資料
中本 智恵
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