3年連続改善したけど…鹿児島県民1人当たりなら借金65万8000円、貯金1万6000円 23年度の独自分県債残高

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 鹿児島県は8日、2023年度一般会計の決算見込みを発表した。借金に当たる県債残高は前年度比2.3%減の1兆5178億6400万円、後年度に交付税措置される臨時財政対策債(臨財債)などを除いた県独自分の県債残高は0.4%減の1兆457億2700万円だった。いずれも3年連続の改善となる。
 県独自分の県債残高を県民1人当たりの借金に換算すると65万8000円(前年度比3000円減)。貯金に相当し、財政調整に活用できる基金残高は0.1%増の250億1700万円で、1人当たりは1万6000円となる。
 歳入は7.2%減の9360億1800万円、歳出は6.7%減の8916億円。新型コロナウイルス感染症対策費などが減り、歳入・歳出とも2年連続で前年度を下回った。
 歳入と歳出の差額から翌年度へ繰り越す財源を差し引いた実質収支は、163億4500万円の黒字。
 歳入のうち、県税は消費の伸びで地方消費税が増収となり1.4%増の1632億円。一方、国庫支出金は新型コロナ経費減などにより29.2%減の1837億4900万円。臨財債を含む実質的な地方交付税は0.3%減の2948億9400万円。
 歳出では、人件費が3.8%減の2208億8000万円。職員の段階的な定年延長で退職手当が減少した。新型コロナの宿泊療養施設費用が減るなど、物件費は31.9%減の322億9200万円。災害復旧事業費は22年度分の繰越額が21年度分より少なかったことから24.2%減の85億6700万円だった。
 財政課の陸川諭課長は「県有施設の建て替えや老朽化対策も予定されており、扶助費も増加し続けている。今後も歳入歳出改革やメリハリを付けた予算付けに取り組む」と話した。県は22年3月策定の行財政運営指針で「県独自に発行する県債残高は1.1兆円程度」「基金残高は250億円を下回らない」を指標に掲げている。
◇県税や貸付金の滞納は15年ぶり増加
 鹿児島県の2023年度一般会計決算見込みによると、県税や貸付金などの滞納は前年度比0.7%増の41億4000万円で、15年ぶりに増加に転じた。高額な徴収猶予があったこと、新型コロナウイルスの5類移行に伴う税務調査方法の変更などが要因とみられる。
 税務課などによると、県税のうち軽油引取税1件で3800万円の徴収猶予が発生。5類移行で国の税務調査がコロナ禍前と同じ立ち入り調査に戻ったことで、企業が修正申告して県税も遡及(そきゅう)課税される事案が増えたという。
 主な滞納は、県税14億3300万円(前年度比5.7%増)▽中小企業支援資金貸付金11億9300万円(同4.0%減)▽行政代執行費用6億4100万円(変動なし)▽母子父子寡婦福祉資金貸付金1億300万円(同11.6%減)▽農業改良資金貸付金1億2800万円(同7.1%減)▽県営住宅使用料1億5800万円(同0.1%減)

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