2024年も後半戦。前半には注目の新型車登場や、自動車メーカーの不正など、さまざまなニュースがあった。ここでは、これから先の重要なポイントになるかも知れない「ガソリン補助金」の件を中心に自動車界を予測してみよう。
※本稿は2024年6月のものです
文:渡辺陽一郎/写真:トヨタ、スズキ、ダイハツ、ベストカー編集部、AdobeStock ほか(トップ画像=Dmitriy@AdobeStock)
初出:『ベストカー』2024年7月26日号
■ガソリンへの不当な課税
かつては道路建設や整備の財源だったが、廃止後の現在も徴税が続いている
補助金は燃料にも適用されている。レギュラーガソリンの全国平均価格が基準額を超えると、一定の補助金を石油の元売事業者に支給する。これを原資に、元売事業者が小売価格の上昇を抑える仕組みだ。この制度は2022年に一時的な実施を目的に導入されたが、今でも続いている。
ガソリン補助金を支給する背景には、トリガー条項の凍結もある。トリガー条項とは、レギュラーガソリン価格が3カ月連続で1L当たり160円以上になった時、ガソリン価格に含まれる暫定税率分の25.1円を差し引くものだ。
これが凍結されて実施されない理由は、燃料価格が下がると、その前に買い控えなどが心配されるからだ。その点で補助金なら、ガソリン価格は下がらず値上げを抑える効果しか発揮しない。政府にとって都合がいいから実施されている。
しかし元売事業者にも有利なガソリン補助金はもちろん、トリガー条項もガソリン価格の本質を突いていない。なぜならガソリン価格には、暫定税率分も含めて、本来支払う必要のない多額の税金が含まれるからだ。
それは元々、道路の建設や整備に充てる道路特定財源として徴収を開始した。ガソリン税は揮発油税と地方揮発油税の合計で、後者は、以前は地方道路税と呼ばれた。ディーゼルエンジンが使う軽油に含まれる軽油引取税も含めて、道路特定財源だった。
しかしこの制度は今では廃止され、暫定税率の25.1円を含んだガソリン税の総額53.8円も課税根拠を失った。それなのに、一般財源、つまり普通の税金として今でも徴税を続けている。
■ガソリン補助金ってこれからもずっと続くの?
今後、ガソリン価格はどう変化していくのか? 油業報知新聞社に聞いた。
「2024年の秋ごろに補助金が一度終了しますが、再度延長されると思われます。ですが段階的に減額され、いずれは廃止の動きも見られます。現在、リッターあたり26.1円が補助されていますが、廃止されればそれがそのまま価格に乗っかります。2024年の下半期に、その兆候が見られるかもしれません」。
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